28年度の体罰実態調査結果―道教委まとめ 前年度比11件減の20件 校内研修の効果で減少傾向
(道・道教委 2017-05-18付)

過去5年間の体罰にかかる調査結果
過去5年間の体罰にかかる調査結果(クリックすると拡大表示されます)

 道教委は、道立学校・市町村立学校(札幌市を除く)における二十八年度の体罰にかかる実態調査結果をまとめた。体罰件数は、前年度に比べ十一件減の二十件で、このうち、今回の調査で新たに判明したのは四件。調査を開始した二十四年度以降、体罰の件数は徐々に減少しており、道教委では、「感情をコントロールする校内研修の徹底を指導してきた効果が、徐々に現れたのではないか」と分析。今後も、指導資料『望ましい指導の在り方』などの活用、体罰事故防止に向けた研修の実施を各学校に呼びかけていく。

 道教委は二十四年度以降、体罰に関する実態把握と体罰事故防止の徹底を図るため、調査を実施している。

 二十八年度は、道立学校二百六十六校および市町村立学校一千三百八十七校の教職員、スクールカウンセラー、保護者、中学校、義務教育学校後期課程、高校、中等教育学校、特別支援学校中学部・高等部の生徒を対象に、体罰の有無等についてアンケート調査を実施。対象者約五十五万人のうち、約四十二万人から回答を得た。

 全校種合わせた体罰の件数は、前年度と比べ十一件減の二十件。このうち、すでに報告を受けていたものが十六件、教育委員会への報告がなく、調査で判明したものが四件。判明した四件は、「この程度であれば体罰ではない」と教員が誤って判断したケースだった。

 体罰があった学校数は、前年度と比べ十校減の十九校。うち、既報告分が十五校、今回判明分が四校だった。

 被害を受けた児童生徒数は、二十三人減の二十一人で、うち既報告分が十六人、今回判明分が五人。

 体罰が行われた場面は、「授業中」七件、「部活動中」三件、「休み時間」一件、「その他(放課後、学校行事など)」九件。

 体罰の態様は、「殴る」が十五件と最も多く、「蹴る」一件、「その他(転倒させる、ほおをつかみ壁に押しつけるなど)」四件。体罰による傷害があったケースは、前年度から六件減の二件(口の中を切る、鼓膜せん孔)となった。

 体罰の把握のきっかけ(複数回答)は、教員からの申告が十二件、保護者からの訴えが六件、児童生徒からの訴えが五件。

 把握した体罰二十件のうち、十一件(すべて既報告分)は、二十八年度末までに処分を完了した。

 また、体罰防止に関する校内研修や、その他の取組等を通じて指導を行った学校の割合は、前年度に続いて一〇〇%となり、このほか、体罰防止に関する取組を行った教職員の割合は四七%となった。

 また、外部指導者による暴力は一件発生。すでに道教委に報告済みの案件だった。

 道教委では、体罰の処分件数が減少傾向にある理由として、「指導資料の活用、感情をコントロールする校内研修の徹底を指導してきた効果が、徐々に現れたのではないか」と分析する。

 今回新たに判明した体罰に関しては、既報告分も併せ、詳細に事実関係を調査した上で、厳正に対処する方針だ。

 道教委は、実態把握の結果を踏まえ、学校において指導資料『望ましい指導の在り方』などを活用し、全体研修や個別研修などの校内研修を繰り返し実施することや、体罰によって処分を受けた教職員を対象とする研修を引き続き実施することを通して、体罰への教職員の認識を深め、体罰事故防止をの徹底に取り組むとしている。

(道・道教委 2017-05-18付)

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