【解説】30年度科学技術白書
(解説 2018-06-18付)

 文部科学省は、科学技術の振興に関する施策を示す三十年度科学技術白書を公表した。

 白書は、第一部「科学技術イノベーションの基盤的な力のさらなる強化」、第二部「科学技術の振興に関して講じた施策」、特集「SDGs(持続可能な開発目標)と科学技術イノベーションの推進」で構成。

 第一部では、科学技術イノベーション創出の原動力となる大学、公的研究機関、産業界の人材力、知の基盤などの現状を分析。若手研究者数の伸び悩み、国際流動性の低さ、女性研究者や優れた外国人研究者を含めた人材の多様性の低さ、産官学のセクター間の流動性の低さを課題としている。

 また、次代を担う研究者の確保、若手研究者のキャリアパス形成、経済的負担への不安解消の必要性を指摘。国際的に注目度の高い研究領域が増えているのに対し、国内では挑戦的参画が不足しているとし、科学技術の社会実装に向け、人文社会科学と自然科学の枠を超えた総合的な取組の促進が必要としている。

 第二部では、知の基盤のさらなる強化を図るため、政府、大学・国立研究開発法人、産業界などにおける取組の方向性を提示。政府は、若手研究者が独創的・挑戦的な研修を進めるための環境整備や知識・資金の好循環をつくるシステムを構築すること、大学では、外部資金拡大による財源の多様化、人材の流動性・多様性の促進など戦略的な経営力の強化などを挙げている。

 特集では、二〇三〇年に向けて世界全体で取り組む普遍的目標、SDGsの達成に向けた科学技術イノベーションの取組を掲載。道内では下川町における持続可能な森林経営を軸とした取組を紹介し、森林総合産業の構築、地域エネルギー自給と低炭素化、超高齢化対応社会の創造を柱とする取組を示している。

(解説 2018-06-18付)

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