道教委が高校進路指導対策会議 基礎学力や学び方習得を 札幌大谷大・平岡教授講演(道・道教委 2017-04-21付)
キャリア教育の重要性を説く平岡教授
道教委は十九日から二日間、札幌市内の北農健保会館で二十九年度高校進路指導対策会議を開いた。初日は、札幌大谷大学社会学部地域社会学科の平岡祥孝教授が「高校の学びとキャリア形成」と題して講演。高校段階で、生徒に基礎学力や学び方を身に付けさせる必要性を挙げたほか、キャリア教育を「学校社会と職業社会を結び付けていく教育」と定義付け、「教員が主体的に担わなければならない」と指摘した。
高校・特別支援学校高等部における進路指導上の諸問題について研究協議を行い、地域や学校の実態に応じた進路指導の充実、雇用対策の円滑な推進を図るために開いたもの。
本年度会議の主題は「生徒一人ひとりの社会的・職業的自立に向け、必要な能力や態度を育てるキャリア教育の在り方」。
高校等の進路指導担当教員、教育局や札幌市教委の指導主事などのほか、キャリア教育の充実を図る上で、発達段階に応じ体系的に学校種間の接続を図る必要があることから、公立中学校の進路指導担当教員を含め約百十人が出席した。
初日の開会式では、山本明敏高校教育課長があいさつ。「生徒たちが変化を前向きにとらえ、感性を豊かに働かせて、どのような未来をつくっていくのか、また、どのように自分の人生や社会をよりよいものにしていくのかを考えながら主体的に学び続け、自らの能力を高め、自分なりに試行錯誤したり、多様な他者と協働したりして、新たな価値を生み出していくことが重要」と指摘した。
また、「各学校においては、キャリア形成を図る上で必要な基礎的・汎用的能力を生徒に身に付けさせるために、教育活動全体を通して、組織的・計画的にキャリア教育を実践することが大切」と述べた。
開会式後、平岡教授が講演を行った。
◆学校社会と職業社会を結ぶ教育が必要
平岡教授は、本道における新規高卒就職者の離職率が全国を上回っていること、また、離職率は、短大卒、大卒と上級学校になるのに従って低くなっているとのデータを示し、「学校で学ぶ期間が長いと、その間、〝自分づくり〟ができる。その時間が長いほど、離職率は低い。事情が許すのならば、できるだけ上級学校で学んでほしい」と述べた。
経済界からは、中等教育において、「基礎学力の養成」を期待する声が高いと説明し、「基礎学力がなければ、アクティブ・ラーニングはできない。アウトプットはできても、アウトカムはできない」と指摘。「中等教育では、生徒に基礎学力をしっかりと身に付けさせ、上級学校につなげてほしい」と求めた。
「大事なのは、学び方を身に付けさせること」「学びの方法を習得することは、社会の環境変化に適応していくことに通じる」とも指摘した。
キャリア教育については、「学校社会と職業社会を結び付けていく教育」と定義。キャリア教育は、「日常的な学びの中で実践されなければならない」ことから、「教員が主体的に担わなければならない」と述べた。
講演後は、説明や中・高校の実践事例発表を実施。高校進学、高校就職、特別支援学校の三分科会で説明・協議も行った。
二日目は、引き続き、分科会で提言や研究協議などを行った。
(道・道教委 2017-04-21付)
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