憲法息づく社会づくりを 國田委員長あいさつ概要―道高教組中央委員会(関係団体 2017-11-02付)
あいさつする國田中央執行委員長
道高教組第二百三十三回中央委員会・第三回支部代表者会議(十月二十八・二十九日、札幌市内道高校教職員センター)における國田昌男中央執行委員長のあいさつ概要はつぎのとおり。
◇ ◇ ◇
衆議院議員選挙が行われた。今回の選挙では、教育費負担の軽減が随分と話題になった。これは、消費税一〇%への増税が前提であり、今後、消費税率が上がっていかないと社会保障や教育は改善されないことの裏返し。さらに、保育などに関しては、一定の受け入れは確保できたとしても、その質の保証については未知数である。
「教育振興基本計画」や「教育大綱」の素案では「人材育成」という言葉がめじろ押し。教育振興基本計画は、改悪教育基本法一七条に位置付けられているし、教育大綱は地教行法「改正」によって、首長が出席する総合教育会議の中で教育の方針を定めることとされている。
これらは、ときの政府や首長による教育介入を進める意図をもって制定されたものであって、「人格の完成」を目標とした教育ではなく、国や財界・大企業に奉仕する「人材育成」に教育を変節させようとするものである。
道や札幌市は、北海道大学と協力して「子どもの生活実態調査」を行い、家庭の収入状況が子どもの学習理解と相関があることを可視化した。そこから導き出されるのは、どの子にもゆきとどいた教育を保障すること、教育の機会均等のための教育費の充実である。
しかし、北海道総合教育大綱の素案をみると、「グローバル人材育成」と「STEM(Science・Technology・Engineering・Mathematics)教育の充実」によって、財界や企業に奉仕する「産業人材」育成を目標とするかのような記述になっている。
これでは、「世界で最も企業が活躍しやすい国」を支える「人材育成」が教育の目標とされ、「人づくり革命」として教育の国家統制を一層徹底することになってしまう。
学習指導要領の改訂とも相まって、今後ますます目の前の利益を追求するような人づくりを学校教育に求める傾向が強まるだろうが、その一つ一つを私たちは実践で克服することが求められる。同時に、子どもたちを学びの主体として、学校をはじめ様々な教育活動の中心に位置付け、次代を担う主権者としての成長を保障できるよう、私たち自身の力量の向上も目指して、交流と学習を進めることが求められる。
こうした中、教職員の働き方は「苛酷」とか「異常」という形容がついて語られるようになっている。
この課題は緊急性を伴う。放っておけば、過労死が、ますます増加するだけである。ことしになって、組合員が二人も現職死しており、その原因は過労と思われる。
ことし七月から九月にかけて、私たちは「働き方改善アンケート」を行い、全道二千人を超える教職員から回答をいただいた。「無理な仕事と業務を見直し、主体的に超勤解消に取り組む」というアンケートの目的に沿った活用を、すべての分会・学校で行うことが急務であるし、これから始まる賃金確定交渉でも、この課題を重点的に取り上げていく。
今がまさに超勤縮減に根本的にメスを入れるチャンスである。
憲法は自由と権利を守り発展させるために、私たち働く者すべてに労働組合に加入し活動する権利を保障するだけでなく、積極的な権利の行使を求めている。私たち教職員は、教育活動を通して憲法が掲げる理想を実現する仕事を担っているわけだから、積極的な労働組合への参加と活動が求められるのは必然である。
そもそも新自由主義とは相いれない学校で、その権化とも言える人事評価制度が強行され、改悪教育基本法に沿って、言い換えれば国が統制する教育を徹底するために、身を粉にして働くことを求められるのは、私たちに国策の手先になれと言っているのと何ら変わらない。
私たちは今、いったん立ち止まって、子どもたちや学校が、そして、自分の生活や働き方がどのようになっているのかを、冷静にみることが必要である。
私たちは、生徒に無理を求めないし、同様に、生徒も、私たちが健康で教育活動にいそしむことを願っている。まずは、滅私奉公的な働き方を見直すこと、科学的知見によって行動することが求められる。
きょう、あすの二日間、憲法の息づく社会にするために、皆さんで大いに議論しようではないか。そして、三月大会までに現勢回復を目指して、でき得る最善の努力を重ねる意思統一をしようではないか。
(関係団体 2017-11-02付)
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