豊かな教育の保障求める　高・特配置計画に声明―北教組

（学校 2017-09-11付）

　北教組（信岡聡中央執行委員長）は六日、道教委の「公立高校配置計画」および「公立特別支援学校配置計画」の決定に対する声明を発表した。高校の配置計画は「地域の学校を存続させるための生徒数確保の責任を学校･地域に転嫁するとともに、中卒者の増減に依拠し学科を無視した数合わせの機械的な間口削減に終始した」「一人ひとりの子どもたちの要求に応え地域に高校を存続させ、希望するすべての子どもたちに豊かな後期中等教育を保障すべき」と非難。特別支援学校の配置計画については、すべての学校において「合理的配慮」を十分に保障するため早急な教育条件整備を求め「すべての子どもがしょうがいのある・なしにかかわらず地元で学べる〝地域合同総合高校〟の設置など、子どもの教育への権利と教育の機会均等を保障するための道民運動を一層強化していく」と表明した。

　声明の概要はつぎのとおり。

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　道教委は五日、二〇一八年度から三年間の「公立高校配置計画」および二〇一八年度「公立特別支援学校配置計画」を決定した。

　「公立高校配置計画」の内容は、二〇一八年度について、①二〇一七年度において欠員が生じ一学級減とした十二校のうち、余市紅志高校など五校は一学級復活、残る美唄尚栄高校など七校は一学級減のままとする②上ノ国高校、雄武高校を地域キャンパス校へ移行する③滝川西高校を一学級減じ商業科を学科転換する④小樽商業高校と小樽工業高校、留萌高校と留萌千望高校をそれぞれ統合し新設校とし単位制を導入する―など九校で十学級削減するとした。

　また、二〇一九年度について、①幕別町の私立江陵高校(普通科二、福祉科一)の募集停止に伴い、幕別を普通科三学級（二学級増）とする②函館西高校と函館稜北高校を統合した新設校と、稚内高校の普通科と商業科に単位制をそれぞれ導入する③札幌東豊高校など六校で六学級を削減する―とした。

　さらに、二〇二〇年度について、①当初一学級減としていた岩見沢農業高校の削減を見送り、市立岩見沢緑陵高校を一学級減とする②市立札幌清田高校を二学級減とし単位制を導入する―など二十四校で二十五学級減とした。

　これらは、道教委「新たな高校教育に関する指針」に基づき、三年間で再編・統合による一学級減（六校を募集停止とし三校を新設）を含め、四十校で四十二学級減となる大規模削減を強行するもので、断じて容認できない。

　今回の「決定」において道教委は、地域や子どもの実態を踏まえた高校の在り方について十分な分析・検討をすることなく、地域の学校を存続させるための生徒数確保の責任を学校･地域に転嫁するとともに、中卒者の増減に依拠し学科を無視した数合わせの機械的な間口削減に終始した。

　これらは、北教組要請行動や地域別検討協議会における地域住民・保護者をはじめとする教育関係団体からの高校の存続を求める声をないがしろにするものである。

　一方「公立特別支援学校配置計画」では、二〇一八年度について、①高等支援学校の職業学科設置校を中心に学級減とする②札幌伏見支援学校普通科と星置養護学校ほしみ高等学園を一学級増とした。

　また、二〇一九年度について、①函館稜北高校の空き教室を活用して新設校を開校し、五稜郭支援学校の二学級と合わせて四学級を確保する②釧路鶴野支援学校の増築整備によって三学級増とした。

　さらに二〇二〇年度について、道北圏で三学級相当の間口の確保を検討するなど、新たに今後の見通しを示し、差別・選別の施策をより一層進めようとしている。

　文科省・道教委「特別支援教育」が導入されたこの十年間で、道内中卒者数は年々減少しているにもかかわらず、特別支援学校に入学する子どもは増え続け、十三校の特別支援学校が増設されるなど、分離･別学が一層進められている。

　道教委は「分けることは差別につながる」とした「国連障害者権利条約」の理念に基づき、しょうがいのある子どもたちの願いを受け止め、地元の普通高校への入学・進級・卒業に向け、すべての学校において「合理的配慮」が十分に保障されるよう早急に教育条件整備を進めるべきである。

　私たちはこれまで、道教委「指針」「配置計画」によって、子どもたちの遠距離通学と保護者の経済的負担が増加し「貧困と格差」が一層拡大するとともに、地域を疲弊させることから、「指針」の撤回･再考を求めてきた。中学卒業者数の減少期だからこそ道教委は、一人ひとりの子どもたちの要求に応え地域に高校を存続させ、希望するすべての子どもたちに豊かな後期中等教育を保障すべきである。

　私たちは引き続き、子ども・保護者・地域住民の高校存続を求める声を結集し、すべての子どもがしょうがいのある・なしにかかわらず地元で学べる〝地域合同総合高校〟の設置など、子どもの教育への権利と教育の機会均等を保障するための道民運動を一層強化していくことを表明する。

(学校 2017-09-11付)