メンタルヘルスを高める職場のコミュニケーションづくり №23 かかわり方が難しい教職員とのコミュニケーション
(メンタルヘルス 2017-04-05付)

 今号は、学校リーダーから相談事例が多い、かかわりが難しい教職員とのコミュニケーションについて説明します。

◆学校リーダーは決めつけない

 学校リーダーと該当の教職員との関係が悪化し、望ましくない感情の行き来が常態化(悪い感情を相手に発信すると、相手はその悪い感情を受信し同じように感情を返してくる)してしまうケースをよくみかけます。その結果、無視をするなどの行動面にもそれが表れ、両者間のコミュニケーションが取れなくなり、職場全体にも様々な緊張や不安をもたらせてしまいます。

 学校リーダーであっても否定的な発言を繰り返したり、指導しても十分に力を発揮できなかったりする教職員に対し、極めて否定的なレッテル貼りをしてしまうことがあります。レッテル貼りをしていては、ますますコミュニケーションを図ることができなくなります。

 かかわり方が難しい教職員の中には、以前から人との関係を上手くつくることができず、それを悩みとして抱えている方がいます。学校のリーダーは、悩みを少しでも解消し、本人のよい持ち味を発揮させる指導力が求められます。

◆全体像をとらえ理解する

 かかわりが難しい教職員に対し、その人間性を多面的にとらえ理解しようとするのではなく、マイナスの情報だけにとらわれ、良さが理解できない学校リーダーがいます。大切なことはマイナスの感情に流されるのではなく、良さや問題点を把握し総合的に本人を理解することです。

◆話が聞ける学校リーダー

 話を聞く行為は大人力とも言われ、黙って話を聞いたり、相づちをうったりするだけで目立つものではありませんが、実はコミュニケーションを円滑に進めるための基本となる行為です。話す側は、話を聞いてくれる相手に対し安心感や信頼感をもつようになります。話を聞くことは、話し手の満足感を高め、それが仕事への強い動機付けになります。

 残念ながら、学校リーダーの中には相手の話を聞くよりも、持論を語ったり、指導と称して説諭や叱責をしてしまったりするなど、相手に悪感情を抱かせてしまう人がいます。人間関係が苦手な教職員は、自尊感情が低く物事に対して積極的にかかわることを避ける傾向があります。否定的な指導を繰り返すと、指導内容そのものよりも、否定され嫌われているといった感情を抱くようになり、学校リーダーの思いとは逆に相手の心は遠ざかっていきます。

◆話の聞き方は肯定的であること

 仕事にかかわる話を聞くときには、はじめは、「自分なりに努力してきたこと」「達成感や充実感をもった経験」「自分が職場で心がけていること」などを一般的な事柄を話題とし、つぎに「学校が良くなるために努力したいこと」や、「取り組んでみたいこと」など、学校経営にかかわる仕事についての話をするようにします。

 ここで気を付けなければならないのは、失敗をしたり、うまくいかなかったりしたことなどの質問はしないことです。信頼関係ができると自然に話題が広がり、自分から話をしてくれるようになります。また、相手が教育活動に失敗し相談に来たときなどは、肯定的に「〇〇さんは、こういう意図をもって行動したのですね。それは立派だと思います。ただそれが相手に伝わらなかったのですね。〇〇先生の気持ちはよく分かります」、さらに「私も一緒に同席し〇〇さんの真意が伝わるように話します」など、親身になって問題が解決されるよう話を聞くようにします。

 また、こうした仕事にかかわる話をするときには、「ちゃんと」「しっかり」「きちっと」といった抽象的な表現は相手に伝わらないことがあります。大切な内容を話すときには、特に具体的に相手に伝わるように配慮し、話をする必要があります。

(前公立学校共済組合北海道支部学校支援アドバイザー・石垣則昭)

(メンタルヘルス 2017-04-05付)

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