室蘭市の30年度教育行政執行方針 標準学力調査の実施学年拡大 西中学校区に運営協設置
(市町村 2018-03-19付)

室蘭市教委國枝信
室蘭市教委・國枝信教育長

 【室蘭発】室蘭市教委の國枝信教育長は二月下旬、第一回市議会定例会で三十年度教育行政執行方針を説明した。学校教育については、第三期学力向上基本計画(三十~三十四年度)のもと、標準学力調査の実施学年を拡大するほか、小学校における外国語の時数増に伴う調査研究などを行う方針を示した。また、三十年度は室蘭西中学校区に学校運営協議会を設置するとともに、すべての小・中学校がコミュニティ・スクールの導入を目指す。

室蘭西中区に学校運営協設置

 執行方針の概要はつぎのとおり。

▼子どもたちの生きる力を育成する教育の推進

 確かな学力の向上については、全国学力・学習状況調査や市独自の標準学力調査の結果から、小・中学校ともに着実な成果が現われているものの、教科によっては学校間や個人間の差が依然みられることや、家庭における学習・生活習慣が十分に身に付いていないなどの課題があげられる。

 これらの成果と課題を踏まえ、四月から新たな第三期学力向上基本計画に基づき取組を推進する。具体的な取組としては、標準学力調査の実施学年の拡大、デジタル教科書の充実のほか、研究奨励校の指定、教育研究所との連携による主体的・対話的で深い学びの充実やICTの活用の推進、小学校における外国語の時数増に伴う調査研究などを実施する。

 豊かな心の育成については、すべての教育活動を通じて、生命尊重や思いやりの心、規範意識などをはぐくむ道徳教育の充実を図るとともに、新たに実施となる「特別の教科 道徳」の授業内容を充実させる教員研修を実施する。

 いじめ問題については、いじめ防止基本方針に基づき、学校・家庭・地域・関係機関との連携を一層深め、未然防止や早期発見、早期対応の取組を強化する。

 不登校問題については、児童生徒の状況把握を徹底するとともに、各校との連携を密にしながら、適応指導教室や訪問アドバイザーなどによるきめ細やかな教育相談や支援に努る。

 児童生徒の問題行動については、子どもたちの心に寄り添った生徒指導の充実を通じてその未然防止に努めるとともに、関係機関と連携を図って毅然とした対応を行う。

 健やかな体の育成については、児童生徒の体力向上プランに基づく取組を継続するとともに、各校における一校一実践など、子どもたちの体力向上、運動習慣の定着に努める。

 特色ある教育活動の推進については、世界に通じる子どもたちの育成事業として、小学生対象の出前講座や中学生対象のむろらんイングリッシュ・デイを開催する。このほか、港ふるさと体験学習などの実施によって、ふるさと室蘭への愛着や誇りをもち、併せて環境意識を高める取組を推進する。

▼信頼される学校づくりの推進

 より信頼される学校づくりを進めていくためには、家庭や地域の理解と協力を得た学校づくりを一層推進するとともに、教職員の資質・能力の向上と服務規律の徹底が重要となる。

 そのため、二ヵ年のコミュニティ・スクール導入促進事業の成果を踏まえ、三十年度に室蘭西中学校区に学校運営協議会を設置する。今後は学校統合の推移を見据え、設置準備の整った中学校区に順次学校運営協議会を設置し、すべての小・中学校がコミュニティ・スクールとなることを目指す。

 教職員の資質・能力の向上については、学校訪問や研究指定事業を通じて、授業改善にかかわる教員指導に努めるとともに、教育研究所における教育研究や各種研修講座の内容充実に努める。

 学校現場の業務改善については、教員の多忙化への対応を含め、教員が子どもたちと向き合う時間を確保するとともに、次世代の学校指導体制の実現に向けて市立学校の業務改善指針を策定し、学校閉庁日の設定や部活動のルール化など、教育委員会と学校が一体となった取組を推進する。

▼子どもたちが安全・安心に学べる教育環境の整備

 交通安全教育や不審者から子どもを守る取組については、市内一斉巡回活動や見守り活動を継続するほか、自転車利用を含めた交通安全指導の充実に努める。

 防災教育については、各校における防災計画・防災教育計画に基づき、関係機関や地域との連携を図りながら、防災訓練や防災学習などに取り組む。

 学習環境の整備については、本年四月に開校する白蘭小の一部グラウンドおよび外構整備を行う。三十二年四月開校予定の高砂・水元小の統合校の校舎棟および体育館の建設工事に着手する。併せて、三十二年四月、知利別小の旭ヶ丘小、大沢小の海陽小への統合、さらに三十三年四月、天沢小の地球岬小への統合に向けて、学校、保護者および地域との協議を進める。

▼人とまちが生きる生涯学習の推進

 社会教育振興計画は、二十九年度で最終年次を迎えることから、地域社会の状況や教育を取り巻く変化に対応した新たな振興計画を策定する。

 文化振興については、現在、青少年科学館に展示している蒸気機関車を本市の発展の歴史と結び付くよう、ワークショップなどの意見を聞きながら旧室蘭駅舎や周辺公園との一体的な活用策を検討するとともに、全国の関心を高めるため、クラウドファンディングを実施する。

 社会教育施設の整備については、本年十二月の開館に向けて、生涯学習センター「きらん」の建設工事を進めるほか、仮称・環境科学館・図書館については、三十一年度の本体工事着工に先立ち、支障建築物の除却工事などを行う。

(市町村 2018-03-19付)

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