少年の主張釧路地区大会 厚岸町真龍中2年・車塚さん 最優秀は「私達の力で」
(道・道教委 2018-08-13付)

 【釧路発】釧路総合振興局は七月下旬、道立釧路高等技術専門学院で少年の主張釧路地区大会を開いた。管内市町村の代表者八人が出場し、日々の思いを発表。審査の結果、「私達の力で」と題して発表した厚岸町立真龍中学校の車塚花瑠香さん(二年)が最優秀賞に輝いた。

 車塚さんの発表内容はつぎのとおり。

          ◇          ◇          ◇

 「はるか、よく障がい者と仲良くできるね。好かれてうれしいの?」。

 これは、私が小学生のころに何度もかけられた言葉です。私には発達障がいをもつA君という友人がいます。小学校の六年間、クラスが一緒でとても仲良くしていました。低学年のころはこんな言葉をかけられたことはありませんでした。しかし、学年が上がるにつれ、A君に対する酷い言葉が毎日、耳に入ってくるようになりました。

 「お前、Aと付き合えよ」「やだー。障がい者と付き合うなんて、マジで無理」「障がい者って恋をするの?」。

 こんな心ない言葉を耳にするたびに、私はその場から逃げ出したい気持ちになりました。

 そんな中、理由もなくA君を蹴り、笑っている人たちがいました。私はそれを目撃し、「なぜ、こんな酷いことをするんだ!こんなのおかしい!」と思いました。

 しかし、今振り返ってみると、どんな人よりも私が最低でした。なぜなら、私はA君への差別を目の当たりにしているのに、何も注意できず、見て見ぬふりをしたからです。何度も私にかけられた酷い言葉に対しても、ただ作り笑いをして流してきました。

 「A君の障がいの部分だけではなく、素晴らしい部分に目を向けてほしい」と願っていただけで、何も行動できませんでした。それを注意したら笑われたり、怒られたりするのが分かっていたからです。そして今、とても後悔しています。「なぜ、自分のことだけを考えてしまったのだろう。なぜ、周りを恐れて正しい行動ができなかったのだろう」と。私はこの経験を通して、差別に対して正しい行動とは何かを深く考えるようになりました。

 あなたは差別を自分には関係のないことだと思って、見て見ぬふりをしていませんか。容姿、性別、障害、境遇など、努力しても変えられないことは誰にだってあります。それを人から馬鹿にされたり、冷たい目で見られたり、酷い言葉をかけられたりするのは、本当に、本当に辛いと思います。

 差別はなぜ、なくならないのでしょうか。それは、自分と違う境遇の人とは分かり合えないと最初から決めつけているからではないでしょうか。私には今の社会が差別を肯定しているように見えます。ですが、それは決して当たり前ではありません。むしろ、絶対にあってはならないのです。確かに差別のない社会をつくるのは楽ではないでしょう。しかし、不可能ではありません。差別をするのが人間ならば、差別や不当な偏見のない、だれもが堂々と生きられる社会をつくっていくのも私たち人間なのです。

 私は差別をなくすためには差別されている人の気持ちを理解し、どのようなことが差別に当たるかを知ることが大切だと思います。そして、差別はいけないことだと認識し、差別をなくすために行動を起こす。これが今の私たちに最も必要なことです。

 差別は自分に関係のないことでしょうか。どうでもよいことでしょうか。目をそらさないでください。あなたの周りにも、差別を受け、悲しみ苦しんでいる人がいるはずです。心の底から「そんな人たちを救いたい」と思い、行動で示せば差別は必ずなくなります。

 私は誰もが生きやすい社会を作り、ともに歩んでいきたいです。肌の色、性格、性別、境遇…。人はみな違うところがあるのです。違うからこそ面白い。すべての人に素晴らしいところがあるのです。障がいだって同じことです。そこを認め合うことが差別をなくすための第一歩だと私は考えます。

 悲しいことにいまだA君への差別はなくなっていません。しかし、もう見て見ぬふりはしない。周りを恐れずに正しいと思ったことをする。もう、あの頃の私ではありません。些細なことでかまわない。たくさんの人が意識し、行動すれば大きな力になります。私たちはそんな力を持っています。

 障がいに対する差別だけではなく、すべての差別をなくしましょう。私たちの力で。必ず!

(道・道教委 2018-08-13付)

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