【リポート】士幌高校がグローバルGAP認証 道内高校で取得第1号 生徒のリスク管理、職業意識高める(学校 2017-09-06付)
【帯広発】士幌高校(近江勉校長)は、農産物の生産工程の安全性を保証する国際規格「グローバルGAP」の認証を取得した。高校での取得は道内で初。生徒たちは「農場」「農薬・水」「栽培品目」など、各分野の役割を分担して必要な書類の作成に取り組み、日々の管理状況を把握して審査に臨んだ。国際的な認証制度のもと、安全な農業生産工程管理を学ぶことで、リスク管理の知識を深めるとともに、将来を見据えた職業意識の向上が期待される。
GAP(Good Agricultural Practice)は、農業において食品安全、環境保全、労働安全などの持続可能性を確保するための農業生産工程管理の取組。国は、GAPの認証取得の普及・拡大を図る方針を示している。
認証規格の一つ「グローバルGAP」は、東京五輪に提供する食材要件の一つになっており、ヨーロッパやアジアで多くの流通業者が取得を求めていることから、輸出拡大のツールとしての効果が期待されている。
◆町が取得経費負担
士幌町は、地方創生交付金の一部を活用し、本年度予算に町立の同校のグローバルGAP認証取得経費を計上。同町では農産物の加工企業が増加しており、高校のGAP認証取得を契機に、取得への機運を高め、地域ぐるみで農産物の販路拡大を目指している。
士幌高はことし四月、コンサルタントから講師を招いて「グローバルGAP講習会」を実施した。生徒は「農場」「農薬・水」「栽培品目」に関する役割を分担し、審査に必要なチェックリスト、リスク評価書、生産に関する手順書などを作成。審査員からの質問に答えられるよう、日々の管理状況を記録した。
七月十八日に審査を受け、八月三十日に認証判定の連絡を受けた。第三者試験認証機関「テュフズードジャパン」によると、高校のグローバルGAP取得は道内で初、全国では二番目という。
◆国際基準の農業教育
士幌高の大和田愛教諭は、グローバルGAP認証取得に向けた取組を進めることで、生徒の職業意識が向上したと指摘。「将来の就職や農業経営を見据え、GAPについて学びたいという生徒も多い。国際的な認証のもとで生産物の安全性やリスク管理を学ぶことは大きな意味がある」。
近江校長は「道内の高校として最初に認証を受けたことは、本校の農業教育が国際基準として認められた証。生徒たちに、十勝はもとより、北海道の農業を支える人材として活躍してほしい」と話す。
このほかの高校の動きをみると、岩見沢農業高校は、今月下旬にグローバルGAPの審査を受ける予定。また、複数の農業高校が、グローバルGAPまたは日本独自の企画「JGAP」取得に向けて検討を進めている。
◆取得・更新費が課題
一方で課題となるのが、認証の取得・更新に必要な費用だ。グローバルGAPの認証を取得・更新するには、年間百万円を上回る費用が必要となる。ある農業高校の教頭は、生産工程、リスク管理について学び、将来の就業を見据える上でもGAPの認証取得は重要とした上で「いつでも認証の取得に向けて動き出せるよう、準備を進めることが大切」と話す。
(学校 2017-09-06付)
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