小中学校適正規模確保基本方針原案 より良い環境構築を 変化踏まえ新たな方針策定―帯広市教委
(市町村 2017-01-27付)

 【帯広発】帯広市教委は「帯広市立小中学校適正規模の確保等に関する基本方針」の原案をまとめた。少子化などに伴う児童生徒数の減少によって、学校の小規模化が進んでいることから、より良い教育環境を目指し新たな基本方針を策定することにした。原案では、適正な学校規模の基準を小学校で「通常学級十二学級~二十四学級に、特別支援学級を加えた学級数」などと示している。

 同市教委は、十八年九月に「帯広市立小中学校の適正規模及び適正配置に関する基本方針」を策定。十年間を計画期間に適正配置を進めてきた。

 しかし、二十七年一月に文科省から新たな公立小学校・中学校の適正規模・適正配置等の考え方が示され、また、少子化等によって学校の小規模化が進むなど、環境が大きく変わってきたことから、二十八年五月に「帯広市立小中学校適正規模・適正配置市民検討委員会」を設置し、様々な観点から協議。

 検討委員会から提出された報告書を尊重しつつ、子ども一人ひとりの資質や能力を伸ばしていくことのできる、より良い教育環境の構築を目指し、新たな基本方針を策定することとした。

 基本方針原案では、市立小・中学校を取り巻く現状を説明した上で、「より良い教育環境を目指すために必要な視点」と「適正な学校規模の基準」を提示。さらに、学校規模適正化のための具体的な取組と、適正化の検討を進める上で配慮すべき事項を明記している。

 市立小・中学校を取り巻く現状については、児童生徒数が小学校では昭和五十八年度から本年度までに四九・六%減、中学校では昭和六十二年度から四八・九%減と大幅な減少傾向にある。

 また、学校規模では、通常学級が十二学級以上ある学校が、小学校では昭和五十八年度七七・三%(二十二校中十七校)あったのに比べ、二十八年度は五〇%(二十六校中十三校)に減少。中学校では、昭和六十二年度の七一・四%(十四校中十校)に対し、本年度は三五・七%(十四校中五校)に減少するなど、学校の小規模化も進んでいる。

 これらを踏まえ、「適正な学校規模の基準」を設定。

①小・中学校ともに、進級の際のクラス替えなどによって、多様な人間関係がつくられ、学習活動や集団生活を通じて教育的効果の向上が図られる一学年複数学級が望ましい

②中学校については、教科担任制であることから、教科指導の充実を図る上で主要五教科には教科ごとに複数教員が配置され、実技系教科にも教科ごとに教員が確保される体制が望ましい

③農村地域は、地理的条件や通学時間等の関係から、市街地とは分けて考える必要があるが、複式学級は、小規模化のデメリットが顕著となり、教育環境上の課題が大きいと考えられる

④「教育に関する意識調査」において、児童生徒の八割および保護者の九割以上から、一学年当たりの学級数は、二学級以上の複数学級が望ましいとの回答を得た

 ―の四点を考慮した上で、適正な学校規模の基準を、小学校は「通常学級十二学級~二十四学級に、特別支援学級を加えた学級数」、中学校は「通常学級九学級~十八学級に、特別支援学級を加えた学級数」、さらに、農村地域の小・中学校においては「通常学級一学年一学級以上に、特別支援学級を加えた学級数」とした。

 また、適正な学校規模を確保するための取組として、通学区域の変更の検討(隣接する学校の通学区域の見直しによって、小規模校の通学区域等に編入することを検討する)、学校の統合の検討(小規模校と隣接する学校の統合を検討する)や、小規模特認校の指定拡大の検討、小中高一貫教育の検討も行うこととしている。

 なお、基本方針原案は市のホームページで公表しており、二月二日までパプリックコメントを募集している。

(市町村 2017-01-27付)

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