全国学力・学習状況調査結果公表で声明等―北教組 〝押し付け〟中止求める 子を追い詰める方策批判
(関係団体 2018-08-10付)

 北教組(信岡聡中央執行委員長)は三日、二〇一八年度全国学力・学習状況調査結果公表に対する声明を発表した。点数向上のため、学習規律や統一的な授業方法の押し付けなど、子どもたちを追い詰める方策が優先されていると批判。調査、調査結果の公表、学力向上策の押し付けを中止するよう求め、子どもの貧困解消・教育格差是正、業務削減と定数改善、給特法廃止をはじめとした法改正など、勤務条件・教育条件の整備に取り組む必要性を強調した。

 声明の概要はつぎのとおり。

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 文科省は七月三十一日、二〇一八年度「全国学力・学習状況調査」の結果を公表した。本年度調査は、小学六年・中学三年を対象にして毎年実施の国語、算数・数学に、三年ぶりに理科を加えたものである。全国の状況について、「地域差が縮小し、改善傾向にある一方で応用力に課題がある」など、例年と何ら変わらない分析を行った。

 悉皆による調査は本年度で十一回目となったが、この間、各都道府県教委は順位の変動に一喜一憂し、その結果、序列化や過度な競争に拍車がかかり、学校現場は「学力向上」の名のもとで、過去問題の繰り返しやなりふり構わない事前対策と、学習規律の徹底など画一的な授業改善を強いられてきた。

 これによって、地域や子どもの実態に即した創造的な教育がないがしろにされるなど学びが矮小化され、子どもたちは競争と管理の中で劣等感を植え付けられ学ぶ意欲を削がれるなど、本質的な学びを阻害されてきた。さらに、他県では点数の取れない子どもを排除するなど、子どもの尊厳を傷つけられる事態まで惹起し、断じて容認できない。

 しかし、調査実施の是非や検証は行われず、表面的・短絡的な寸評に毎年約五十億円が費やされ、本年度は三年ぶりの理科の実施とともに「夏期休業期間等も活用した教育指導の一層の改善・充実を図る」として、公表時期が例年の八月末から約一ヵ月前倒しされた。超勤・多忙化が常態化している中で、さらに「夏休み中の結果分析と対策の構築」「休み明けからの改善方策の実施」を求めることは、学校現場をさらに追い詰めるものである。

 道教委も同日、文科省の公表に追随し「三十年度全国学力・学習状況調査の結果のポイント」を公表した。

 その中で、「中学校国語Aと中学校理科で全国平均正答率を上回り、他の教科では全国平均に達していないものの、小学校国語A、中学校数学Bで差が縮まっている」「小学校・中学校ともに正答数の少ない児童生徒の割合が減少した」など改善の傾向がみられるとして取組の成果を強調し、「授業改善と望ましい生活習慣の確立に向けた取組をさらに進める」とした。さらには、「教員の指導力強化などで効果を上げている学校の実践を周辺校にも広め、道内全体の底上げにつなげる」などとした。

 しかし、こうした道教委の進める「授業改善」「指導力強化」などは、子ども・地域の実態を一切顧みない画一的な手法の押し付けであり、子どもの思いや願いを置き去りにした独善的な授業・指導に陥りかねないものである。今回の調査結果において、教員が「褒める指導をよく行った」という割合が大きく伸びたのに対し、子どもが「良いところを認めてくれている」と回答した割合が減少するなど相互の認識のかい離が浮き彫りになった。目の前の子どもに寄り添わない管理統制された指導の押し付けは、子どもたちが楽しく学ぶことに結び付かないことは明らかである。

 学校現場では点数を上げるために、学習規律や統一的な授業方法の押し付け、膨大な宿題、放課後や長期休業中の補習の強制、習熟度別指導の強要、過剰な授業時数確保など、子どもたちを追い詰める方策ばかりが優先されている。また、教職員はチャレンジテストの実施・採点・報告、調査実施直後の解答用紙コピー・自校採点などに奔走させられ、教材研究や授業準備の時間が奪われるなど超勤・多忙化に拍車をかけ、本末転倒の状況に疲弊しきっている。

 道教委は、全国学力調査、調査結果の公表や、それに基づく学力向上策の押し付けを即刻中止し、各学校の自主的・創造的な教育活動を尊重するとともに、子どもの貧困解消・教育格差是正、さらに、過労死レベルに達している教職員の勤務実態を解消するための業務削減と定数改善、給特法廃止をはじめとした法改正など、本来なすべき勤務条件・教育条件整備に徹するべきである。

 北教組は、「わかる授業・たのしい学校」「差別・選別の学校から共生・共学の学校」を目指し、憲法・四七教育基本法・子どもの権利条約の理念に基づく「豊かな教育」の実現のため、一人ひとりの子どもに寄り添う教育実践を積み重ねるとともに、教育を市民の手に取り戻すための広範な道民運動を進めていくことを表明する。

(関係団体 2018-08-10付)

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