道教委の公立高・特校長会議 不祥事防止へ取組を推進 佐藤教育部長あいさつ概要
(道・道教委 2017-05-11付)

公立高校特校長会議佐藤教育部長
生徒の希望や保護者の負託に応える教育の充実を期待した

 道教委主催の二十九年度公立高校長・特別支援学校長会議(九日、ホテルライフォート札幌)における佐藤寛教育部長のあいさつ概要はつぎのとおり。

          ◇          ◇          ◇

 校長の皆さんには、日ごろから、本道教育の充実・発展に尽力いただいていることに、心から感謝申し上げる。

 本年度も、本道の将来を担う児童生徒の確かな学力、豊かな心、健やかな体を育んでいくことができるよう、様々な教育施策を推進していきたいと考えているので、よろしくお願いする。

 本日は、学校経営の充実に向け、校長の皆さんに期待することなど、五点にわたり申し上げる。

 一点目は、「高校教育全体の質の確保・向上」について。

 高校には、中学校卒業後の約九八%の生徒が進学しており、社会で生きていくために必要となる力を共通して身に付ける、初等中等教育最後の教育機関として、一人ひとりの生徒の進路に応じた多様な可能性を伸ばし、その後の高等教育機関や社会などでの活動へと接続させていくことが期待されている。

 現在、国においては、学習指導要領の改訂が進められており、昨年十二月に公表された中央教育審議会の答申では、改善の方向性として、「カリキュラム・マネジメント」や「主体的・対話的で深い学び」の実現等が示された。

 また、高大接続改革においては、仮称「大学入学希望者学力評価テスト」および「高校基礎学力テスト」が、現在の中学校三年生を対象に実施される方向で進められている。

 こうした中、道教委では、昨年度から「道高校学力向上実践事業」において、能力・進路等に応じた三つのモデルを設定し、教材開発を行うなど、各学校における生徒の学力や教員の教科指導力の向上に向けた取組を支援している。

 各学校においては、学習指導要領の改訂の方向性を踏まえるとともに、本事業を積極的に活用し、自校の現状と課題を分析して、授業改善を一層進めるなど、目標の達成に向け、取組を推進していただきたいと考えている。

 二点目は、「いじめの問題への対応」について。

 いじめへの対応については、「いじめ防止対策推進法」の施行から三年が経過し、文部科学省において、本年三月、「いじめの防止等のための基本的な方針」の改訂を行っており、本道においても、「北海道いじめ防止基本方針」の改訂を行う予定である。

 各学校においては、改訂された国の方針を参考にしながら、自校のいじめ防止基本方針の点検や見直しを行うなど必要な措置を講じ、日ごろから、子どもたちのささいな変化を見逃さないよう、緊張感をもち、いじめの未然防止、早期発見・早期対応の取組の一層の充実に努めていただきたいと考えている。

 また、不登校への対応については、昨年十二月に、いわゆる「教育機会確保法」が公布され、個々の不登校児童生徒の状況に応じた支援の充実が求められている。

 各学校においては、不登校が生じないような魅力ある学校づくりに努めていただくとともに、支援シートを活用した不登校の理由等の的確な把握や、保護者・地域住民等との連携・協働体制の構築など、不登校の早期発見・早期対応につながる適切な支援を一層充実させていただきたいと考えている。

 三点目は、「特別支援教育の充実」について。

 特殊教育から特別支援教育への転換が図られてから十年が経過したが、この間、特別支援学校においては、知的障がいの学校における在籍者数の大幅な増加や、すべての障がい種での児童生徒の障がいの重度・重複化がみられるなど、より多様で幅広いニーズへの対応が求められる状況となってきている。

 また、高校においては、現在、五割を超える学校に特別な教育的支援を必要とする生徒が在籍していることや、来年度から「通級による指導」の制度がスタートすることなど、学校種別を問わずすべての学校において、一人ひとりの教育的ニーズに応じた指導や支援の充実を図ることが必要となっている。

 そうした状況にあって、地域における特別支援教育を推進するためには、各学校のリーダーである校長相互の緊密な連携が大変重要であると考えている。

 校長の皆さんには、これまで以上に学校間の連携に努めるとともに、地域の教育資源の組み合わせ、いわゆる「スクールクラスター」を有効活用するなどして、保護者や地域の期待に応えることができるよう、一層リーダーシップを発揮していただくことを期待している。

 四点目は、信頼される学校づくりについて。

 不祥事の防止に向けては、これまでも、校長の皆さんから教職員へ指導をいただいているが、本道では、二十八年度の懲戒処分件数が百件を超え、前年度とほぼ同じ状況で推移するなど、本道教育への信頼を大きく損ねる、極めて憂慮すべき状況が続いている。

 また、処分事例の中には、飲酒運転や体罰など非違行為に対する教職員の認識が極めて不十分な事例や、所属長の指導や事故後の対応に適切さを欠く事例が見受けられる。

 校長の皆さんには、これまでの取組が、教職員一人ひとりの意識改革に確実に結び付いているかどうかを今一度確認し、これまでの指導方策について、必要な見直しや改善を行うなど、実効性のある取組を進めていただきたいと考えている。

 五点目は、教育職員の時間外勤務等の縮減について。

 このことについては、今の教育現場にとって非常に大きな課題であると認識している。

 道教委では、これまでも教職員の時間外勤務等の縮減に向けた取組方策を基本としながら、様々な対応を行ってきているが、本年度は、体制を強化し、時間外勤務の縮減に向けた取組を一層推進していきたいと考えている。

 各学校においては、先般に通知した「重点取組」に基づき、このたび改正した週休日の振替等の制度の有効活用を図るとともに、管理職員による業務管理・業務改善の取組や部活動休養日などの取組を徹底し、時間外勤務の縮減を一層推進していただきたいと考えている。

 子どもたちには、複雑で予想することの難しい未来が待ち受けているが、こうした変化を前向きに受け止め、よりよい社会と幸福な人生をつくり出していく力を身に付けさせることが、教育の使命である。

 道教委としては、こうした使命を果たすべく、学校・家庭・地域・行政の緊密な連携のもとで、一丸となって教育を取り巻く様々な課題の解決に努めるとともに、本道教育の充実・発展に一層真摯に取り組んでいく考えである。

 皆さんには、国や道における教育改革の動向を的確に踏まえつつ、自らの学校が担うべき使命と役割を見据え、校長としての責任と権限のもと、リーダーシップを存分に発揮し、生徒の希望や保護者の負託に応える教育の充実に一層の尽力をいただくことを期待申し上げる。

(道・道教委 2017-05-11付)

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