小中高一貫ふるさとキャリア教育―道教委 事業の枠越えて普及を 10月に札幌で全道サミット
(道・道教委 2017-06-02付)

 道教委は五月三十一日、札幌市内の道第二水産ビルで二十九年度第一回道キャリア教育推進会議を開いた。小中高一貫ふるさとキャリア教育推進事業の一環。委員からは、「この事業の取組を全道すべての学校に普及してほしい」などと、研究指定事業の枠にとどまらない取組や事業の継続を求める意見が出た。また、事業を一層進めるため、「コミュニティ・スクール(CS)の設置が重要」との声もあった。同事業では、集大成の取組として、十月に札幌市内で「北海道キャリア教育サミット」を開き、子どもたちや教職員、関係者が成果などを共有することにしている。

 同事業は、地域の未来を担う人材を育成するため、地方自治体や地域の産業界など関係機関・団体の支援を受けながら、研究指定校において、家庭生活の大切さや子どもを育てることの意義についての学習、小・中・高校間の体系的なキャリア教育に取り組み、本道におけるキャリア教育の充実を図るもの。

 研究指定校には、各管内から、原則として同一市町村の道立高校と小・中学校五十校を指定。各地域で、地域のよさや地域での生活を営むことの意義について理解を深める「地域ダイスキ!プロジェクト」、将来、道内各地で家庭をもち、子どもを育てることの意義について理解を深める「子どもダイスキ!プロジェクト」を展開している。

 二十七年度からの三ヵ年事業で、本年度が最終年度。

 委員十九人が出席した第一回会議では、事務局が二十八年度の取組を報告。一例として、高校生が地域の魅力を伝える情報誌づくりに取り組んだ桧山管内、中学生が観光パンフレットを作成し地域をPRした根室管内、英語で地域の魅力を発信するVTRを作成した釧路管内の取組を紹介した。

 また、評価指標の分析結果から、「各地域で特色ある取組を実践したことから、ふるさとへの理解と愛着について、〝知る〟ことはできたものの、〝伝える〟ことや〝行動する〟ことへの結び付きが低かったことから、継続した取組が必要」などと報告した。

 本年度の取組については、十月三十一日に札幌市内で「北海道キャリア教育サミット」を開く計画を明らかにした。十四管内すべての研究指定校が成果などを報告し、子どもたちや教職員、関係者の間で情報共有する。北広島西高校の生徒六人が生徒実行委員会を組織。企画運営や司会進行などに当たる。同事業三年間の取組の集大成となる。

 事務局の報告に続き、「事業を進めることで明らかになった課題の解決策」「地域や学校がつぎのステージに移行するための方策」を柱に協議を行った。

 委員からは、「小・中・高校の間で、それぞれの取組の成果をきちんとバトンタッチしていくことは、現在も行っているとは思うが、より明確にしていく必要がある」「子どもたちが体験をもとに考えたことを吸い上げる仕組みが必要では」「地域に興味をもって、行動に移そうとしたとき、その受け皿が地域にあるのか。それがないと、先につながらない」「子どもたちが参画し、地域の魅力を発信する取組は大変いいこと。その取組が外部からどのように評価されたのかをうまくフィードバックできれば、どんどんモチベーションが上がるのでは」などの意見が出た。

 また、「小・中・高校の連携、地域や関係団体などを挙げた取組とするためにも、CSを設置することが重要。CSを通して、いろいろなつながりができるのではないか」と求める声も。

 さらに、「この事業の取組を、研究指定校のものだけにはしてほしくない。全道すべての学校に普及してほしい」「事業は、大きな成果を上げている一方、まだまだ課題もある。教育版の地方創生であり、全道展開するためにも、新たな研究指定校を指定してほしい」などと、研究指定事業の枠にとどまらない取組や事業の継続を訴える意見があった。

(道・道教委 2017-06-02付)

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