代表高校長研で道教委所管事項説明(上) 入選での危機管理要請 国旗・国歌、適切に指導を
(道・道教委 2018-02-15付)

 道教委主催の二十九年度第四回全道代表高校長研究協議会(六日、道庁別館)では、各課等の担当者がそれぞれの所管事項を説明した。高校教育課所管分では、三十年度公立高校入学者選抜実施に当たり、雪害だけではなく、Jアラートによる情報伝達があった場合も含め、あらかじめ教職員全員で対応策を確認し、危機管理に当たるよう求めた。また、卒業式における国旗・国歌の適切な指導、政治的教養を育む教育の計画的・継続的な指導の充実、英語教員や生徒の英語力の向上などを要請した。

《高校教育課》

【三十年度公立高校入学者選抜】

▼入学者選抜業務における留意事項

▽採点ミス等の防止

 各学校においては、二十九年十一月十日付教高第一四四五号で通知した「三十年度道立高校入学者選抜学力検査等実施要領」を踏まえ、遺漏なく公正かつ厳正に学力検査および採点にかかる業務を実施すること。

▽入学者選抜における危機管理

 これまでの雪害などによる対応に加え、二十九年十一月二十八日付教高第一五二九号通知および三十年一月九日付事務連絡で、学力検査の実施中に弾道ミサイル発射にかかる全国瞬時警報システム(Jアラート)による情報伝達があった場合の対応例を送付した。

 各学校においては、あらかじめ対応例を教職員全員で確認すること。

▽英語の聞き取りテストの実施

 例年、放送設備やCDラジカセのトラブルによって代替問題を実施するケースが発生しており、各学校においては、放送機器や音量の点検などを入念に行うこと。

 放送機器の音量調整の実施期間は二日から十六日としているが、その後も学力検査の前日や当日の点検を確実に実施すること。

 放送機器の突発的な不具合など、不測の事態が起こった際、適切に対応できるよう、あらかじめ「三十年度道立高校入学者選抜学力検査等実施要領」の対応例を教職員全員で確認すること。

▽第二次募集の実施

 合格発表から第二次募集の合格発表までは、短期間に多くの業務が続くため、中学校、高校間における連絡体制の整備が重要。

 二十九年十月三十一日付事務連絡で送付した『〝合格発表〟から〝第二次募集の合格発表〟までの入学者選抜業務マニュアル』などを活用し、適切に実施すること。

▼入学者選抜における配慮事項

▽入学者の選抜

 出願者数が募集人員に満たない場合は、特別の支障がない限り全員を入学させるよう配慮いただきたい。

▽東日本大震災によって被災した生徒の出願

 二十九年十二月二十日付教高第一七〇三号通知に基づき、適切に対応すること。

▽特別な事情がある生徒の受検

 児童自立支援施設に入所しているなど、特別な事情がある生徒に対しては、二十九年十二月七日付教義第一三九七号通知を踏まえ、質問内容に十分配慮しながら適切に面接を実施すること。

▼入学者選抜実施状況報告

 校務支援システムの「入選実施状況報告書作成機能」を活用し調査票を作成の上、期日までに報告すること。

【三十一年度入学者選抜における学校裁量にかかる事項】

 学校裁量にかかる事項の調査は、三月中旬までに通知、五月上旬を報告締切とし、公立高校配置計画案が示されたあとの六月中旬に公表する予定。

 各学校においては、早い段階から学校裁量にかかる事項を検討していただきたい。

【教育課程の編成・実施】

▼三十年度教育課程表の提出および点検

 三十年二月二日付教高第一九四五号通知「三十年度高校教育課程の届出について」に基づき作成の上、届け出ること。

 C表の作成に際しては、学習指導要領に示された基準に従うことはもとより、前年度の実施状況を十分に検証し、当番校業務や全校応援、非常変災による臨時休業なども想定して、授業時数を確実に確保できるよう計画を立てていただきたい。

 土曜日授業については、D表によって本年度の実施状況を報告するとともに、C表に次年度の計画を記載していただきたい。

▼準教科書および教材の選定・届出

 三十年度に使用する準教科書および教材については、二十六年六月九日付教高第四一四号通達「準教科書および教材の選定・届出について」に基づき、期日までに届け出ること。

▼授業時数の確実な確保

 雪害やインフルエンザによる臨時休業等によって、授業時数が一単位当たり三十五単位時間を下回ることが見込まれる場合には、生徒の負担等に配慮しつつ、年度末までの授業時数を見通した上で、午前授業の見直しや七時間目の設定、土曜授業の実施、学年末休業の短縮など、不足時数を補うための対策を確実に講じていただきたい。また、ホームルーム活動についても適切に実施していただきたい。

【卒業式等における国旗・国歌の実施】

 国歌斉唱の状況については、内容面の充実が図られてきており、二十八年度の卒業式および二十九年度の入学式において、生徒が「しっかりと歌っていた」学校は一〇〇%という状況。

 各学校においては、二十九年七月三十一日付教義第八一六号通知を踏まえ、国旗・国歌の指導が適切に行われるよう継続的に取り組んでいただきたい。

【学校における政治的教養を育む教育】

 政治的教養を育む教育に関しては、昨年十月に衆議院議員選挙が行われ、道議会でも主権者教育の充実について議論がなされた。

 今回の全道における十八歳・十九歳の投票率については、①十八歳が五四・二二%(二十八年参院選比七・四九%増)②十九歳が三七・九三%(同二・一〇%減)③十八歳・十九歳を合わせると四五・九七%(同二・五九%増)―となり、十八歳においては、前回の参院選より投票率が向上した。

 今後も、国政選挙における高校生の投票に対し、社会の関心が集まることが想定されることから、各学校においては、生徒が政治参加の重要性や選挙の意義について、より理解を深め、有権者としての権利をしっかりと行使できるよう、計画的・継続的な指導の充実を図っていただきたい。

【北方領土の学習の充実】

▼教員の研修の充実等

 次年度以降も、二十九年四月二十八日付教義第一八九号通知「北方領土問題に関する研修や事業等の周知について」に基づき、独立行政法人北方領土対策協会などが行う研修や事業への教員等の参加について配慮いただきたい。

 また、各学校において、同協会のホームページに掲載されているつぎの動画等の活用について、教職員に周知いただきたい。

▽動画『北方領土エリカちゃん』

▽教材『北方領土学習教材集』

▼アニメ映画「ジョバンニの島」の活用

 北方領土における実話をもとに制作された映画「ジョバンニの島」は、北方領土に関する生徒の興味を高め、理解を深める上で有効な素材であり、二十六年十二月二十五日付教義第一四八五号通知「北方領土を舞台にした映画〝ジョバンニの島〟の活用等について」を踏まえ、芸術鑑賞会での上映や図書館用DVDおよび原作図書の配置などについて検討いただきたい。

 また、本年度の上映会は、十月に浜頓別高校で実施され、三月に札幌真栄高校で実施される予定。主催の両校に感謝申し上げる。

 浜頓別高では、近隣の小・中学校にも働きかけていただき、二百七十一人が参加したが、児童生徒のアンケートにおいて九二・二%が「映画を鑑賞してよかった」と回答。生徒の中には、「北方領土がどんな経緯でロシアに支配されたのか、もっと詳しく知りたいと思った」などの声もあり、北方領土問題への関心を高める機会として一定の成果があったと考えている。

 次年度も上映会の実施を計画しており、実施する管内を現在調整中。三月以降に教育局を通じて相談させていただくので、上映会の実施について検討をお願いする。

【英語教育の充実】

▼英語教員および生徒の英語力の向上

 昨年十二月の調査において、外部検定試験を受験したことのある英語担当教員の割合は、前年度の六九・七%から七七・二%に増加しており、英検準一級以上を取得している教員の割合も、前年度の四七・〇%から五〇・七%に増加した。

 高校卒業段階の英検準二級以上を取得している生徒、または同程度の力を有していると考えられる生徒の割合も、三四・五%から三七・七%に増加した。

 道教委では、次年度以降も、英検準一級以上等を取得している高校の英語担当教員の割合を七五%以上、高校卒業段階で英検準二級以上を取得している生徒、または同程度の力を有していると考えられる生徒の割合を五〇%以上とすることを目標としており、各学校においては、引き続き、「CAN―DOリスト」の学習到達目標を活用した授業やパフォーマンステストの実施など、生徒の英語力向上に向けた取組はもとより、英語担当教員の積極的な外部検定試験の受験を働きかけていただきたい。

▼グローバル化に対応した英語教育指導力向上研修

 本研修は、道内公立高校のすべての英語担当教員を対象に、英語指導力の向上を図ることを目的として、二十七年度から三十一年度まで実施することとしているので、研修の意義や趣旨を踏まえ、関係教員の派遣に配慮いただきたい。

 これまで、国の「英語教育推進リーダー中央研修」を受講した十七人の教員が本研修を運営。英語教育推進リーダーを派遣いただいている学校に感謝申し上げる。

 三十年度においては、新たに四人の教員を「英語教育推進リーダー中央研修」に派遣する予定。

【理科薬品の取扱に関する手引(四訂版)】

 理科薬品の取扱については『理科薬品の取扱に関する手引(三訂版新版)』に基づき適切に管理いただいているが、二十六年三月に三訂版新版を一部改正してから三年経過したことを踏まえ、このたび、内容を一部見直して『理科薬品の取扱に関する手引(四訂版)』を作成した。

 大きな変更点は、使用頻度の低い薬品については、当該容器を封印することによって、目視による点検のみで薬品の現在量を実測しなくてもよいこととし、学校の負担軽減を図ったこと。

 このあと、二月中に通知を発出し、三十年四月一日から施行する予定。新年度からは『理科薬品の取扱に関する手引(四訂版)』に基づき、適切に管理していただきたい。

【各種事業等】

▼道高校学力向上実践事業

▽学力テストおよび教材

 学力テストおよび教材の作成については、これまで、推進校および協力校において精力的に進めていただいており、感謝申し上げる。

 本年度作成した教材については、年度内に高校教育課のホームページに掲載する予定。

▽授業実践講座

 本年度、「教科指導講座」には三百四十人、「進学指導講座」には九十五人、「ICT活用講座」には三十一人が参加。スペシャリストの派遣や教員の参加に配慮いただき、感謝申し上げる。

 「授業実践講座」の参加者には、課業期間における成果の活用等に関する事後アンケートへの回答、「教科指導講座」および「ICT活用講座」の参加者には、実践事例の提出を依頼しているので、二月末日までに提出するよう指導いただきたい。

▽ハイレベル学習セミナー

 一月に深川市で開催した中央セミナーには、全道三十五校百八人が参加。また、昨年度から実施している地区セミナー(函館西高校、稚内高校、網走南ヶ丘高校、帯広緑陽高校)には、二十二校百五十八人が参加した。

 中央セミナーの参加者アンケートでは「大いにためになった」が六五・二%、「ためになった」が三一・一%となっている。セミナーの様子については、高校教育課のホームページに掲載しているので見ていただきたい。

 次年度も講師の派遣や生徒の参加について、配慮いただきたい。

▼道高校学習状況等調査

 経年比較の観点から、昨年度とほぼ同じ調査項目としている。一年生(中等教育学校は四年生)全員を調査対象としているので、適切に実施していただきたい。

▼教科等の本質的な学びを踏まえたアクティブ・ラーニングの視点からの学習・指導方法の改善のための実践研究(SCRUM)

 昨年度から札幌北高校、函館稜北高校、旭川東高校、釧路湖陵高校の四校を拠点校とし実施していたが、本年度新たに推進校、協力校として二十八校を指定し、アクティブ・ラーニングの視点からの系統的な教科指導および教科間連携などの取組を全道に拡充した。

 十一月には函館稜北高を会場に、十二月には札幌北高、旭川東高、釧路湖陵高を会場に、圏域研究大会を実施。近隣から多くの教員が参加し、公開授業や大学教授による講演などを通して、「主体的・対話的で深い学び」の視点からの授業改善について理解を深めることができた。

 十二月二十七日には、道立教育研究所をメーン会場、各拠点校、推進校を地区会場として、道アクティブ・ラーニング実践協議会を実施した。会場校として運営等を行っていただいた拠点校、推進校に感謝申し上げる。

 国においては、次年度、後継事業を実施する予定であり、道教委としては、本年度の取組を一層拡充するため、申請の準備を進めている。

▼高校生の基礎学力の定着に向けた学習改善のための調査研究事業

 生徒の学習意欲の高揚および家庭学習習慣の定着を目指すとともに、国の「高校生のための学びの基礎診断」の導入検討に資することをねらいとして、札幌英藍高校において「カリキュラム・マネジメント」の確立および「PDCAサイクル」の構築に取り組み、今後、成果の普及に努めることとしている。

 「高校生のための学びの基礎診断」については、国において、三月にも認定基準等が策定され、十一月ころには認定ツールが情報提供される予定。

 各学校が認定ツールを選択するためには、設置者として一定の方針を示す必要があることから、今後、校長協会などの参画をいただき、検討委員会を設置し、検討する予定。

▼U―18未来フォーラム

 本事業は二年目を迎え、拠点校八校におけるICTの活用による海外の高校等との交流を通じて、本道の国際理解教育と外国語教育を推進している。

 拠点校においては、二月までに、海外協力校との交流授業を実施し、近隣の学校の教員等の参加を得て研究協議などを行う「地区フォーラム」を実施する予定。近隣の学校においては、教員の積極的な派遣について、配慮いただきたい。

 次年度は、全道フォーラムを実施し、実践研究の成果発表やほかの拠点校との交流活動を行う予定なので、承知おき願う。

▼高校英語力向上事業

 本事業は、指定校十校が学科の特性等に応じて英語の活用場面を想定した活動を展開し、英語の授業の改善・充実を図っている。

 これまで、指定校においては、講演会や企業などの見学を実施するとともに、近隣または同じ学科を設置する学校の英語担当教員によるプロジェクト会議を実施し、英語教育にかかる取組について情報共有を行ってきた。

 指定校では、二月中に第二回英検IBAを実施し、第一回目の結果と比較することによって、生徒の英語力の伸長度を測定する予定。

 次年度は、新しい指定校を選定する予定であることから、積極的に検討いただきたい。

▼留学セミナー

 三十年度から、高校生留学フェアに代わる新規事業として、二十校程度の道立高校等において、留学経験者や海外勤務経験者を講師として招へいし講演などを行う取組を検討中。詳細が決定次第、知らせるので、積極的な活用をお願いする。

▼地域医療を支える人づくりプロジェクト事業

 医進類型指定校については、昨年度に本事業の実施要綱を改正し、指定校および協力校を毎年度募集することとしたことから、年度内に次年度の指定校および協力校を募集する予定。

 指定校においては、医学部医学科への進学を目指す生徒に対し、きめ細かな学習支援を行うため、第二・三学年の数学、理科、外国語等で少人数指導を行う教育課程を編成・実施する「医進類型」を設置することとし、教員の加配を行うこととしているが、加配に見合った適切かつ効果的な少人数指導を実施する必要があることに留意いただきたい。

 「高校生メディカル講座」および「地域医療体験」については、本事業の指定校および協力校によって十四管内すべてで実施または今後実施予定。関係の学校の協力に感謝申し上げる。

 次年度の「メディカル・キャンプ・セミナー」は、八月七~十日にネイパル深川で実施する予定。次年度も、教員の派遣および生徒の参加について、特段の配慮をお願いする。

【特別支援教育】

▼高校における特別支援教育支援員配置事業

 次年度の支援員の配置校については、三十年一月二十二日付教高第一八六四号通知「教育上特別な支援を必要としている生徒の状況および支援の状況の把握について」調査によって、各学校の状況を把握した上で決定する予定。

 各学校においては、支援員を配置した場合の具体的な支援の場面や頻度、内容などを十分に検討いただきたい。

▼進級・卒業に向けた適切な指導

 教育上特別な支援を必要としている生徒に対しては、チーム・ティーチングや個別指導などによるきめ細かな学習指導に努めるとともに、定期的に補習を行うなど、生徒の実態に応じた様々な方策を講じていただきたい。

 単位の認定に当たっては、障がいのあるなしにかかわらず、授業における生徒の取組状況や課題の提出状況、補習の出席状況など、個々の生徒の学習状況を十分に考慮しながら、多面的に評価を行っていただきたい。特に、学習成績だけで進級や卒業を不認定とすることは適切とは言えないことから、評価方法については、多様で多角的な観点を設定し、生徒のよさを引き出すような評価となるよう留意いただきたい。

 障がいのある生徒の指導に当たっては、個別の指導計画に基づいて、適切に指導・評価を行うことや、評価内容や評定について保護者にも丁寧に説明することなどについて、教職員を指導し、適切な対応に努めていただきたい。

 進級や卒業が心配される生徒の保護者には、定期テスト終了後や各学期末に、定期的に情報提供するなど、学校としての対応状況や今後の見通しを示し、保護者の理解や協力を得ながら、生徒の支援に当たっていただきたい。

▼三十年度からの通級による指導の導入に向けて

 二十九年十二月十二日付教育長決定「道立高校等における通級による指導にかかる基本的な考え方」に基づき、三十年度から、各学校において必要と判断する場合には、通級による指導を実施することが可能。

 各学校において、通級による指導を円滑に実施できるよう、今後、通級による指導の手引(マニュアル)や、中学生や保護者に周知するためのリーフレットを作成する予定。

【部活動指導員】

 教員の働き方改革とも関連し、現在、部活動指導員を任用するための新規事業の実施要項や、部活動指導員の身分や任用、職務などを定めた取扱要綱を作成中であり、各学校には、年度内に案を周知したいと考えている。

 また、部活動指導員の人材確保については、人材リストの作成などについて検討中。

【進路指導】

▼三十年三月公立高校卒業予定者の就職内定状況(十二月末現在、道教委調査)

 就職希望生徒数は前年同期比四百六十九人減の八千三百十九人、就職内定生徒数は六百四十六人増の七千三百七十一人、就職未内定生徒数は三十八人減の九百四十八人、就職内定率は一二・一ポイント増の八八・六%だった。

▼就職を希望する生徒への支援

 各学校においては、就職が内定していない生徒に対し、最寄りのハローワークによる個別就職支援やジョブカフェ北海道によるメール・個別カウンセリングを積極的に活用するよう働きかけていただきたい。

 就職を希望しながら就職試験を一度も受験していない生徒は、十二月末現在三百五十七人となっている。昨年に比べ九人増加しており、引き続き、きめ細かな指導に努めていただきたい。

▼労働に関する教育の充実

 昨年十一月に、各教育局の進路相談員を対象として、労働法制についての研修を実施した。各学校においては、生徒が労働法や制度についての理解を深めるよう、進路相談員等を活用するなどして、計画的に労働に関する教育の充実に取り組んでいただきたい。

▼早期離職の防止

 道労働局の調査によると、道内新規高卒者が卒業後三年以内に離職する割合は、直近の二十六年三月に卒業した者で四六・九%となっており、全国平均と比較すると六・一ポイント高い状況にあるものの、その差は五年連続改善傾向にある。

 このことは、各学校が早期離職の防止に向け、入学当初から計画的に行う進路相談の実施などが功を奏しているものと考えるが、今後においても、求人企業に対する応募前職場見学の実施や卒業生から体験談を聞く機会の設定、就職後の状況についての定期的な情報交換など、企業などとの連携を深めた取組について、一層の充実を図っていただきたい。

【寄宿舎の宿直業務の適正な執行】

 本年七月に実施した「公立高校等の寄宿舎に関する調査」の結果などを踏まえ、三十年一月二十六日付教高第一八六四号によって、寄宿舎の宿直業務の適正な執行について通知した。

 寄宿舎を設置する学校にあっては、通知の趣旨に基づき、寄宿舎の運営・管理について適切に対応していただきたい。

【コミュニティ・スクールの設置拡充】

 二十九年七月二十七日付教高第八二五号通知「道立高校における学校運営協議会の設置について」によって、道教委の基本方針を示し、昨年九月に、新たに栗山高校と寿都高校に学校運営協議会を設置した。

 三十年度の設置校については、昨年十一月に実施した次年度以降の設置の希望にかかる調査の結果を踏まえ、設置の基本方針(二十九年七月二十七日付教高第八二五号通知)を満たしている学校を予定校として選定し、申請手続きを進める予定。

【日本の次世代リーダー養成塾】

 養成塾は、各界の著名人による講義や企業人を交えたディスカッションなど、多彩なカリキュラムで構成され、全国から集まった高校生と二週間の合宿生活を送る中で、あすを拓く人材を育もうとする取組であり、北海道も参画県の一つとして道内の高校生を派遣する事業を実施する。

 本年度は、公私立合わせて十四人が応募、面接試験等を経て十一人が選ばれ、昨年七月二十五日から八月七日に福岡県宗像市と佐賀県唐津市で開かれた養成塾に参加した。

 参加者からは「とても貴重な経験ができ、想像以上に得たものが大きかった」「志の高い高校生と交流を深め、高め合うことができた」など、充実した体験ができた旨の感想が出されており、高校生の視野を広げる上で効果が高いと認識している。参加者のあった学校においては、体験発表を行う機会を設けるなどして、養成塾への参加の成果をほかの生徒に還元いただきたい。

 ここ数年、参加経験のある高校からの応募が続いており、より多くの学校からの参加を増やしたいことから、各学校においては、四月からの募集に向け、生徒および保護者に対して積極的に働きかけていただきたい。

【高校と地域等との連携】

 道公民館協会から、各地域の公民館協会の主催する各種研修会等への高校生の参加について要請があり、今後、生涯学習課において、各地域の研修会の日程や内容などを把握し、各学校に情報提供する予定。

 研修会の内容によっては、各教科・科目や総合的な学習の時間、特別活動での活用のほか、生徒の自主参加なども想定されることから、各学校において、学校としてのねらいを明確にした上で、教育課程に位置付けるなどして、生徒の参加について検討していただきたい。

【高校等就学支援金】

 就学支援金の所得判断基準については「市町村民税所得割の額」を用いて支給の対象を判定していたが、県費負担教職員の給与等の負担が都道府県から指定都市に権限委譲されたことに伴い、指定都市と道の標準税率が変更となることから、二十九年十二月二十二日付教高第一七二三号によって、現行の「市町村民税所得割の額」から「道府県民税所得割の額と市町村民税所得割の額とを合算した額」に変更するよう政令の改正を行い、三十年七月一日から施行されることとなった旨を通知した。

 この改正によって基準額が変更となるが、基本的にこれまでの支給対象範囲が変更となるものではないと考えている。

 このほか、就学支援金の支給要件として、毎年、課税証明書等の提出を求めているが、国ではマイナンバーを利用した「高校就学支援金システム」を三十一年四月に導入する予定であり、道においても、当該システムの利用を検討している。

(道・道教委 2018-02-15付)

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