道教委が29年度予算案を発表 総額4033億円計上 学力向上で拠点校指定事業(道・道教委 2017-02-20付)
道教委は十七日、二十九年度道教育予算案を発表した。予算総額は四千三十三億七千七百四十万円。県費教職員給与負担等の札幌市への移譲に伴い、対前年度当初比一五・七%減となった。新規事業をみると、道学力・体力向上対策推進事業において、地域の核となるミドルリーダーの指導力向上研修会開催や学力向上の拠点校指定を通した授業改善の支援、子どもの学力・生活習慣改善に向けた研修会開催、子どもが自ら取り組める運動プログラムの開発などを実施。グローバル人材育成を目指すタイプ別高校英語力向上の研究や中学生の英語チャレンジ、北海道百五十年に向けた映像資料のデジタル化などを盛り込んだ。
二十九年度道教育費予算案の総額は、対前年度当初比一五・七%減の四千三十三億七千七百四十万円。
県費負担教職員の給与負担等が札幌市に移譲されることに伴い、給与費が一七・三%、七百三十三億四千二十二万円減の三千五百八億六千三百四十四万円となったことが主な要因。
このほか、費目別では、施設建設事業費が二・九%、二億一千二百九十四万円減の七十一億二千百六十万円。うち、学校建設費は、二・七%、一億七千三十万円減の六十一億五千八百六十九万円。
また、一般事業費は、三・四%、十五億九千百五十五万円減の四百五十三億九千二百三十六万円となっている。
主な事業をみると、道学力・体力向上対策推進事業費に四億八千四十六万円を計上。
そのうち、ほっかいどう学力向上推進事業では、教頭やミドルリーダー的な役割の教諭などを対象に、全管内で組織力強化会議を新たに開催。検証改善サイクルの確立を促進する。
同じく、授業改善等支援の新たな取組として、地域の核となるミドルリーダーの指導力向上研修会を道内四会場で実施。その成果は、受講者が授業公開などを通して、普及啓発する。併せて、学力向上に向けた拠点校を各管内三校ずつ指定し、大学教授や授業改善推進教員などの派遣、検討会議等を通した支援を行う。
小中一貫教育の支援のため、モデル的なカリキュラムを作成する全道研修会を新規に開催する。
子どもたちの学力・生活習慣の改善を目指し、全管内で研修会の開催、保護者向けリーフレットの作成・配布を新たに行う。
授業改善推進チーム活用事業では、授業改善推進教員の配置を、本年度の四十四人から六十八人へと増員する。
学校力向上に関する総合実践事業では、実践指定校三校、近隣校九校を新たに指定する。
体力にかかわっては、子どもの体力向上ボトムアップ事業で、大学やスポーツ団体、企業、学校関係者など五十団体で構成する実践研究検討会議を新たに開催。同会議のもとで、運動大好きプログラムと授業改善プロジェクトに取り組む。
新規事業の運動大好きプログラムでは、小学校七校、中学校二校を実践校に指定。同会議で開発した、子どもが自ら取り組める運動プログラムを実践する。併せて、児童生徒向けプログラムリーフレットを作成・配布するほか、保護者や関係団体への活用を呼びかける。
一方、授業改善プロジェクトでは、大学教授の訪問指導などによる体育授業の充実改善に引き続き取り組むほか、新たに、小中高の教員用指導資料を作成・配布する。
子ども・地域生活習慣向上プロジェクト事業では、学力・体力と相関関係のある望ましい生活習慣の定着を図る各種事業を展開。
地域の実態に応じた生活習慣の定着に向け、地域住民の参画のもと、小学生と保護者を対象とした「生活習慣学び塾」を新たに開く。実施市町村数は六十市町村を計画。その運営を担う地域人材を育成するため、研修会の開催も予定している。
同事業では、先行事例の収集や事業内容の検討、各地域への指導助言等を行う推進会議を新たに開催。
早寝早起き朝ごはん運動の推進に向けた新たな取組として、推進校を指定し、中学生を対象とした生活習慣定着の効果的な手法などを調査研究。全道フォーラムの開催も盛り込んでいる。
学校図書館等活用促進事業では、全道四会場で学校図書館を活用した効果的な授業づくりの研修会を開くほか、授業実践事例集を作成するなど、学校図書館の活用促進のための新たな取組を行う。
小規模学校等教育活動支援事業費に一千二百九十一万円を計上。中で、サイエンスカーを活用した移動理科教室推進事業を七管内三十八会場で実施。二十八年度からの二ヵ年で全管内を一巡する。
グローバル人材育成推進事業費は、二千五百三十万円と、百二十九万円増額した。
このうち、グローバル人材の育成に向けた英語力向上推進事業では、新規にタイプ別高校英語力向上に取り組む。将来の英語活用機会の状況を三タイプに分け、それらに応じた指導方法を研究する。十校を指定。業務上、英語を使用する企業などへの訪問、外部検定試験の実施、各指定校での公開授業や研究協議、全道成果報告会の開催などを計画。モデル別指導プログラムを作成する。
英語力向上支援事業では、新たに英会話チャレンジを導入。五つのモデル市町村に企業などのサテライトを設け、中学生が英会話にチャレンジするポイントラリーを行う。
新規事業の帰国・外国人児童生徒等教育推進事業では、道教委の指導主事などを学校に派遣し、日本語能力の判定測定方法の実施や日本語指導についての指導助言を行う。
いじめ・不登校等対策推進事業費には、四百五十五万円増の二億五千二百九十八万円を充てた。
いじめ等対策総合推進事業で、巡回型のスクールカウンセラー二十八人を新たに配置。高校スクールカウンセラーは、前年度の六十校から九十八校へと拡充する。スクールソーシャルワーカーも、前年度の二十八市町村三十四人から三十市町村三十六人と拡充。
ネットパトロールにかかわっては、教職員の検索技術向上などを行う全道・管内研修会を新規で行う。
中一ギャップ問題未然防止事業では、実施中学校に効果的な取組を行う教員一人を配置する。
放課後子供教室事業や子ども未来塾事業では、実施市町村数を拡充。
コミュニティ・スクール導入等促進事業では、コーディネーター養成のための研修会開催などを新たに盛り込む。
幼児教育の質向上推進プラン事業では、「幼児教育アドバイザーの育成・配置」などの調査研究に取り組む。
また、新規事業として、ふるさと映像資料等活用促進事業を実施。北海道百五十年に向け、道立図書館が所蔵するアイヌ文化などの映像記録をデジタル化。道内図書館・博物館等での展示・上映、学校でのふるさと教育などでの活用を進める。
(道・道教委 2017-02-20付)
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