根室市の30年度教育行政執行方針 学力先進地域に教員派遣
(市町村 2018-03-20付)

根室市教委寺脇文康
根室市教委・寺脇文康教育長

 【根室発】根室市教委の寺脇文康教育長は三月上旬、市議会三月定例会で三十年度教育行政執行方針を説明した。学力向上対策の先進地域に教員を派遣し、指導力向上を目指すほか、学力向上等補助教員を活用したきめ細かな学習指導を行っていく考えを示した。北方領土問題の副読本や各種教材、資料コーナーなどの活用を図りながら、返還要求原点の地として、積極的な取組を継続していくことを表明した。

◆北方領土問題の学習深化

 執行方針の概要はつぎのとおり。

▼確かな学力向上に向けた取組の推進

 学力向上等補助教員を活用した習熟度別指導、チーム・ティーチングなどによって、個に応じたきめ細かな学習指導を推進し「分かる・できる・楽しい授業」の実践につなげ、日常的な教育活動の充実を図っていく。

 指導方法の具体的な工夫改善策を実践するためには、教員の指導力の向上が不可欠であることから、学力向上対策の先進地域に教員を派遣し、さらに三十一年度以降は同地域から教員を招へいし、調査・分析・研究を行い、市の教員の授業力向上を図っていく。

 学習意欲や学習時間などに問題を抱える児童生徒が多い現状から、生活リズムチェックシートの活用など、家庭での学習習慣や規則正しい習慣の定着化による学びの環境づくりに学校・家庭・地域が一層連携して取り組み、子どもたちの自ら学ぶ意欲の向上に努めていく。

▼豊かな人間性の育成に向けた取組の推進

 三十年度から正式教科となる道徳の授業を要としながら、学校の教育活動全体を通して、子どもたちが自己の生き方を考え、主体的な判断のもとに行動し、自立した人間として他者とともによりよく生きるための基盤となる道徳性を養っていく。

 国におけるいじめの防止等のための基本的な方針の改定を参酌して、市いじめ防止基本方針を改定するとともに、引き続き本方針に基づき、学校・家庭・地域・関係団体との連携体制の充実に努めながら、啓発・学習などに取り組み、いじめの根絶を目指していく。

 さらに、北方四島における共同経済活動が進展する中にあって、今後とも、北方領土問題の学習を深め、未来に向けて考えていく態度を養うため、各学校において副読本や各種教材、資料コーナなどの活用を図りながら、返還要求原点の地としての積極的な取組を継続し、郷土を愛し、発展させていこうとする気持ちを育んでいく。

▼特別支援教育の充実

 児童生徒の学習活動を支援し、教員の円滑な授業をサポートする特別支援教育支援員について、特別な支援を要する児童生徒の在籍状況を踏まえながら、複式教育の特殊性を考慮して小規模校に増員するなど、今後とも教育環境の充実を図っていく。

 障がいの多様化や重複化を背景に、将来の自立につながる専門的な教育を、できる限り身近な地域で望む声に応え、今後とも、特別支援学校分校・分教室の誘致の実現に向けて、道教委に対し要望を重ねていく。

▼教育効果を高める教育環境の整備・充実

 小・中学校の適正配置については、市立小中学校適正配置計画に基づき、引き続き保護者、地域の方々に対し丁寧な説明を継続の上、市民の意見・要望を集約・分析し、市街地の中学校の配置の在り方について、三十年度、最終的に判断していく。

 また、小中一貫・連携教育の推進については、小中一貫教育の実践のため新たに学校教育法に定められた義務教育学校の設置を検討することとし、今後、関係する学校との連携や、保護者や地域の理解を得ながら、その円滑な導入を目指し、小中一貫・連携教育の高度化に取り組んでいく。

 併せて、小中一貫・連携教育の推進が大きな成果を上げるためには、学校と地域との連携・協力関係を深めることが重要であることから、関係する学校において、保護者や地域住民が学校運営に積極的にかかわるための学校運営協議会を設置し、当市におけるコミュニティ・スクールの導入を目指していく。

 学校におけるICTの利活用については、このたび策定した教育情報化推進計画に基づき、今後、授業を効率的、効果的に進める上で望ましいICT環境などの在り方を見据えながら、学校における情報化を推進していく。

 また、児童生徒数の減少に伴う今後の学校給食供給数の見通しや、施設の老朽化などを踏まえ、花咲学校給食共同調理場を廃止し、新たに北斗・成央・光洋の三共同調理場体制のもと、学校給食共同調理場の再編・効率化を図り、学校の教育活動に支障のない安定的な学校給食の供給に向け、環境整備に努めていく。

▼地域で子どもを育てる環境づくりの充実

 子どもの放課後活動については、放課後教室などの指導員確保のため、子育て支援員の養成研修会を市独自に実施し、新たな人材の掘り起こしや確保を図るとともに、放課後子どもプランに基づき、地域の方々の参画・協力を得ながら、すべての子どもたちが安全・安心に過ごし、多様な体験・活動を行うことができる居場所づくりに努めていく。

▼歴史・文化・スポーツなどの社会教育活動の充実

 文化・スポーツ両面において児童生徒の全道・全国大会遠征費を補助するみらいのアスリート・アーティスト応援事業について、その対象範囲を拡充する。

(市町村 2018-03-20付)

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