道高校商業教育研究集会・協議会―高校長協会商業部会 未来社会のビジネス創造 研究発表や研究協議で研鑚(関係団体 2018-08-13付)
全道から130人が参加。全体協議では多くの質問や意見が出された
【釧路発】道高校長協会商業部会(別所正一部会長)は七月下旬の二日間、釧路プリンスホテルで三十年度道高校商業教育研究集会・協議会を開いた。全道から約百三十人が参加し、教育課程の望ましい在り方について活発な議論を交わした。共通課題は「未来社会におけるビジネスの創造」。
高校における商業教育の充実発展を図るため、当面する諸問題について研究協議し、教育課程の望ましい在り方を研究するとともに、教職員の資質の向上を図ることが目的。初日は講演や全体協議、二日目は部会別研究協議や講評を行った。
初日の全体協議では、四本の研究発表があった。一本目は、教育課程にかかわり「ビジネスを意識した情報活用能力向上のための教材作成~新学習指導要領に対応する学習評価法の工夫、改善」について、苫小牧総合経済高校の山橋崇裕教諭と北堀智隆教諭が発表した。
同校商業科では学習指導要領の改訂を受け、ビジネスの場面を想定したケース教材を活用し、他者と協働しながら、生徒一人ひとりに基礎・基本を習得させることで、ビジネスの場面における情報やプログラムの役割について理解させるとともに、コンピューターを合理的に活用できる力の育成につながると考え検証を進めた。
主な内容として、①思考力、判断力、表現力の育成②他者との協働を重視した言語活動の充実③評価方法の工夫・改善―の三点を設定した。
研究の成果として「授業に取り組む姿勢に変化がみられた」「課題解決に向け協働し合う力が育った」「生徒の状況を単元に合わせて的確に評価できた」「携帯端末を活用した自己評価が効果的だった」ことなどを挙げていた。
二本目は、マーケティング・ビジネス経済分野にかかわり「国際経済科三年間を見通した学習内容の精選~グローバル人材の育成を目指して」と題し、札幌東商業高校の長尾祐輔教諭が発表した。
同校の国際経済科では、教育課程と学習内容の改善を行うためアンケート調査を行い、教育課程の改訂のねらいを「外国語の専門性の進化」とした。
研究の成果として、学習内容(学習プログラム)を改善し、大きく出前授業型プログラムを観光、キャリア教育、異文化理解、経済の四分野で、参加型プログラムをスピーチ、派遣、マナー、翻訳、キャリア、調査研究の六分野で構成し、系統的・横断的な学習環境が整ったことなどが挙げられた。
また、検討を要する高大連携の具体的な内容については、継続して協議していくとした。
三本目は、全国商業教育研究大会での事前発表を兼ねた発表で「学びに向かう力を育てる簿記会計の指導法~自ら行動できる人材育成」について、札幌東商業高校の新谷弥教諭が発表した。
同校会計ビジネス科では、課題として挙げられた簿記とビジネスに関する実務との関連性を認識させる取組や、会計情報を活用する能力と態度を育てる観点での授業改善を図るため、①「検定取得」中心の授業から脱却し、学力の三要素の観点からバランスの良い職業人の資質・能力を育む授業デザインを行う②社会的・職業的自立に向け、生徒の視野を広げ、進路選択の幅を広げる手立てとするため、会計分野の学習とキャリア教育を関連づける―こととした。
具体的な授業改善の取組として「TBLプログラムを用いた会計教育の取組(知識・理解)」や、「マイクロディベートを用いた会計教育の取組(思考力・判断力・表現力)」「戦略MGを用いた会計教育の取組(学びに向かう力・人間力)」を行った。
また、国語科と商業科が連携した教科横断的な学習やキャリア教育・職業教育の充実を図った。
四本目も全国商業教育研究大会での事前発表を兼ねた発表で「簿記のすすめ~簿記をもっと、もっと学ばせたい」について、函館商業高校の石塚和久教諭が「北海道大会に限った内容で」と前置きして発表した。
同校会計ビジネス科では、進路実現のため、①入学式のオリエンテーションでの意志確認作文②保護者懇談会を開催し、会計ビジネス科の取組の説明③元日日本経済新聞レポート④日本電卓技能検定協会作文コンクールへの参加―など様々な取組を進めていることを紹介した。
最後に「生徒目線に立ち、生徒たちから学ぶ姿勢をもつことが大切。教えることから育てることへと意識を変革していくべきであり、学びたいと思われる授業をつくることが必要」とまとめた。
このあとの協議では「外国語指導者の確保の方法」「携帯端末の活用の仕方」「他教科との連携の在り方」「外部講師が少ない地域での工夫」などについて、多くの質問や意見が出された。
二日目の部会別研究協議では、「教育課程部会」「マーケティング・ビジネス経済分野部会」「会計分野部会」「ビジネス情報分野部会」「普通科・総合学科関連部会」の五つの部会に分かれて研究協議を行い、全体会で道教委高校教育課の岩館良伸指導主事が助言した。
最後に、文部科学省初等中等教育局児童生徒課産業教育振興室の西村修一教科調査官が「高校学習指導要領の改訂と商業教育」と題して講評・指導した。
(関係団体 2018-08-13付)
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