高・特校長会議の道教委所管事項説明①不祥事防止の取組要請 管理職候補の人材育成を―土井寿彦総務政策局長
(道・道教委 2017-05-15付)

高特校長会議説明土井寿彦
説明に立つ土井総務政策局長

 道教委の二十九年度公立高校長・特別支援学校長会議(九日、ホテルライフォート札幌)では、土井寿彦総務政策局長、大川祐規夫生涯学習推進局長、武田信吾新しい高校づくり推進室長、宇田賢治教育職員局長、北村善春学校教育局長がそれぞれの所管事項を説明した。その概要を連載で紹介する。

▼予算の効率的な執行

 道では、道政上の課題と財政規律の両立を図るため、行財政運営方針を策定し、引き続き、財政健全化に取り組んでいるが、道財政は、昨年度の大雨災害への対応などから、方針策定時より収支不足が拡大する厳しい見通しとなっている。

 道教委としては、児童生徒に直接かかわる経費や、教育行政上の諸課題に対する必要な予算を確保したが、各学校においては、予算の執行に当たり、限られた予算の中で最大の効果を上げるよう、不断の見直しを行うとともに、厳正かつ効果的・効率的な執行に努めるようお願いする。

▼財務会計事務の適正執行

 道立学校における会計事務については、公費、私費ともに適正な事務処理をお願いしているが、昨年度、私費会計において、取り扱いの不適切な事案が二件発生した。

 一つ目は、学校徴収金の徴収事務において、適切な事務処理を怠ったことによって多額の未収金が発生し、それを自費で補てんしたほか、卒業生への清算金の返還を怠っていたもの。二つ目は、日常の金庫の管理が十分ではなく、金庫に保管していた現金を紛失したもの。

 これらの事案における共通の原因として言えるのは、担当者任せになっており、上司などの確認行為等が徹底されていなかったことにある。

 公費会計も私費会計も、会計事務について求められる基本は同じであり、公的機関である学校が事務処理を行うのに当たっては、取り扱いについて批判や疑念を受けることのないよう、責任ある事務処理体制のもと、道費に準じて厳正に取り扱っていただくようお願いする。

▼文書事務の適切な処理

 昨年度、知事部局において、個人情報の紛失や誤送付の事案が連続して発生したことを受け、道立学校に対しても、本年一月二十七日付で、文書事務の適切な処理について通知している。

 個人情報が含まれる郵送物の送付に当たっては、複数体制でチェックを行ったり、確認事項を順守し事務を執り進めるなど、これまでと同様に、個人情報の取り扱いに万全を期し、同様の事案が発生することのないよう十分留意願う。

 また、昨年度もこの会議で申し上げているが、生徒の事故に伴い実施したアンケートの調査票が、道立学校文書管理規程等の関係規定に基づかずに廃棄されていた事例があったことから、文書管理規程等の関係規定に基づき、公文書が適正に管理されるよう、引き続き、所属職員への指導の徹底をお願いする。

▼道立学校の施設整備

 本年度の道立学校の施設整備については、道財政が厳しい状況にある中、施設の長寿命化や教育環境の改善の観点から、緊急性や優先度の高い事業を予算化して実施することとしており、本年度の校舎や体育施設の大規模改造工事については、新たに高校十四校、特別支援学校八校の計二十二校の設計を行う予定である。

▼学校施設の安全管理

 本年度に入り、道立学校で一件のぼやが発生している。

 職員の初期対応によって大事には至らなかったが、一歩間違えれば大きな事態となったものと危機感を覚える。

 各学校においては、新年度の新しい学校体制において、あらためて教職員や児童生徒に対し、学校火災の防止に万全を期すよう、指導をお願いする。

 また、近年、台風や暴風雪などの自然災害による学校施設への被害が多く発生している。

 今後とも、学校施設の機能を維持するための日常点検のほか、気象台が発表する気象情報などに十分注意し、警報などが発令されるような場合には、事前点検を行うとともに、速やかに事後の点検を行うなど、施設の安全確保対策を徹底するよう、併せてお願いする。

▼教職員の人材育成

 道教委では、これまでも意欲ある若手や女性の管理職登用に努めており、女性の管理職登用については、昨年三月に、「女性活躍推進法に基づく特定事業主行動計画」を策定し、二十八年度からの五年間で、管理職員に占める女性の割合を一五%とすることなどを目標に掲げた。

 近年、教頭昇任候補者選考の受検者数が減少しており、候補者の確保が喫緊の課題となっている。

 各学校においては、管理職候補となる人材の発掘・育成、特に、女性ミドルリーダー層の拡大など、つぎの世代を担う管理職候補者の人材育成に、これまで以上に尽力いただくようお願いする。

▼教職員人事

 本年度の当初人事に際しては、人事異動の重点的な取組や特殊事情の考え方などを示した人事に関するリーフレットを配布しながら、長年勤務者の解消、都市部から郡部への異動促進に取り組んできた。

 道教委としては、今後とも、全道的な視野と長期的な展望に立った人事を進めるため、これらの取組のさらなる定着化を図っていく考えなので、校長先生方においては、所属職員に対して、人事異動要綱等の趣旨の徹底をさらに図るなど、引き続き、適切な人事異動の促進について、尽力いただくようお願いする。

▼主幹教諭の配置

 二十七年度から道立学校においても、順次配置を進めていることから、引き続き、中堅の教員が積極的に選考を受験するよう働きかけるとともに、教務主任等の経験や研修への参加など、計画的に将来の候補者の育成を図っていただくよう、お願いする。

▼指導力不足教員への対応

 各学校においては、今後とも、こうした教員の把握に努めるとともに、校内支援マニュアルのほか、道立教育研究所および道立特別支援教育センターで実施している、指導力向上にかかる助言業務を活用するなどして、指導力不足教員の早期改善に向けた取組をお願いする。

▼教育職員の時間外勤務等の縮減

 二十一年八月に策定した「取組方策」に基づき、具体の取組を進める一方で、昨年度は、時間外勤務等縮減推進会議での議論を踏まえ、「道学校職員の勤務時間、休暇等に関する条例」を一部改正し、週休日の振替等について、三時間四十五分の勤務時間の割振り変更を可能とするとともに、変形労働時間制の対象業務の拡大を行ったほか、本年二月には、校長会やPTA、中・高体連等の関係団体による「部活動指導の見直しにかかる申し合わせ」について、運動系部活動だけではなく、文化系部活動も含めることとし、あらためて関係団体等に周知徹底した。

 各学校においては、週休日の振替等の効果的な活用をはじめ、管理職員による業務管理、部活動休養日などの取組を徹底していただくなど、時間外勤務縮減の一層の推進をお願いする。

▼教職員の不祥事防止の取組

 五月と六月は、「コンプライアンス確立月間」であり、服務規律の徹底を確実に行う強化月間となっている。

 この期間中、各学校では、服務規律にかかわる全体研修の実施はもとより、校長が職員一人ひとりとコミュニケーションを図りながら、コンプライアンスの徹底を意識付けする個人研修の実施をお願いする。

 また、懲戒処分にかかる昨年度の状況では、わいせつ等の重大事故や飲酒運転などの事例に加えて、管理職員の処分者も相当数発生している。

 これらを踏まえて、特に、

①わいせつ事故や窃盗などの重大事故の根絶

②交通違反・事故の防止

③体罰事故の防止

④パワーハラスメントの防止

 ―の四点について、管理職員自らが自覚するとともに、職員一人ひとりに確実に指導を徹底していただくようお願いする。

 特に、飲酒運転については、一昨年度、いわゆる「飲酒運転根絶条例」が施行されたことなどを踏まえ、昨年度、「道立学校教職員の飲酒運転根絶に向けた〝決意と行動〟」を策定したので、取組の徹底をお願いする。

▼新しい教育計画の策定

 二十年三月に策定された、現在の教育計画である「道教育推進計画」は、十年間を計画期間とするもので、策定から五年目の二十五年度に一度見直しが行われ、本年度をもって計画期間を終える予定である。

 このため、三十年度以降の新しい教育計画の策定について、昨年五月に外部有識者からなる道教育推進会議に諮問し、これまでの取組の成果や課題を分析し、新たな計画づくりを進めている。

 今後、秋ころには原案を作成する予定であり、原案がまとまったら、校長会をはじめ、各教育関係団体にも、意見を伺っていきたいと考えているので、よろしくお願いする。

▼教育の情報化

 ICTの活用は、子どもたちの興味や関心を高めるとともに、教育の質の向上を図る上で有効であり、広域分散型の本道においては、遠隔授業や遠隔研修などの実施によって、教育環境の維持・充実を図っていく必要がある。

 このため、道教委では、本道における教育の情報化にかかる指針の作成に取り組むとともに、スクールネットを、より学校の利便性を高めることができるよう、年度末までに更新することとしており、今後とも、ICTを活用した教育の一層の充実に取り組んでいく。

 説明は以上であるが、各学校においては、日常の学校経営を通して、職員の意識改革や自覚を促し、なお一層、危機管理や教職員の不祥事の未然防止などに向けて、取り組んでいただくようお願いする。

(道・道教委 2017-05-15付)

その他の記事( 道・道教委)

道教委の学校図書館活用促進事業 小中14校で研究推進 図書館活用した授業実践など

道教委学校図書館活用促進事業・表  道教委は、本年度から三ヵ年計画で、「学校図書館活用促進事業」に取り組む。全道十四管内で、学校図書館の環境整備や学校図書館を活用した授業づくりに関する「学校図書館活用促進研修会」を開催。小学...

(2017-05-17)  全て読む

高・特校長会議の道教委所管事項説明③道立学校間連携の活用を 本年度末に「新しい指針」―武田新しい高校づくり推進室長

校長会議説明・武田高校づくり推進室長  高校配置計画と特色ある高校づくり関連の事業などについて説明する。 ▼高校配置計画  本年度は、すでに決定済の三十年度、三十一年度の配置計画に、三十二年度の計画を加えた三年間の計画を策定...

(2017-05-16)  全て読む

高・特校長会議の道教委所管事項説明②ルールづくりの促進を 望ましい生活習慣定着で―大川生涯学習推進局長

校長会議説明・大川生涯学習推進局長 ▼ネット利用も含めた望ましい生活習慣の定着  ネット利用も含めた望ましい生活習慣の定着については、二十六年度から、PTAや各校長会等で組織する道子どもの生活習慣づくり実行委員会において、「...

(2017-05-16)  全て読む

28年度ネットパトロール 不適切な書き込み、大幅減の7264件 99%が「個人情報の公開」―道教委まとめ

 道教委は、二十八年度「ネットトラブル未然防止のためのネットパトロール」の巡回結果をまとめた。道内児童生徒による不適切な書き込み件数は、前年度比一千九百三十九件減の七千二百六十四件。項目別で...

(2017-05-16)  全て読む

高・特校長会議の道教委所管事項説明④公平・公正な判定求める 給与への人事評価結果活用―宇田教育職員局長

校長会議説明・宇田教育職員局長 【給与課所管事項】 ▼学校職員人事評価の結果の給与への活用  本年度から、学校職員人事評価の結果を昇給および勤勉手当に活用することとなり、勤勉手当については、二十九年六月期から、昇給につ...

(2017-05-16)  全て読む

〝ヒミツ〟に興味津々! 道立図書館が子ども向け図書館ツアー

道立図書館子ども向け図書館ツアー  道立図書館は五日、子ども向け図書館ツアー「図書館のヒミツをさがせ!」を同館で開催した。子どもと保護者合わせて十人が参加。普段入ることができない書庫や事務室を見学するなど、貴重な体験を楽しん...

(2017-05-15)  全て読む

28年度学校職員の懲戒処分件数 過去10年で最少の117件―道教委まとめ

過去10年間の学校職員の懲戒処分件数  道教委は、二十八年度の学校職員の懲戒処分件数を取りまとめた。札幌市教委所管分を除いた集計値で、交通事故と一般事故を合わせた処分件数は、対二十七年度比一件減の百十七件。過去十年で最少となった...

(2017-05-12)  全て読む

道教委の公立高・特校長会議 不祥事防止へ取組を推進 佐藤教育部長あいさつ概要

公立高校特校長会議佐藤教育部長  道教委主催の二十九年度公立高校長・特別支援学校長会議(九日、ホテルライフォート札幌)における佐藤寛教育部長のあいさつ概要はつぎのとおり。           ◇          ◇  ...

(2017-05-11)  全て読む

公立高校長・特別支援学校長会議―道教委 教育の質確保・向上を 佐藤教育部長が5点要請

公立高・特支学校長会議  道教委は九日、ホテルライフォート札幌で二十九年度公立高校長・特別支援学校長会議を開いた。佐藤寛教育部長があいさつに立ち、学校経営の充実に向け、①高校教育全体の質の確保・向上②いじめの問題へ...

(2017-05-11)  全て読む

CS導入促進に向け道教委 4ブロックで協議会開催 コーディネーター等養成研修も

 道教委は本年度、コミュニティ・スクール(CS)導入促進に向けて、新たな事業に取り組む。「CS協議会」を道内四ブロックで開催するほか、学校・地域の連携に当たって中心的役割を担う人材を育てる「...

(2017-05-10)  全て読む