道倫研が総会・研究大会開く　「公共」教育の基盤学ぶ　東大院・一ノ瀬教授の講義など

（関係団体 2017-08-10付）

講義、研究協議を通し、新科目「公共」、公民科教育への考えを深めた

　道高校「倫理」「現代社会」研究会（＝道倫研、元紺谷尊広会長）は七日、札幌市内のかでる２・７で二十九年度総会・第五十二回研究大会を開いた。「新科目〝公共〟と今後の公民科教育」を主題に提示。研究協議のほか、東京大学大学院人文社会系研究科の一ノ瀬正樹教授が「新科目〝公共〟における倫理的テーマの背景」と題して講義し、哲学、倫理の観点から「公共」教育の背景となる考え方の基盤などを伝えた。

　開会式では元紺谷会長があいさつ。高校の学習指導要領の改訂に伴い、新科目「公共」が三十四年度からスタートする見込みであることを踏まえ、中央教育審議会「地歴・公民科科目の在り方に関する特別チーム委員」の一ノ瀬教授の講義に期待を寄せた。また『２０１７〝倫理〟実践事例集』刊行について「教育課程を変えなくてはならないこの時期、刊行することを大変意義深く思う。今回の研究大会を通して、倫理に対する熱い思いをもった先生たちとともに学べることを期待している」と述べた。

　総会では、二十九年度の事業計画を決定。九・十・十一・十二月、来年二月に学習会を開催することなどを決めた。また、元紺谷会長を再選するなど役員改選を行った。

　研究大会では、道外視察報告のあと、道倫研創立五十周年記念事業である『２０１７〝倫理〟実践事例集』刊行について報告したほか、実践発表を行った。　

　続いて、東京大学大学院人文社会系研究科の一ノ瀬教授が「新科目〝公共〟における倫理的テーマの背景」と題して講義。道徳の基本概念、規範倫理の基礎知識を踏まえ「自由」の根底には所有権、ひいては「権利」「人権」の問題が存在すること、「権利」は自然界に客観的に存在するものとは異なり、歴史的・社会的背景の中で培われた概念であることを説明。箱根駅伝のシード権や知的財産権などを例に挙げ「権利は主張し、獲得・維持しようと努力し、訴えることに根拠をもつ」とし、倫理的テーマを扱う際に念頭に置くよう呼びかけた。

　二十九年度の役員はつぎのとおり。＝敬称略＝

▽会長＝元紺谷尊広（稚内校長）

▽副会長＝飯森宣博（八雲校長）、湯浅純人（札幌あすかぜ校長）

▽監査＝山口晴敬（札幌月寒教諭）、高谷康博（岩内教諭）

▽事務局長＝江尻憲昭（大麻教諭）

(関係団体 2017-08-10付)