働き方改革講演会―道高教組 自身の勤務状況を意識 講師に家族の会・工藤氏
(関係団体 2017-11-02付)

働き方改革講演・工藤氏
工藤氏はタイムカードの導入を提起した

 道高教組(國田昌男中央執行委員長)は十月二十八日、札幌市内の道高校教職員センターで教職員の働き方改革に関する講演会を開いた。講師は、全国過労死を考える家族の会事務局公務災害担当で、神奈川過労死等を考える家族の会代表の工藤祥子氏。工藤氏は、中学校教員だった夫を過労死で失った経験に基づき「自分たちの仕事の量や質、勤務時間が適切であるかどうかを意識していただきたい」と呼びかけ、勤務時間の客観的な記録を残すため、職場にタイムカードを導入することを提起。「教員の本来の仕事は何かをもう一度考えなければ。みんなで心を一つにして、できることから始めてほしい」と訴えた。

 第二百三十三回中央委員会・第三回支部代表者会議の中で行ったもの。工藤氏は「先生たちにも働き方改革を」と題して講演した。

 工藤氏の夫は中学校の教員だったが、十九年に修学旅行から帰宅六日後に倒れ、四十歳の若さで他界した。十八年度は授業以外に学年主任・生徒指導専任・進路指導を兼務し、部活動顧問も担当。十九年に異動先の中学校でも、授業以外に生徒指導専任を務めたほか、校務分掌で十六部会九係を担当し、部活動顧問や校外の指導スタッフとなるなど、亡くなる前の二年間は「普通では考えられない重責、兼務」を担った。

 勤務校の管理職や同僚教員の協力を得て公務災害認定を申請したが、認定まで五年以上かかり、一ヵ月当たりの時間外労働が二百六十時間以上あったのに対し、証拠がないと判断され、九十六時間しか認められなかったという。

 これらの経験から、工藤氏は「どんなに健康でも、限界を超えてしまったら、過労死と隣り合わせだということを、実感をもって知ってほしい。そして、自分たちの仕事の量や質、勤務時間が適切であるかどうかを意識していただきたい」と呼びかけた。

 働く本人には「一人でできる仕事には限りがある。そのことに気づき、仕事が多すぎると感じたときは、断る勇気をもってほしい」、周囲の人たちには「同僚の様子をみてほしい。一声かけることで、助かる命がある」と求めた。

 教員が亡くなることは、子どもたちにも大きな心のダメージを与えることを指摘。「未来を担う子どもたちに、生き生きと働く姿をみせ、自分たちも働こうという希望をもたせるべき学校という場所で、教員が死ぬ姿をみせることは絶対にあってはならない」と強調した。

 労働安全衛生法の内容を正しく知る必要性を挙げたほか、勤務時間を客観的な記録として残すため、職場にタイムカードを導入することを提起。

 働き方改革が議論される今が最大のチャンスと指摘し「教員の本来の仕事は何かをもう一度考えなければ。ワークライフバランスが大切。みんなで心を一つにして、できることから始めてほしい」と訴えた。

(関係団体 2017-11-02付)

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