福島町の伊能記念公園がオープン 郷土愛育む場として活用を 歴史的偉業の史実を後世に(市町村 2018-05-02付)
除幕式には、町内の小学校二校の児童も参加した
【函館発】福島町が整備してきた伊能忠敬北海道測量開始記念公園が完成し、四月二十七日に吉岡漁港内の現地で竣工式が執り行われた。伊能の偉業の第一歩が同町で刻まれた史実を伝えるランドマークとなるもので、郷土愛を育む歴史的資源としても活用が期待されている。公園内には高さ二㍍の銅像を建立。町内の小学校二校の児童会長も参加した除幕式では、関係者約百三十人が見守る中、道東を見据えて測量する伊能の立像がお披露目された。
伊能忠敬の日本地図の作成が第一次蝦夷地測量からスタートしたことはよく知られているが、福島町史研究会(中塚徹朗会長)では丹念な調査研究を経て、町と伊能のかかわりを解明。膨大な資料など客観的な根拠に基づき、全国地図作成の偉業が同町吉岡地区から始まったことを裏付けた。
しかし、吉岡地区にはこの史実を伝えるものは特になかったため、中塚会長が記念碑の建設を提案。町も郷土愛を育む観点から、ことしで没後二百年になる伊能の記念公園を整備し、銅像を建設することとした。
銅像の制作は、東京都の富岡八幡宮にある伊能像を手がけた彫刻家の酒井道久氏に依頼。高さ二・五㍍の台座の上に、伊能が目指した釧路方面を見据える二㍍程度の立像を設置した。
この日の式典には、伊能家七代目で画家の伊能洋氏、榎本武揚のひ孫の榎本隆允氏ら来賓を含め約百三十人が参加。式辞に立った鳴海清春町長は「史実を後世に語り継ぐことが私たちの使命」との思いを語り、「多くの人に愛され、親しまれてほしい」と期待を寄せた。伊能氏は「先祖がはるばる海をわたって、この場所に到達した思いを考えると感無量」とし、「人間味のある銅像となっており、ぜひご覧になっていただきたい」と願った。
このあと、鳴海町長、中塚会長、伊能氏、酒井氏、榎本氏のほか、福島町小学校児童会長の星井慎太郎君、吉岡小学校児童代表の柳谷竜心君らも加わり計十四人の手で除幕。二百十八年のときを超えて伊能の姿が再現された真新しい像が現れると、大きな拍手と歓声が沸き上がった。
最後に国の重要無形民俗文化財に指定された松前神楽を奏上。
式典終了後には吉岡総合センターに会場を移して記念講談会も催され、参加者は二百有余年前のこの地での出来事に思いをはせていた。
吉岡小学校の本多宏至校長は「歴史研究の中でふるさとのことを振り返り、今後の人生を歩んでいくときに、郷土のことを考えるきっかけに」と期待。福島小学校の飯田典紀校長も「ことしは北海道命名百五十年にも当たる。偉人と地域のとのかかわりを入口に歴史への関心を深めてもらいたい」と話した。
(市町村 2018-05-02付)
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