30年度檜山管内教育推進の重点―檜山局が管内公立学校長等会議開く 未来志向で人・地域づくり 2ヵ年の教育推進計画説明(道・道教委 2018-04-20付)
河野局長は、校長としてのリーダーシップを発揮して学校経営を行うよう期待した
【江差発】檜山教育局は十二日、檜山合同庁舎で管内公立学校長合同会議を開いた。河野秀平局長が本年度から二ヵ年で実施する管内教育推進計画を説明。「檜山の未来を拓く自立した人づくり」「檜山の未来を築く活力ある地域づくり」の二つを柱に、「社会を生き抜く実践的な力の育成」「家庭や地域から信頼される学校づくりの推進」など五つの基本目標を示した。その上で、「確かな学力・豊かな心・健やかな体の育成」「いじめ・不登校への対応」「活力ある地域づくりの推進」を重点として掲げ「一丸となって教育の充実・発展に取り組みたい」と述べ、協力を要請した。
管内教育推進の重点はつぎのとおり。
【はじめに】
道教委は三月、道教育推進計画について策定から十年経過したことから、三十年度以降五年間の新たな計画を策定した。
管内においても教育推進計画が前年度で最終年度を迎えたことから、道教育推進計画とこれまでの管内教育の成果と課題を踏まえ、三十・三十一年度の檜山管内教育推進計画を策定した。
【管内教育推進計画のテーマおよび構成】
管内教育推進計画のテーマおよび構成について説明する。
テーマについては、社会が大きく変化する中、次代を担う檜山の子どもたちには、これまで以上に、ふるさとへの誇りと愛着をもち、未来を切り開く力を身に付けていくことができるよう、「檜山のよさを生かし、共に支え合いながら、未来を拓く人を育む」と設定した。
このテーマのもと、新学習指導要領の全面実施を見据え、三十・三十一年度の二年間にわたる方針を立てた。
この方針は、二つの柱と五つの基本目標で構成しており、目標達成に向け合わせて十九の項目を設定している。
さらに、この方針をもとに、本年度の重点を大きく三つ設定し、各学校や教育委員会に取り組んでいただきたいことを取りまとめた。
【管内教育推進の方針】
方針については、管内の未来を見据え「学校教育の充実を中心とした“檜山の未来を拓く自立した人づくり”」と「学校と家庭・地域の連携や生涯学習の充実を中心とした“檜山の未来を築く活力ある地域づくり”」の二つの柱で構成した。
▼檜山の未来を拓く自立した人づくり
まず、一つ目の柱「檜山の未来を拓く自立した人づくり」について説明する。一つ目の柱は三つの基本目標で構成している。
基本目標1については「これまで以上に変化が激しいことが予想されるこれからの社会を生きていくためには、確かな学力の育成がますます重要となっていること」「インクルーシブ教育システムの構築に向けた取組の着実な推進が求められ、すべての学校において一人ひとりの教育的ニーズに応じた指導や支援の充実を図る必要があること」「グローバル化が急速に進展する中、外国語を通じて積極的にコミュニケーションを図ろうとする態度の育成や、社会の加速度的な変化の中で社会的・職業的自立に向けて必要となる資質・能力を育むことが重要であること」を踏まえ「社会を生き抜く実践的な力の育成」とし、①から⑤までの項目で構成した。
基本目標2については「本年度から教科化される道徳教育の充実や、郷土への誇りと愛着を育み、北海道を担う人材を育成するふるさと教育の充実、子どもたちの感性を磨き創造力を豊かにする読書活動の充実が求められていること」「いじめはどの子どもにも起こり得るものであり、不登校は早期からの支援が重要であるという認識に立ち、未然防止や解消に向け組織的・計画的に取り組む必要があること」「体力は、健康の維持のほか、意欲や気力など精神面の充実にも大きくかかわっており、今後も、学校での指導の充実や、学校・家庭・地域が連携した運動習慣の定着や生活習慣の改善のための取組が求められていること」を踏まえ「豊かな心と健やかな体の育成」とし、①から④までの項目で構成した。
基本目標3については「複雑化・多様化する課題の解決に向け学校のマネジメント機能を強化することや、服務規律および法令順守の徹底による信頼される学校づくりが必要であること」「初等中等教育全体を見通し、子どもたちに必要な資質・能力をバランスよく育むことができるよう、学校段階間の円滑な接続が求められていること」「学習指導要領の改訂を踏まえ、教員には、主体的・対話的で深い学びの視点からの授業改善など、新たな教育課題に対応できる力量を高めることが求められていること」「学校管理下での事故や登下校時に子どもたちが被害に遭う事件・事故を防ぐために、安全教育や学校の管理の一層の充実が必要とされること」を踏まえ「家庭や地域から信頼される学校づくりの推進」とし、①から④までの項目で構成した。
▼檜山の未来を築く活力ある地域づくり
続いて、柱の二つ目の「檜山の未来を築く活力ある地域づくり」について説明する。柱は二つの基本目標で構成している。
基本目標4については「子どもたちの健やかな成長のためには、学習習慣をはじめとする望ましい生活習慣の定着が重要であり、地域における家庭教育の支援も必要であること」「近年、幼児期に身に付けた力がその後の生活に影響を与えるという研究成果があるなど、幼児教育の重要性が高まっていること」「学校が抱える課題が複雑、困難となる中で、学校と地域が一体となって子どもたちの成長を支える組織的・継続的な取組が求められること」を踏まえ「学校・家庭・地域の連携・協働の推進」とし、①から③までの項目で構成した。
基本目標5については「少子高齢化や人口減少が進む中、地域社会においては、生涯学習を通して一人ひとりがそれぞれの能力や可能性を高め、地域の課題解決や様々な地域活動などに参画していくことが一層重要となっていること」「学習の成果を地域づくりの実践につなげる社会教育の担い手や、地域のイベントに積極的に参画する住民の確保が必要となっていること」「芸術文化は、青少年の豊かな創造性や情操を育む上で重要な役割を果たすものであり、国においても文化芸術立国中期プランを発表し、各地の文化力を生かした取組を進めていること」を踏まえ「学びを活かす地域づくりの推進」とし、①から③までの項目で構成した。
【管内教育充実に向けた取組】
管内教育推進の方針を基に、三十年度の重点として、①確かな学力・豊かな心・健やかな体の育成②いじめ・不登校への対応③活力ある地域づくりの推進―の三つを設定し、それぞれ目標を掲げ、学校や教育委員会に取り組んでいただきたいことを取りまとめた。
▼重点1「確かな学力・豊かな心・健やかな体の育成」
重点の一つ目は「確かな学力・豊かな心・健やかな体の育成」とし、目標を「すべての学校において、学力・体力の全国平均以上を目指す」とした。
確かな学力の育成については、昨年度掲げた「すべての学校において全教科で全国平均以上」について、小学校は前年度より五校増の十校、中学校は二校減ながら二校が達成したが、授業の最後の振り返りについて学校と子どもたちに意識の差がみられることや、家庭学習時間が短いことなどの課題がある。
また、本年度から新学習指導要領の移行期間に入り、主体的・対話的で深い学びに向けた授業改善をはじめ、移行期における小学校外国語活動の適切な実施、中学校卒業段階では英検三級程度以上、高校卒業段階では英検準二級程度以上の英語力を身に付けることができるようオールイングリッシュによる授業を積極的に行うなど、外国語教育の充実に向けた取組も求められている。
こうしたことを踏まえ、確かな学力の育成に向け、①~⑥に示した取組を重点的に進めていただきたい。
豊かな心の育成については、よりよく生きるための道徳性を養う「考え、議論する道徳」の実現に向け、道徳科の指導方法の工夫や指導体制の確立が求められている。
また、郷土への誇りと愛着を育むとともに、アイヌの人たちの歴史・文化等や北方領土に関する指導などふるさと教育の充実や、学校図書館の計画的な利用やその機能の活用などによる子どもの読書習慣の定着を図ることが求められている。
こうしたことを踏まえ、豊かな心の育成に向け、①~③に示した取組を重点的に進めていただきたい。
健やかな体の育成については、全国調査において大きな成果を挙げ、管内の各学校の取組が新聞やテレビなどで紹介された。これまでの取組をさらに確かなものとし、引き続き、体力・運動能力の向上に努めることが必要と考えている。
こうしたことを踏まえ、体力の向上に向け、①、②に示した取組を重点的に進めていただきたいと思う。
特別支援教育については、全道的にも管内においても特別な教育的支援を必要とする児童生徒が増加傾向にあることも踏まえ、幼児期から学校卒業までの切れ目のない一貫した指導や支援に向けた体制整備が求められている。
そのため、個別の教育支援計画の作成・活用や、すべての教職員や支援員が特別支援教育に関する指導や支援についての知識や技能を身に付けることができるよう、校内研修の充実を図ることが求められている。
こうしたことを踏まえ、特別支援教育の充実に向け、①~③に示した取組を重点的に進めていただきたい。
学校づくりの推進については、教職員が子どもと向き合う時間を確保できるよう、学校における働き方改革による業務改善が求められていることから、①の取組を重点的に進めていただきたい。
▼重点2「いじめ・不登校への対応」
重点の二つ目は、子どもが安心して学校に通うことができることが教育の充実に向けて、何よりも重要であると考え、「いじめ・不登校への対応」とし、目標を「すべての学校においていじめ・不登校の解消を目指す」とした。
管内においても、いじめや不登校はゼロではない。また、「いじめはどんなことがあっても許されない」と「思わない」児童生徒が、小・中・高校で全体の一割以上存在しており、このことは、憂慮すべき課題と考える。
本年二月には北海道いじめ防止基本方針が改定され、学校においては自校のいじめ防止基本方針を見直すとともに、それを踏まえた取組の充実が求められている。
また、不登校への対応については、きめの細かい支援に向け、「児童生徒理解・教育支援シート」の活用や、関係機関と連携した地域ぐるみの体制の整備・充実が求められている。
こうしたことを踏まえ、いじめ・不登校への対応として、①~⑥に示した取組を重点的に進めていただきたい。
▼重点3「活力ある地域づくりの推進」
重点の三つ目は、学校と家庭・地域が一体となった将来の社会に貢献できる人材育成に向け「活力ある地域づくりの推進」とし、目標を「学校・家庭・地域が一体となった人づくりを目指す」とした。
学校・家庭・地域の連携・協働の推進については、子どもたちに確かな学力が育まれるためには、家庭での学習習慣の定着が重要であり、学校・家庭・地域が連携・協働し、例えば、家庭の事情などによって家庭での学習が困難な状況にある子どもに対して、地域住民などの協力を得ながら、学習支援や体験活動を行う機会の充実を図るなどの必要がある。
さらに、学校が抱える課題が複雑、困難となる中で、学校と地域が一体となって子どもたちの成長を支えることができるよう、教職員のコミュニティ・スクールへの理解の一層の深まりと地域の実情などを踏まえた導入を進めることが求められている。
学校においては、こうしたことを踏まえ、学校・家庭・地域の連携・協働の推進に向け、①、②に示した取組を重点的に進めていただきたいと思う。
【むすび】
皆さんには、校長としてのリーダーシップを存分に発揮していただき、特色ある学校づくりを通して、子どもたちの健全育成に向けた学校経営を行っていただくよう期待を申し上げる。
教育局としては、管内の特色を生かしつつ、資料に示した「教育局の取組」にあるとおり、学校や地域の実態を踏まえた、よりきめの細かい実効性のある施策の展開を進め、課題の解決に向け取り組んでいく。
最後に、私は檜山の学力や体力の高さは、子どもたちの素直で物事に熱心に取り組む姿勢が一つの要因と考えているが、こうした子どもたちの姿は、長年にわたる教育委員会、学校、先生方の地道な努力の成果の表れと認識している。
歴史ある檜山の教育を、皆さんと一緒に、さらに一歩前へと進めるため、本年度も一人ひとりの力を結集し、一丸となって教育の充実・発展に取り組みたいと考えている。どうぞよろしくお願いする。
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(道・道教委 2018-04-20付)
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