【新春インタビュー 4種校長会長に聞く②】これまで以上に連携し、学校改革を推進―道中学校長会会長 古谷雅幸氏
(関係団体 2018-01-11付)

四種校長会インタ②道中古谷雅幸
道中学校長会会長 古谷雅幸氏

 ―道中として、新年に展望していることは。

 創立七十周年の記念すべき年を過ごしてきた本会ですが、新たな年を迎えて、二月に開催される副会長研修会、専門部研修会、理事研修会をもって本年度の活動を締めくくることになります。政令指定都市への税源移譲も視野に入れながら、経費の縮減・組織の在り方を検討し新たな体制でスタートした本年度でしたが、「つなぎ合い 前に進む 道中」というスローガンのもとで、これまで以上に「チーム道中」「オール北海道」の視点に立って活動を推進することができました。

 まずもって本会の活動を熱心に支えていただいた全道の五百八十六人の会員の皆さんに心より感謝を申し上げます。また、本会の活動に多大なご理解とご支援をいただいた関係機関、関係団体の皆さんに厚くお礼を申し上げます。

 さて、新年の展望ということですが、まずは昨年三月に告示された新学習指導要領に関して避けて通ることはできないと思います。本年度については新学習指導要領に関する周知期間として位置付けられており、各学校においては、特に「総則」の理解を中心とした研修に取り組まれてきたことと思います。四月からは社会科での移行措置も始まり、「特別の教科 道徳」における「考え議論する道徳」についても、具体的な実践を進めていく年となります。

生徒だけでなく保護者や地域へも理解と協力を求めていく「社会に開かれた教育課程」の実現や「主体的・対話的で深い学び」の視点からの授業改善と授業力の向上、さらに「育成すべき資質・能力」を培うことのできる「カリキュラム・マネジメントの確立」など、私たち校長がより強いリーダーシップを発揮しながら、協働体制を構築していかなければなりません。

私は、この新学習指導要領のキーワードは「つながる」ということだととらえています。アクティブ・ラーニングが成り立つためには、生徒たちが安心して話し合える環境が整えられるように、生徒同士、生徒と教師、教師同士がより「つながら」なければなりません。

 また、「チームとしての学校」を築いていくためには、これまで以上に学校教職員以外の人たちや地域の人材と「つながって」いかなければなりません。そして、「学びの連続性」を維持するためには、これまで以上に小学校や高校、特別支援学校などとの「つながり」を築いていかなければならないのです。

三十年度を迎える前に、私たち校長は自校の環境を俯瞰しながら、その強みと弱みをしっかりととらえ、新学習指導要領を完全実施できるようにするために自校の改革デザインをしっかりとつくっていく。そういう新年でありたいと思っています。

また、これまで本会が長い間、中心課題として取り組んできた「学力の向上」については、一定の成果がみられ、平均正答率はほぼ全国水準に届いていますが、地区によってはまだまだ大きな課題が残っているところもあるようですし、「体力の向上」についても課題は残されています。これまで同様に、各学校での「学力・体力向上プラン」の一層の充実に努めなければならないことも忘れてはいけません。

教育改革の全体像がいよいよ具体化する年として、私たち校長は、あらためて「オール北海道」での「チーム道中」として、これまで以上に連携して学校改革を推し進める年にしたいと思います。本会の会員が「つながる」ことが、より一層求められる年になると感じています。

◆働き方改革 真剣に向き合う

 ―校長会の抱える課題と対策を伺います。

 まず一点目の課題についてですが、北海道の十五歳人口は、十年前に比べると二〇%近くも減少しているという話を聞き、本当に驚きました。本会の会員数の減少は、そのまま全道の中学校数の減少を示しているわけですから周知のことではあるのですが、学校数(会員数)の減少は今後も続いていくでしょう。このことは、本会の組織改革のさらなる推進が大きな課題であることを示しています。

 ことし四月からは、会長が札幌を除く副会長による互選によって決定され、会計理事も札幌以外の校長が担うことになっています。つまり、道中の五役の中で三つの役職が札幌以外の校長に担っていただくことになります。この流れはすでに本年度からスタートしており、四つの部のうち三つを札幌以外の校長に担っていただいています。経営部担当の石狩地区、対策部担当の空知地区、情報部担当の胆振地区の三つですが、原則三年の継続担当ということで、その二年目を迎える四月からは、人の入れ替わりも進めながら、よりスムーズに、しかもより「オール北海道」という視野に立って活動を進めていかなければならないと思っています。

経費の縮減策も進めてきてはいるものの、機関会議等の在り方などについては、さらに改革を進めていくことも大切な課題です。

つぎに二点目の課題についてです。それは、「教員の働き方改革」について、私たち校長が真剣に向き合い、確かな方策で改革を推進していかなければならないということです。

昨年八月に、中央教育審議会初等中等教育分科会学校における働き方改革特別部会が「“学校における働き方改革に係る緊急提言”について」を公表しました。その中では、①校長および教育委員会は学校において「勤務時間」を意識した働き方を進めること②すべての教育関係者が学校・教職員の業務改善の取組を強く推進していくこと③国として持続可能な勤務条件整備のための支援を充実させること―の三点が盛り込まれました。それを受けた形で、道教委も「学校における働き方改革〝北海道アクション・プラン〟」を策定し、それらを具体的に実現していかなければなりません。

特に、中学校には部活動指導という勤務時間縮減の壁となる業務も存在します。本来担うべき教員の業務を整理し、教員の意識改革を進め、「チーム学校」の実現に向けた専門スタッフや外部人材の活用を進めるためには、まさに新学習指導要領の完全実施への改革デザインの中に、「働き方改革」を組み入れた学校経営方針や重点目標を明確にしなければならないと思っています。

しかし、北海道は広く、都市部と郡部では活用できる外部人材も違ってきます。各教育局や市町村教育委員会との連携をより一層進めていく必要は高まっていくでしょう。また、コミュニティ・スクールの活用もますます進められていくと思います。

それらにどう向かうか、私たち校長の手腕が一層求められます。また、これまでも課題とされてきた「学力と体力の向上」や「豊かな心の育成」は、今後も継続した課題になることは言うまでもありません。

これらの課題を解決していくためにも私は、全日本中学校長会が作成している「全日中教育ビジョン“学校からの教育改革”」をもう一度学習し直し、本会会員が同じ方向を向きながら課題解決に当たっていくべきであると強く感じています。

 ―新年度の重点的取組をお聞かせください。

 「社会を生き抜く力を身に付け、未来を切り拓く日本人を育てる中学校教育」を研究主題と掲げてから三年目を迎える新年度は、九月二十一日、二十二日の両日、帯広市で開催される第六十回道中研究大会十勝・帯広大会で一つの成果を示さなければなりません。私たち道中の研究交流の場として、研究大会とりわけ各分科会の充実が大きな意味をもつことに変わりはありません。

 新学習指導要領をにらみながら、各地区校長会で共同研究してきた内容がしっかりと発表され、それをもとにした研究交流がまた各地区校長会へ還元されていくように進められることを願ってやみません。

また、前述してきたように「特別の教科 道徳」や新学習指導要領実施のための「社会に開かれた教育課程」や「カリキュラム・マネジメントの確立」、そして「教員の働き方改革」の推進については、本年度以上に重点的に取り組んでいくべきことです。各地区校長会の結び付きを一層強めながらともに職能向上を図り、前進していきたいと思っています。

これらの新たな課題を解決していくためにも、道教委等への要請活動を継続していかなければなりません。新年度も引き続き、道小学校長会と道公立学校教頭会とともに「北海道文教施策・予算策定に関する要望書」を道教委へ提出していくとともに、道小・道中の校長会としての「提言書」も提出させていただきながら、これまで以上に道教委との良きパートナーシップが図れるように努めていきたいと思っています。

組織運営に関しては、新たな組織体制完全実施の一年目をスタートさせることになります。円滑な引き継ぎに向けて準備を進めてきてはいるものの、進めている中で新たな課題もみえてくると思いますので、その都度調整しながら「チーム道中」の視点で新たな改善策を考えていくことが重要だと思っています。

最後になりますが、これからも本年度のスローガンである「つなぎ合い 前に進む 道中」の思いを胸に活動を推進させていきたいと思います。御理解、御協力をお願いいたします。

(ふるや・まさゆき)

 昭和56年道教育大札幌分校卒。同年札幌市立藻岩中学校を振り出しに、中の島中、清田中、平岡中に勤務。平成19年平岡緑中教頭、23年もみじ台南中校長、26年平岡中校長を経て、28年から現職の中の島中校長。

昭和32年7月28日生まれ、60歳。歌志内市出身。

(関係団体 2018-01-11付)

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