少年の主張空知地区大会 岩見沢市東光中3年・藤塚さん 伝えるために生きていく(道・道教委 2018-08-13付)
【岩見沢発】空知総合振興局は七月中旬、南幌町農村改善センターで少年の主張空知地区大会を開いた。管内各地から集まった中学生十三人が、社会に向けての意見、未来への希望などを発表。最優秀賞には、「伝えるために生きていく」を発表した岩見沢市立東光中学校三年の藤塚麗瑠さんが輝いた。
藤塚さんの発表内容はつぎのとおり。
◇ ◇ ◇
「ねぇ、人権って何?」
テレビを見ていて、偶然耳にした「人権」という言葉は、小学四年生の弟には難しい。実際私も、十分な説明をしてあげることができなかった。ネットで調べた簡単な一文がある。
「人間が人として本来もっている権利」
私の小学校入学を半年先に控えたある日、学校関係者からこう言われた。
「本気でお子さんを入学させるつもりですか」
六歳の私と両親を目の前にして、その人は言った。普通の小学校への入学は、両親にとってとても勇気のいる決断だった。たくさんの人たちのアドバイスや励ましのもと、やっとの思いで決心した両親。帰りの車で泣いていた母の姿は、今も脳裏に焼き付いている。
ある福祉従事者からは、「国が何でもしてくれるなんて思わないでください」と言われた。利用したい福祉制度について、尋ねたときの返答がそれだ。
この人たちの中に、私たち「障がい者」とその家族の人権に対する意識は存在していたのだろうか。
でも、この世界はそんな人たちだけではない。近所の本屋さんの店員さんは、手を上に上げる力があまりない私に対して、お金を取りに来てくれたり、お釣りをくれたりと、レジから私のところまで何往復もしてくれる。しかも、終始笑顔だ。
家族で札幌雪まつりへ行ったときのこと。雪で車いすが立ち往生。両親二人の力だけではどうにもできなかった。
「大丈夫ですか」
一組の年配の夫婦が、私たちを助けてくれた。そして、両親にとても温かい言葉を残してくれた。
「せっかくなので、楽しませてあげてくださいね」
私にも、私にだからこそ感じられる、温かいエピソードもたくさんある。けれど、きれいごとだけでは人々は聞く耳をあまり持たない。だから私は、あえてつらい現実も挙げた。一人でも、多くの人に足をとめてもらえるように。一人でも、多くの人の心に「何か」を届けられるように。
私には夢がある。自分の希望する高校へ進学し、将来は検事になることだ。その過程では、これまで以上に厳しい現実と向き合うことになるだろう。それでも私は、自分と同じような立場の人たちの突破口となり、いつか夢を叶えたい。
あなたは、考えたことがあるだろうか。「差別」の対象になる人たちの苦悩の日々を。聴こうと思ったことはあるだろうか。「障がい者の家族」の闘いの日々を。知ろうとしたことがあるだろうか。「かかわる人」の、配慮の大きさ、ありがたみを。そして、ないとは思っていないだろうか。「障がい者」の、幸せな人生を。
昨年十二月、内閣府が「人権擁護に関する世論調査」を公表した。障がい者の人権問題についての最多の回答は「就職や職場での不利な扱い」、次いで「差別的な言動をされること」だった。これも現実だ。けれど、この回答をした人たちにも私ときっと同じように、手を差し伸べてくれる人がきっとたくさんいるはずだ。私はそのすべてを、あなたに知ってもらいたい。だから私はこれからも、伝え続けていく。そして私はこれから先も、人として、障がい者として、誇りをもって生きていく。
(道・道教委 2018-08-13付)
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