道高校長協会第3回理事研 活動を焦点化・目標化 次年度協会活動で大鐘会長
(関係団体 2017-02-10付)

道高校長協会理事研
大鐘会長は、研究・研修の充実による協働体制確立が、後継者の育成や危機管理体制の強化につながると訴えた

 道高校長協会(大鐘秀峰会長)は七日、道庁別館で二十八年度第三回理事研究協議会を開いた。開会あいさつに立った大鐘会長は、次年度の協会活動について、「活動方針は、理念だけではなく、中短期的展望におけるミッション性も合わせて打ち出すとともに、取組の重点目標を新たに設定し、活動の焦点化、目標化を図る」などと表明。「研究・研修を充実させることによって、協働体制を確かなものにしていくことが、学校経営の改善による後継者の育成や危機管理体制の強化につながる」と述べた。

 本年度最後となる第三回理事研では、二十九年度活動方針・事業計画、三十年度文教施策要望などについて協議した。

 大鐘会長の開会あいさつの概要はつぎのとおり。

          ◇          ◇          ◇

 本年度を振り返ると、教育改革動向が明確になるにつれ、校長一人ひとりの課題意識の高まりを感じる。各学校においては、明確化された次期学習指導要領の内容をはじめとして、二つの新しいテストの実施に向けて、学校経営の視点から、新たな課題を職員にどのように共有させ、解決に向かうのかといった全体計画に腐心しながら、取組を始めていることと思う。

 校長協会としては、これからの本道の高校教育の指針となる「新たな高校教育の指針」改訂後の「新たな指針」の三つの基本方針、「活力と魅力のある高校づくり」「経済社会の発展に寄与する人材を育む高校づくり」「地域とつながる高校づくり」を視野に入れて、課題の整理をしながら、新たなビジョンの策定につなげていく必要がある。

 そこでは、すでに示されている教育改革動向の行程表を踏まえて、本校長協会の活動方針および活動計画を明らかにしていかなければならない。

 この年度末には、来年度の協会の活動を円滑に進めながら、協働体制の強化、研修の充実、後継者の育成等の課題の解決を図るため、活動方針の策定および活動計画をはじめとして、しっかりとした足固めをしていきたいと考えている。どうか協力のほどをお願い申し上げる。

▼全国情勢

 年末に次期学習指導要領の答申がなされ、改訂される全体の輪郭が明確になった。次年度に、さらに詳細な改訂に入っていく。改訂の二本柱である「主体的・対話的で深い学び」とカリキュラム・マネジメントの研究、実践を視野に入れた自校での具体的な取組を始める段階に入っている。各校の状況や目標に合わせた取組の推進が求められている。

 高大接続改革関係では、仮称「高校基礎学力テスト」のモデル校での試行調査がこの一、二月に実施される。中でも、「読解力調査」は、今後の多方面にわたる指導と評価の試金石となると考えられるので、十分注目していく必要がある。

 仮称「大学入学希望者学力評価テスト」は、すでに示されている国語・数学の記述問題例を研究するとともに、英語四技能のテストの在り方についての動向を注視しつつ、自校での対応策を考えていくことになる。

 個別大学入試でも、文部科学省の事業である全国の大学でのコンソーシアムによって検討が行われ、モデル問題をデータベース化することが意図されている。AO入試や推薦入試は、思考力や表現力を全体的に問うていく方向に合わせて、国立大学二次試験で国語・小論文・総合問題のいずれも課さない大学が六割以上に達している現状を改善し、何らかの学力検査を課す方向が示されている。また、調査書も多様で具体的な記載をすることとともに、学習意識や学習計画の記載を求めることが検討されている。

 以上のような、「学力」にかかわる改革動向に応じて、各部会の全国情勢では、部会の在り方の再構築、大学や社会との接続の視点からの検定の充実、海外研修の実施などが新たな方向として報告されている。

 そのほかでは、昨年の公職選挙法改正に伴い、民法の一部改正も近々国会審議されることになるが、十八歳成人が実現すれば、親権の有無によって、生徒指導上、区別した対応が必要になってくることになり、問題が生じることが予想される。

▼道内情勢

 道の施策として本年度から始められた学校職員人事評価制度については、これから行う職員の自己評価に対して、管理職が一次評価および二次評価を行った上で、職員の目標達成について、成果と課題を踏まえた指導助言を期末面談によって実施し、次年度への自己啓発を促していくことになる。

 この制度にかかる質問等については、すでに支部長を通して集約したものを教職員課人事企画グループに送り、二月中旬には回答される予定である。評価の実施に当たっては、本年度の調査研究部の管理運営委員会でまとめた論考が参考になると考える。

 また、文教施策要望で要望を続けていた、変形労働時間制度の対象業務について、教育相談や家庭訪問が認定される方向にある。制度改正の形で降りてくるが、それがそのまま適用できるのか、何らかの運用上の工夫が必要なのか、各校の実情に合わせて進める必要がある。実施段階において、情報交換が必要になりそうである。

 さらに、部活動の申し合わせに、文化系部活動も加わることになった。あらためて、その趣旨を確認する必要がある。この背景には、国の働き方改革の流れがあるように感じる。併せて、各校のストレスチェックの集団分析結果も、業務改善上の参考資料にしていく必要がある。

 加えて、先日、コミュニティ・スクール化につながる学校運営協議会の設置希望調査があった。これは、中央教育審議会の提言とともに、今後の地方創生の流れと連動する制度になってくると考える。各校および地域の実情に合わせて、長期的展望のもとで、どのような学校づくりをするのかという大きな経営ビジョンを描くことになる。管理運営上の調査研究の大きなテーマになると考えている。

▼校長協会の活動

 校長協会の動きとしては、大きな改革期にあるという認識のもと、次年度に向けて、本協会の活動方針や調査研究の組織体制等について、あらためて見直し、年度内に固めていく予定である。

 活動方針については、理念だけではなく、中短期的展望におけるミッション制も合わせて打ち出すとともに、これまでなかった取組の重点目標を新たに設定し、活動の焦点化、目標化を図る。また、調査研究の組織体制については、時宜に応じた実効性のある研究ができるよう、委員会組織や構成を見直す。

 そのような協会の活動を推進する中で、研究・研修を充実させることによって、協働体制を確かなものにしていくことが、学校経営の改善による後継者の育成や危機管理体制の強化につながると考えている。

 また、これから例年どおり、文教施策要望および人事異動にかかるアンケート調査を実施させていただく。支部長の先生方には、多忙の中、大変なお手数をおかけするが、よろしく協力のほど、お願いする。

 さらに、三月十八日に、採用校長事前研修会を予定している。校長の大量退職に伴い、多くの採用校長が誕生することから、着任校における円滑な学校経営に資することを目的としている。支部長の先生方を通して連絡することになるので、よろしくお願いする。

 最後に、昨年度から開始された社会貢献事業「DO3KO 福プロジェクト」について、一月下旬に開催された全国ユニセフ研修会において、宮嶋副会長から報告され、その取組が話題になったとのことである。自信と希望をもって、この事業を継続させていきたいものである。

 以上の諸活動について、今後とも、一層の理解と協力をお願い申し上げる。

▼入学者選抜業務

 道民からの関心が高い高校の入学者選抜の業務が続いているが、各学校においては、卒業式をはじめ、年度末の多忙な中での実施や、例年実施していることへの慣れからくるミスが生じないよう努めていく必要がある。

 特に、昨年度は、他県公立高校の採点ミスが全国的なニュースとなったことを受けて、採点、点検等に、例年より多くの時間を費やした学校が多かった。本年度も、『入学者選抜の手引』や校内マニュアルに基づいて、ミスのないよう、しっかりと取り組んでいきたい。

▼おわりに

 今回が、本年度最後の理事研究協議会になる。自校の課題をかかえながら、理事として、大変な業務を担っていただき、あらためて感謝申し上げる。また、勇退される校長先生には、長年にわたって本道の高校教育、そして、校長協会の活動へ貢献いただいたことに、心より感謝申し上げる。

 本年四月以降、会員はもちろんのこと、部会長、支部選出理事、主査、連盟会長等が替わるところでは、新たな体制でのスタートとなるが、スムーズな引継をお願いする。

 研修・研究が本協会の活動の一番の柱であることは、年度当初から申し上げてきたことだが、各部会、各支部、各調査研究委員会、各連盟においても、諸課題の解決に向けて、会員相互が知恵を出し合い、それぞれの組織経営に資するような新たな方向性を、希望をもって描いていくことを祈念している。

(関係団体 2017-02-10付)

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