少年の主張宗谷地区大会最優秀 出会いと別れがつくり出すもの 浜頓別中3年・鈴木さん
(道・道教委 2018-07-26付)

 【稚内発】宗谷総合振興局は十九日、稚内市立稚内東中学校で少年の主張宗谷地区大会を開いた。十人が参加し「出会いと別れがつくり出すもの」と題して発表した浜頓別町立浜頓別中学校三年生の鈴木愛奈さんが最優秀賞を受賞。優秀賞には、利尻富士町立鬼脇中学校三年生の箕輪萌華さん、礼文町立香深中学校の鈴木佑君が選ばれた。

 鈴木さんは小学生のとき、親の転勤に伴って転校を経験。新しい学校で友人ができるだろうかと不安に思っていた。そうした中、手紙をくれたり、一緒に帰ろうと声をかけてくれる人が現れるなどして、来てよかったと思えるようになった。

 こうした経験を通し、別れはただ悲しいだけのものではないということや一期一会の出会いを大切にすることの重要性を訴え、感謝の気持ちを忘れず一日一日を大切に過ごしていきたいと決意を述べた。

 鈴木さんの発表内容はつぎのとおり。

          ◇          ◇           ◇

 皆さんは、ずっと一緒にいた人と別れて、悲しい寂しいと思ったことがありますか。

 私がまだ小学三年生だったころの出来事です。そのときの私は、友達と外で遊んだり、一緒に習い事に行ったり、休みの日はお泊り会をしたりと、ほぼ毎日を友達と過ごしていました。とても楽しくて、たまに喧嘩もしましたがすぐに仲直りをして、私にとってそれは、掛け替えのないものになっていました。

 しかし、その毎日はある出来事が起こって変わってしまいました。それは、父の会社から転勤の知らせがきたことでした。それを聞いた私は、驚きで声が出ませんでした。これからどうなっていくのか分からなくて不安でいっぱいになりました。

 友達にその話をすると、「そうなんだ」と悲しい顔をされました。そして私の中に悲しみが生まれ、時が経つにつれどんどん強くなっていきました。「別れたくない」。今までずっと一緒だった仲間たちと離れたくないという気持ちで、胸がいっぱいになりました。

 そんなときに私を支えてくれたのは友達です。いつもと変わらない明るさと優しさで接してくれて、悲しみを共感してくれて、このとき初めて友達と出会えてよかった、大切にしないとなって思いました。大切なものはすぐ近くにあるというのに今まで気づけなかったけど、こういうことなんだなと思いました。別れるときはものすごく悲しくて、涙を必死にこらえました。

 つぎに、私が小学四年生になったときの出来事です。右も左も分からない小さな町の小学校に転校した私は「友達ができるだろうか」「クラスになじめるだろうか」と知らない人たちに囲まれて緊張と不安でいっぱいでした。

 そんな私に友達になろうと手紙をくれたり、一緒に帰ろうと声をかけてくれる子がいました。最初はうまく喋ることができませんでしたが、声をかけてくれてすごく嬉しかったです。休日には一緒に遊ぶようにもなりました。今では大切な親友です。ここに来てよかった、いつの間にかそう思えるようになりました。

 私がこの出会いと別れを経験して学んだことが二つあります。

 一つ目は、別れはただ悲しいだけのものではないということです。

 別れのあとには必ず出会いがあるのです。私もこうして素敵な友達と出会えました。

 だから、こう思います。別れを怖がらなくていいんです。そして、前向きに考えていいんです。もちろん別れはつらいけれど、これは新たな出会いの始まりだと思うとなんだかワクワクしませんか。そして、その出会いと別れが自分を成長させるためのチャンスになると思いませんか。

 二つ目は、一期一会の出会いを大切にすることです。

 一期一会には、一つの出会いは一生に一度しかない出会いと思って、心を込めて真面目に向き合うという意味があります。私たちは、いつか別れてしまうことになります。決して避けられないことです。だからこそ、後悔しないように人と接することが大切なのです。

 今後、私たちは進学や就職など、たくさんの出会いと別れを経験することになるでしょう。そのとき、その経験がこれからの自分にとって掛け替えのないものとなるように、出会えた人に感謝の気持ちを忘れず一日一日を大切に過ごしていきたいと思います。

 出会いと別れがつくり出すもの、それは、人の大切さを知ることができる、とても温かいものなんじゃないかと思います。

(道・道教委 2018-07-26付)

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