実効性ある解消策求める 働き方改革アクション・プラン案に声明―北教組(関係団体 2018-02-22付)
北教組(信岡聡中央執行委員)は十六日、道教委による学校における働き方改革「北海道アクション・プラン」案に対する声明を発表した。「総じてその達成に向けた現実の課題と解決に向けた有効な手立てなどの核心を欠くもの」「極めて具体性・実効性・拘束力に乏しい」と批判。引き続き「教職員の長時間労働是正キャンペーン」運動の強化、実効性ある超勤解消策の策定を求めていくとした。
声明の概要はつぎのとおり。
◇ ◇ ◇
道教委は二月十四日、二〇二〇年度末までの三年間で「一週間当たりの勤務時間が六十時間(過労死ライン相当)を超える教員を全校種でゼロにする」とする目標を掲げた学校における働き方改革「北海道アクション・プラン」案を教育委員会において公表するとともに、北教組に提示した。
その内容は、二〇二〇年度末までに道内のすべての学校において「部活動休養日については、毎週一日以上、月一日以上の土日など年間七十三日設定する」「学校閉庁日は、八月十五日前後の三日と年末年始の全道一斉と併せて九日設定する」「月二回以上の定時退勤日の徹底に努める」「スクール・サポートスタッフを含めた専門スタッフを配置する」「主幹教諭の配置など学校運営体制の充実を図るなど、〝働き方改革〟を行うため、業務改善の方向性を示し、市町村教委の取組を促す」とするものである。
しかし、これらは、努力目標にとどまっているばかりか、実現に向けた具体的な方策や必要な予算措置は何ら示されておらず、全く現場の過酷な超勤実態に対する解消策とはなり得ない内容になっている。
また、昨年十二月の中教審「中間まとめ」と文部科学省「緊急対策」を踏襲し、教職員の「意識改革」に力点を置き、さらなる授業時数増となる改悪「学習指導要領」や「学力向上策」の押し付け廃止などの教育施策の転換や超勤の元凶となっている「給特法」の見直し、教職員定数増などの抜本的な改善策に一切踏み込んでいない。さらには、「働き方改革」を口実に、文科省に追随した「チーム学校」などの施策を進めようと企図しており、むしろ超勤の助長が懸念される極めて問題のあるものとなっている。
道教委は、具体的な取組として、「本来担うべき業務に専念できる環境の整備」「部活動指導にかかわる負担の軽減」「勤務時間を意識した働き方の推進と学校運営体制の充実」「教育委員会による学校サポート体制の充実」の四つの取組の柱を示した。
しかし、
①「専門スタッフ等の配置促進」「ICTを活用した教材の共有化」「校務支援システム導入促進」「コミュニティ・スクールの推進」など、現場の要求とかい離し、効果が全く見込めないものばかりを列挙している
②スクール・サポートスタッフなどの専門スタッフの配置・派遣では、職務上の位置付けや職務内容・予算・配置規模などについて全く言及されていない
③「部活動休養日」では、目標をスポーツ庁が示した「週二日」を下回る「週一日以上、月一日以上の土日、学校閉庁日九日の年間七十三日」にとどめるだけではなく、完全定着に向けた現場への拘束力などの方策がない
④「意識改革の促進」に終始するとともに、学校事務職員への業務の転嫁や文科省「チーム学校」体制の強化など協力・協働体制を阻害するものとなっている
⑤「学校閉庁日」については、服務上の取扱いについて休暇や校外研修とせず「年休・夏季休暇・振替等」にとどめ、九日のうち六日はそもそも休日である年末年始とし、膨大な超勤の回復措置からほど遠いなど、いずれも現場の要求を受け止めたものとはなっていない
以上のように、「案」は数値目標を掲げているものの、総じてその達成に向けた現実の課題と解決に向けた有効な手立てなどの核心を欠くものとなっており、極めて具体性・実効性・拘束力に乏しいと言わざるを得ない。
北教組は、引き続き「給特法」の見直しや教職員定数改善などの抜本的な解消策を求める「教職員の長時間労働是正キャンペーン」の運動を強化するとともに、道教委に対して、現場教職員の切実な要求を受け止めた実効ある超勤解消策の策定を求めていく。
(関係団体 2018-02-22付)
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