【リポート】岩見沢市立緑中・業務改善への挑戦 信頼される学校づくりへ プリント、職員室など総合的に
(学校 2017-10-02付)

リポート③緑中ICTのある授業風景
ICTを活用した授業

 【岩見沢発】岩見沢市立緑中学校(河原政志校長)は、生徒の学力向上に向け、教職員が一体となった学校改革を進めている。A3サイズの用紙に学校生活のルールを記したプリント「まるわかり緑中」を作成したほか、職員室の配置換えやICT機器の整備を実施。生徒たちが「未来の創り手」となる、信頼される学校づくりのために、総合的な業務改善に取り組んでいる。

 道教委の『教育職員の時間外勤務等にかかる実態調査報告書』によると、二十八年度の主幹教諭・教諭の学内勤務時間における勤務日の業務状況は、二十年度と比べて小・中・高・特別支援学校の全校種で「授業準備等」の時間が増加。中学校では「授業外の学習指導等」「成績処理」などの項目で増となっており、生徒と向き合う時間をより確保するための業務改善が求められている。

◆セミナーが契機

 そうした取組を進める上で、管理職が率先して動く必要性を強く感じていた同校の小山田学教頭。ことし一月、空知教育局主催の「オール空知で取り組む“チーム学校”推進セミナー」への参加が取組の一つのきっかけとなった。

 セミナーでは、札幌市立発寒西小学校の新保元康校長(現札幌市立屯田小学校長)が講師となり、自校における教職員の負担軽減や業務効率化の工夫を紹介。業務改善に向けての意識が一層高まったことから、小山田教頭は後日、発寒西小を訪問し、そのポイントを直接学ぶとともに同校で実践可能なものをもち帰った。

 教員とPTAの理解もあり、学校経営の重点目標の一つである「学力向上」を目指すべく、学校を挙げての業務改善に着手。河原校長も「先生がより働きやすい環境で必要な力を発揮してもらえば、学校も効率的に動く」と期待を寄せた。

◆1枚にすべてを

 その一つとして、各部担当教員が協力して作成したプリント「まるわかり緑中」を全校生徒に配布。各家庭に掲示するよう呼びかけている。

 プリントは、校舎に見立てたデザインを採用。「生活」「学習」「その他」の大項目ごとに「登校・下校・帰宅」「服装・頭髪」などの小項目を配置し、ルールや各種情報を記載した。学習関係では、保護者に対し、宿題と家庭学習の取組への協力を呼びかけた。

 保護者には、一日の流れの欄に電話のつながりやすい時間を明記したことが好評。学校側にも不在時の着信を折り返すことが少なくなる利点があった。転入してきたばかりの教職員からは「緑中のことがよく分かる」との声が寄せられるなど、保護者・学校双方のメリットが現れている。継続した取組となるよう発行にかかるシステムも整えており「いずれは地域にも配れたら」(小山田教頭)。

◆特別な場所に

 職員室の配置換えについては、教員でレイアウトを考案した。教員の机には、作成途中のテスト問題や生徒指導の書類といった機密情報が点在。そのため、「個人情報管理区域」として、二つの出入り口のうち一つを教職員専用に。もう一方の共用出入り口の床には、赤いテープを引いて教職員以外の入室を制限した。

 共用出入り口から入ってすぐの場所には、印刷室で使用していた机を設置し、部室、放送室などの鍵や原稿用紙などを集約。頻繁に使うものを生徒・教員の両方が把握できる「カウンター」の機能をもたせた。教員も、鍵の場所を把握している担当教員に尋ねる手間が省け、職員室の利便性が向上した。

 教務担当の相河範子教諭は「生徒に見られてはいけないものを見られずに済む」と話す。一方、生徒は、職員室が〝特別な場所〟になったと感じているようで「マナーを意識し、緊張感をもって来るようになった」(相河教諭)。

◆授業力=学力

 さらに、PTAによる開校七十周年の積立金を活用し、これまで三台だった実物投影機を八台買い足し、すべての普通教室に常設。セッティングに要する手間を省き、教員がいつでも同じ状況で使用できるよう、設置する台や場所も統一した。

 これに伴い、七月下旬には空知教育局の工藤雅人教育支援課長を講師に招き、実物投影機を効果的に活用するための講習を実施。小山田教頭は、教員がプリントや動画をつくる手間を省略できる上に、生徒に分かりやすく説明する技術を磨けることから「授業力向上イコール学力向上。いろいろな視点で授業改善につなげられるのでは」と期待している。

 空知教育局の平瀬一弘次長は「オール空知で取り組む“チーム学校”推進セミナー」の内容を、いち早く実践した同校の取組を評価。「緑中のチャレンジがモデル校として管内に広まり、より多くの学校で実践されることを期待している」と話している。

◆常に進化を

 同校では最近、分散していた様々な情報を一元管理し、職員全体で確認できるよう「重要情報共有ボード」と銘打ってホワイトボードを発注した。小山田教頭は、業務効率化に向けた実践が進んでいる手応えを感じており「校長のリーダーシップのもと、教職員一丸となっていろいろなものに取り組めている」と話す。河原校長も「子どもたちが力を蓄え、未来に羽ばたいてもらうために、常に進化していかなければ」と先を見据える。今後も、業務改善を子どもの成長に確実につなげるべく、緑中の挑戦は続く。

この記事の他の写真

リポート①緑中・まるわかり緑中
まるわかり緑中
リポート②緑中職員室カウンター
職員室の「カウンター」

(学校 2017-10-02付)

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