メンタルヘルスを高める職場のコミュニケーション №21 職場のレジリエンス(回復力)を高める(メンタルヘルス 2017-03-15付)
職場には、それぞれの職場ならではの課題があり、そのために教職員はいつも不安やストレスを抱えて仕事を進めています。それを解消していくためには、レジリエンス(回復力)の機能が求められます。今号は、レジリエンスを高める職場づくりについて学校リーダーの視点から説明します。
◆職場の良好な人間関係が教職員のレジリエンスを育む
レジリエンスという言葉が最近、心理学や精神医学の領域を中心に様々な機会で使われるようになりました。レジリエンスとは、バネのように跳ね返す力のことを言い、一般的には回復力や「柔軟性」という意味で使われています。
人は誰でも悩みごとを抱えながら生活しています。大体の場合は何らかのきっかけで回復しますが、人によってはその悩みから抜け出すことができず、うつ病を発症してしまうことがあります。
レジリエンスの力が高い職場は、こうしたうつ病の発症が少ないと言われています。そこには、教職員間の良好な人間関係や、上司に相談しやすい雰囲気、さらには高い同僚性があります。
◆職場のレジリエンス
職場のレジリエンスを高めるために、欠かせない四つの視点を説明します。
①援助希求力が発揮できる職場づくり
援助希求力とは、困ったとき人に助けを求める力を言います。教職員は困りごとや心配ごとを、一人で抱え込んでしまう傾向があります。
「人に助けを求めるのはみっともないので、自分の力で解決する」という責任感は大切ですが、それだけでは問題をさらに悪化させメンタルを損なうことになってしまいます。
行き詰まったときに誰かに相談をすることは、決して恥ずかしいことではありません。助けたり、助けられたりする職場の良好な人間関係を、教職員の総意によってつくりあげることが大切です。
②コミュニケーションの活発化による潤いのある職場づくり
朝、出勤すると互いに「おはようございます」、仕事を手伝ってもらうと「ありがとうございます。助かりました」など、基本的なコミュニケーションが職場で交わされているでしょうか。
あいさつをしてもあいさつが返ってこないなど、コミュニケーションが途切れている職場の雰囲気は、教職員のメンタルに大きく影響します。まずは、学校リーダーが率先して明るく元気にあいさつをしたり、感謝の言葉を述べたりするようにしたいものです。
③仕事の裁量権を高める
教職員の仕事にかかわる裁量権が大きければ、仕事の負担が大きくても能動的・創造的に仕事を進めることができます。逆に、裁量権が小さければストレスが溜まりやすくなり、仕事への意欲も後退してしまいます。ただ、仕事の内容にもよりますが、教職員に対し、実際には「自分の裁量で好きなようにやってください」とはなかなか言えないものです。そういったときには、ぎりぎりの日程で仕事を頼むのではなく、できるだけ時間的余裕を考え、依頼していくことが大切です。
時間的余裕は、本人の工夫や創造性を引き出し、仕事への意欲の向上につながり、教職員のメンタルヘルスを高めることができます。
④公平・公正であること
学校リーダーの公平・公正な姿勢は、教職員のメンタルヘルスに大きく影響します。学校リーダーとして公平・公正に教職員に接するためには、まず、一人ひとりの話や意見をしっかり聴くことが大切です。同時に必要な情報を教職員へ、丁寧に提示することも大切です。情報を開示されない職員は、職場の一員として認められていないと感じてしまい、職場組織としてのレジリエンスは高まりません。
(公立学校共済組合北海道支部学校支援アドバイザー・石垣則昭)
(メンタルヘルス 2017-03-15付)
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