道教委が30年度教育予算案発表 総額は微増の4034億円 働き方改革推進など4つを重点に
(道・道教委 2018-02-16付)

道教委の30年度教育費予算案
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 道教委は十五日、三十年度道教育予算案を発表した。予算総額は四千三十四億二千百三万円。前年度当初に比べ四千三百六十二万円増でほぼ同水準となった。「グローバル化への対応」「産業教育・キャリア教育の推進」「学校における働き方改革の推進」「北海道百五十年への対応」を重点として施策を展開。新規では、小学校英語力向上支援事業、道ふるさと・みらい創生推進事業などを実施するほか、学校の働き方改革推進事業では、学校部活動の総合的な支援体制構築事業、スクール・サポート・スタッフ配置事業を計画。北海道百五十年事業関連では、新規に「アートギャラリー北海道」推進事業などを盛り込んだ。

 三十年度道教育費予算案の内訳をみると、児童生徒数の減少に伴う教職員の自然減によって給与費が〇・二%、八億五千六百三十万円減の三千五百億七百十三万円、一般事業費は一・六%、七億三千七百六十九万円減の四百四十六億五千四百六十六万円となった。

 一方、大規模改造に着工する高校数の増加、アスベスト対策工事の実施などによって、施設建設事業費が二三・〇%、十六億三千七百六十二万円増の八十七億五千九百二十三万円となり、歳出額は前年度とほぼ同水準となった。

 主な事業をみると、道学力・体力向上対策推進事業費に四億六千七百八十万円を計上。このうち、ほっかいどう学力向上推進事業では、組織力強化会議の開催やチャレンジテストの実施など、組織的な検証改善サイクルの確立に向けた取組を進めるほか、ミドルリーダーの指導力向上研修会、小中一貫教育の支援など、児童生徒の学力向上のための取組を継続して行う。

 新規の小学校英語力向上支援事業は、小学校での英語力向上を図るため、巡回指導教員の指導体制整備、留学生やALTと場面に応じた英会話を体験する「英語deトライ」を六管内十二校で行い、英語コミュニケーション能力を育む。

 高校学力向上実践事業では、生徒の進路などに応じた教育を推進するため、教材・テストの開発や外部講師による講座などを実施する。

 子どもの体力向上ボトムアップ事業では、子ども向け運動プログラムの作成、授業改善に向けた実践研究を継続。運動習慣形成プロジェクトは、小学校四校、中学校三校を実践校に指定し、学校・家庭・地域・行政の連携による児童生徒の運動意欲向上に向けた取組を進める。

 グローバル人材育成推進事業費には、四百四十六万円増の一千六百八十四万円を措置した。新規の道グローバル人材育成キャンプ事業では、海外留学や英語を活用する就職を希望している高校一・二年生を対象とした「グローバル人材育成キャンプ」を全道四会場で実施する。高校生交換留学促進事業は、カナダ・アルバータ州の交換留学生の人数を拡大するほか、米国・ハワイ州との交換留学を新設。グローバル人材の育成を推進する。

 産業教育・キャリア教育の推進を図るため、道ふるさと・みらい創生推進事業を新たに実施。農林水産や建設所管部との連携によるインターンシップ、高大連携による疑似留学体験のほか、地域の課題解決に向けた学校提案型の研究モデル事業を十八校で実施する。

 新規のプログラミング教育事業では、民間などと連携したプログラミング体験や研究協議などを行う「プログラミング教育ワークショップ」を実施。小学校でのプログラミング教育の円滑な導入に向けて支援する。

 道徳教育の抜本的改善・充実にかかる支援事業では、北海道百五十年事業と関連して、北海道版道徳教材『きた ものがたり』の小学校版を小学五・六年生に、中学校版を中学一年生に配布。学校での道徳やふるさと教育で活用する。

 いじめ・不登校等対策推進事業費には、前年度比一千四百三十五万円増の二億六千七百三十四万円を充てた。新たにSNSを活用した相談体制を検討しており、一定期間、臨床心理士などによる相談窓口を開設し、効果を検証する。

 スクールカウンセラーの活用では、通年型百五人を二百十校、巡回型三十二人を百二十八校に派遣することなどを計画している。

 道立高校のスクールカウンセラーは、九十九校に通年配置。スクールソーシャルワーカーは三十一市町村に三十六人を配置する。

 どさんこ食育推進総合事業では、社会的課題に対応するための学校給食活用事業として、学校給食を通して地産地消や郷土料理などの継承に貢献する研究開発、調理講習、講演会を一地域で実施する。

 新規のコミュニティ・スクール推進体制構築事業は、コーディネーター養成研修会の開催やCSアドバイザーの派遣、推進協議会の開催を通して、学校・家庭・地域の連携・協働体制の確立、持続可能な推進体制の構築を図る。

 高校における学習サポーター派遣事業を新規で実施。学業不振などを理由とする中途退学者や不登校が多い学校の生徒などを対象に、学習支援員による個別学習への対応、学び直しを支援する。

 学校における働き方改革推進事業費には、八千二百八十六万円を計上。部活動指導員の任用や指導員に対する研修などを行う学校部活動の総合的な支援体制構築事業、教員が児童生徒と向き合う時間を確保するため、市町村立小・中学校に地域人材三十五人をサポートスタッフとして配置するスクール・サポート・スタッフ配置事業を実施する。

 新規の公民館的な機能を活用した「地域力」向上モデル構築事業では、地域課題の解決に対し、住民が主体的に取り組む地域力を向上させるため、官民協働の取組を促進する。

 北海道百五十年事業関連では、新規の「アートギャラリー北海道」推進事業費に三千七百三十七万円を措置。道内の美術館などが連携し、相互の美術品を紹介・発信。特別展の開催などを通して鑑賞機会や来館者の増加を図る。

 新規のほっかいどう民俗芸能振興事業は、七~八月の北海道百五十年ウィーク期間中に「北海道みらい事業」として実施するもの。地域に伝わる民俗芸能の振興・伝承を図るため、子どもたちが主体的に取り組む民俗芸能を発表する全道大会を開く。

(道・道教委 2018-02-16付)

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