函館市教委が『アプローチ』発行 授業を核とした指導充実 30年度学校教育の指針を解説(市町村 2018-05-07付)
【函館発】函館市教委は、本年度の学校教育推進に向けた指針をまとめた『アプローチ』を発行した。市の教育推進に向けて毎年発行してるもの。本年度から施行となった函館市教育振興基本計画に示されている目指す人間像の実現に向け、本年度の学校教育における取組推進の視点として、「授業を核とした指導の充実」「授業を支える取組の充実」「コミュニティ・スクールの導入・推進」「業務改善に向けて」の四つを提示。授業の指導に関するポイントなどをまとめている。
各視点の概要はつぎのとおり。
◇
【授業を核とした指導の充実】
日々の教育活動の中心は各教科等の授業で、授業の充実が子どもたちの学校生活の充実につながる。子どもたち一人ひとりに、未来を切り拓く資質・能力を育むためには、これまで取り組んできた探究型の授業を主体的・対話的で深い学びの視点から、さらに改善し、質の高い学びの機会をつくることが必要。
子どもたちの頭と心がアクティブになる授業は、学力向上のみならず、生徒指導や特別支援教育の充実につながると考える。これまでの研修の成果を生かし、すべての教師が積極的に授業改善を進め、授業を核とした指導によって、子どもの学校生活を一層充実させていく。
▼探究型の授業の充実(学力向上の視点から)
▽学習指導要領に基づき、学習内容と子どもに身に付けさせたい力を明確にするとともに、教科等の時間における子どもの学びの姿を具体的にイメージして授業改善に取り組む。
▽めあての提示やまとめ・振り返りなど、問題解決的な学習の基本的な指導を確実に行うとともに、子どもがより主体的に学習に取り組めるよう、見通しをもたせる工夫や自己の変容に気付かせる工夫などを行う。
▽学び合いの活動を行う際には、子どもが既習事項や経験、他者の考えなどと関連付けながら思考を深めることができるよう、発問や指示を工夫する。
▼一人ひとりが活躍できる授業への転換(特別支援教育の視点から)
▽子どもが主体的に学ぶことができるよう、課題解決の糸口をつかんだり、手順をイメージしたりすることができる手立てや、活動の焦点化、時間配分などの工夫をする。
▽子どもが他者から学ぶとともに、「一緒に学んでいる」と感じられるよう、考え方や感じ方を交流したり、表現したりする場や機会をつくり、課題解決に向けた子ども同士の思考過程の共有化を図る。
▽子どもが思考を深めることができるよう、実物投影機なども活用し、学習内容や教材を視覚的に提示する。
▼自己指導能力を開発する授業への転換(生徒指導の視点から)
▽子どもたちが活躍できる場を設定するとともに、努力したことを認め、称賛するなど、子どもたちが学ぶ楽しさや成就感を味わうことができるようにする。
▽子どもたちが他者と協力して行う活動を通して、互いの違いを認め合い、互いに支え合えるような場や機会を設定する。
▽課題解決に向けて主体的に判断したり、選択したりするなど、子どもたちが授業の中で自己決定する機会を意図的・計画的に設定する。
【授業を支える取組の充実】
▼校内研修の充実
▽学年や教科の枠を超えた話し合いの設定や、模擬授業後の協議など、教職員が一体となって取り組める工夫によって、校内研修の活性化を図る。
▽日常的に授業を公開し、気軽に指導方法を交流できるような環境づくりを進める。
▽自校の研究の活性化や自らの指導力の向上を図るため、研究に関する情報交換や授業の交流など、近隣校を活用した取組を推進する。
▼望ましい学習習慣の定着に向けた組織的な取組の推進
▽主体的に家庭学習に取り組むことができるよう、子どもの実態に応じた学習量や授業内容との関連に配慮した取組を学校全体で進める。
▽望ましい学習習慣や生活習慣の定着を図るために、保護者や地域と子どもの生活実態を共有したり、家庭学習の時間やテレビ、ゲームなどにふれる時間を決めたりするなど、地域ぐるみで取り組む。
▼子ども一人ひとりに対する支援の質の向上(特別支援教育の視点から)
▽はこだて子どもサポートシートを活用しながら、様々な視点を取り入れた協議によって、校内支援委員会の活性化を図り、子ども一人ひとりへの支援の充実につなげる。
▽通常の学級においても、必要に応じて、保護者や関係機関と連携しながら、はこだて子どもサポートシートを作成し、よりよい支援に生かす。
▼豊かな心を育むための校内体制の充実(生徒指導の視点から)
▽道徳教育推進教師を中心に、教育活動全体で道徳教育が推進されるような体制づくりに努めるとともに、道徳の授業が充実するよう、定期的に指導方法の交流などの機会を設定する。
▽子どもや地域などの実態を把握し、学校いじめ防止基本方針を見直すとともに、保護者や地域などとも共有して、早期発見・早期解決はもとより、未然防止の取組の一層の充実に努める。
▽すべての教職員で役割と責任を明確にするとともに、必要に応じて関係機関と連携するなど、組織的な教育相談体制を構築する。
▼一貫教育に進展する取組の推進(学校間の連携・接続の視点から)
▽学校間で目指す子ども像の共有を図り、系統的な教育活動を推進する。
▽教職員の情報交換や研究協議会、授業公開、乗り入れ授業などの取組の充実を図り、それぞれの学校・園の指導を理解するとともに、優れた点を取り入れるなどして、子どもの学びの連続性を踏まえた指導の充実を図る。
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(市町村 2018-05-07付)
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