苫小牧市の30年度教育行政執行方針 「苫小牧オール9」を推進 小中9年間の連携教育を
(市町村 2018-03-20付)

苫小牧市教委和野幸夫
苫小牧市教委・和野幸夫教育長

 【室蘭発】苫小牧市教委の和野幸夫教育長は二月下旬、第十四回定例会で三十年度教育行政執行方針を説明した。小・中学校間の継続した学習指導の取組として「苫小牧オール9」を推進。小学校入学から中学校卒業までの九年間の連続・一貫した指導による連携教育を進める考えを示した。教職員の資質能力向上を目的に、市教育研究所において合計三十六講座を開設する。

 教育行政執行方針はつぎのとおり。

▼一人一人のニーズに応じた確かな学力を育む教育活動の充実

▽学ぶ意欲の向上と望ましい学習習慣の定着

 小学校の外国語の教科化に向け、小学校外国語活動巡回指導教員と外国語指導助手(ALT)を増員して学校の指導体制の充実を図るとともに、外国語の指導にかかる研修を実施し、指導内容の充実も図る。

▽確かな学力の向上を目指した学習指導の充実

 先導的実践の普及を目的に設置している授業改善研究委員会について、これまでの国語科、算数・数学科の二教科体制から、理科と外国語を加えた四教科体制とし、市全体での共通取組事項の徹底を進める。

 市学校教育力向上マスタープランに基づき、学校教育力向上エリア会議を一層充実させ、これまでの連携の枠組みである「インプルーブ6」を「苫小牧オール9」へと発展させ、取組を推進する。

▽特別支援教育の充実と環境整備

 特別支援教育については、特別支援教育支援員の増員や介添員の適正配置に努めるなど、個々の学習の状況に応じた教育を行うための環境整備を推進する。さらに、道立特別支援学校の設置について、引き続き既存施設の活用も含め、道教委に要請していく。

▼豊かな人間性と健康な体の育成

▽道徳教育の推進

 道徳教育の推進のため道徳教育アクションプランを策定し、考え、議論する道徳の授業改善に努める。こころの授業では、学校外部講師を招へいし、命の大切さや道徳的な価値について、子どもたちが自ら気が付くような指導の充実に努める。

▽望ましい生活習慣の確立・体力の向上

 本市の大きな課題でもある情報機器の利用について、「とまこまい学びの三ヵ条」の啓発を一層進めるとともに、教育研究所の研修講座などで教職員の研修を充実させていく。

▽いじめや不登校の未然防止・早期対応

 いじめや不登校にかかる関係機関を一元化した組織(教育支援センター)を指導室内に設置し、対応・対処のスピード化を図る。

 子どもたちがいじめ問題を主体的に考える事業として第六回いじめ問題子どもサミットを開催し、各学校での児童会・生徒会活動などにおける取組の充実を図っていく。

 不登校の予防的対策として、不登校にならないための魅力ある学校づくりと、不登校児童生徒に対するきめ細かくスピード感のある対応の二つの視点を明確にして取り組んでいく。

▽健康の保持増進に向けた取組の推進

 学校給食におけるアレルギー対応食の提供については、卵の除去を基本に、三十年度中には、対象校を全小・中学校に拡大していく。

▼学校・家庭・地域社会が連携した信頼される学校づくりの推進

▽教職員の資質・能力の向上

 教員のレベルアップ・スキルアップを目的に、市教育研究所において、本市の課題に即した学習指導を徹底させるための研修として九講座、今日的な教育課題に対応した研修として十六講座を開設するとともに、教員個々の課題に対応した夜間講座(夕べの講座)を六回開催する。

 特別支援教育の指導の充実に関しては、実践的な内容について五講座を夜間講座として実施する。

▽開かれた学校づくりの推進

 家庭・地域住民が学校経営に参画し、協働で子どもたちを育てていく体制を構築するため、モデル地区を選定し、コミュニティ・スクール(学校運営協議会制度)の実践検証を行っていく。

▽学びの環境づくりの推進

 学校図書館の蔵書の充実に努めるとともに、全小学校に学校司書を配置し、魅力ある学校図書館づくりを進めていく。

 校務支援システムの利活用による効率化や学校業務のスリム化などによって、学校における働き方改革を推進し、教員が子どもたちに向き合う時間の確保に努めていく。

▼家庭・地域で子どもを育てる環境づくりの推進

▽家庭の教育力の向上を目指した研修機会の拡充

 PTA連合会と連携し、保護者が子育てや教育について考える機会を拡充する。とりわけ、情報モラル教育について連携を進め、親子での利用の約束について協議していく。

▼郷土のよさを生かした潤いのある生涯学習の推進

▽地域や市民と密着した協働体制の充実

 相互に理解し支え合い、自己の力を発揮できる生涯学習社会を目指し、市民や地域、行政の連携強化に向け、市民および地域団体の活動状況や学習ニーズの把握に努めるとともに、出前講座やアウトリーチ推進事業などによる支援に努める。

(市町村 2018-03-20付)

その他の記事( 市町村)

新得町の30年度教育行政執行方針 外国語に親しむ事業展開 CS31年度導入へ検討推進

新得町教委武田芳秋  【帯広発】新得町教委の武田芳秋教育長は三月上旬、第一回定例町議会で三十年度教育行政執行方針を説明した。昨年度に引き続き、全小学校で土曜授業を実施するほか、学習指導要領の改訂を踏まえ、新たに...

(2018-03-22)  全て読む

標津町の30年度教育行政執行方針 ICT機器など学習環境を整備 長野県生坂村との交流事業に着手

標津町教委山﨑佳  【根室発】標津町教委の山﨑佳教育長は、八日の町議会第一回定例会で三十年度教育行政執行方針を説明した。同町と交流のある長野県生坂村との中学生交流事業に着手するほか、ICT教育に必要な各種機器...

(2018-03-22)  全て読む

別海町の30年度教育行政執行方針 別海子ども未来議会を開催 全学校区でCS調査研究

別海町教委伊藤多加志  【根室発】別海町教委の伊藤多加志教育長は、八日の町議会第一回定例会で三十年度教育行政執行方針を説明した。すべての学校区八区で別海型コミュニティ・スクールについての調査研究を進め、地域の特色...

(2018-03-22)  全て読む

恵庭市教委の学力向上推進事業―30年度新規 アドバイザーを1人配置 全小・中の取組検証し助言

 恵庭市教委は三十年度から、新規で行う学力向上推進事業における学力向上アドバイザーを配置する。市教委学校教育課内に配置し、市内の全小・中学校で学力向上に関する取組内容を検証し、それを学校にフ...

(2018-03-22)  全て読む

泊村の30年度教育行政執行方針 31年度CS導入へ準備 長期休業中の学習会を継続

泊村教委森和稔  【倶知安発】泊村教委の森和稔教育長は、第一回村議会定例会で三十年度教育行政執行方針を説明した。学力向上に向け、主体的・対話的で深い学びの視点からの授業改善を行うとともに、長期休業中の学習会...

(2018-03-22)  全て読む

札幌市教委 青少年科学館を活用した理科 新年度にモデル授業実施 小3~中3対象 展示物利用など

 札幌市教委は新年度、現在作成している札幌市青少年科学館を活用した「理科授業プログラム」のモデル授業を行う。小学三年生から中学三年生を対象に、同館の展示物を活用した授業を実施するもの。現在、...

(2018-03-20)  全て読む

羽幌町の30年度教育行政執行方針 天売高複合化施設の設計に着手 地域とともにある学校を

羽幌町教委山口芳徳  【留萌発】羽幌町教委の山口芳徳教育長は、六日の第二回町議会定例会で三十年度教育行政執行方針を説明した。子どもたちの健やかな成長に向け「学校、家庭、地域、行政、それぞれが連携することが重要」...

(2018-03-20)  全て読む

1定札幌市議会予算特別委(14日)

 十四日の札幌市議会第一回定例会第一部予算特別委員会で、教育に関する質疑が行われた。 ◆教育アクションプラン 市民の声取り入れ骨子案を策定へ  札幌市教育振興基本計画について質疑が行われ...

(2018-03-20)  全て読む

美唄市30年度教育行政執行方針 独自プランで学力育成 小中2校の統合へ準備推進

美唄市教委星野恒徳  【岩見沢発】美唄市教委の星野恒徳教育長は三月上旬、定例市議会で三十年度教育行政執行方針を説明した。市内小・中学校の校長・教頭や教職員で構成する学力向上プロジェクトチームが作成した「確かな学...

(2018-03-20)  全て読む

小中連携モデル校を設置 幕別町が新年度2校区先行

 【帯広発】幕別町は新年度、小中一貫教育に関する研究にかかわって、小中連携モデル校を設置し具体的な実践を進める方針を固めた。モデル校には、町立幕別小学校・幕別中学校からなる「幕別中エリア」と...

(2018-03-20)  全て読む