第52回全日本聾教育研究大会―全日聾研・北聴研 専門性の継続的発展を 400人が言語活動充実探る
(関係団体 2018-10-10付)

全日本聾教育研究大会
聴覚障がい教育の実践や研究内容を検証した

 「言語活動の充実と学力の育成を目指して~聴覚障がい教育の専門性の継続的発展と多様化への対応」をテーマに、第五十二回全日本聾教育研究大会北海道大会が四日、札幌市内のアスティ45ビルのACUをメーン会場に開かれた。全国から教育関係者約四百人が参加。講演や授業研究分科会、研究協議分科会の協議を通して聴覚障がい教育の実践や研究内容の検証を深めるとともに、言語活動が充実した授業の在り方を探った。開会式であいさつに立った全日本聾教育研究会の鄭仁豪会長(筑波大学附属聴覚特別支援学校長)は「全国の教職員の実践をもとに、互いの研鑚を深め、高められる大会となることを願う」と期待した。

 全日本聾教育研究会(=全日聾研)と北海道聴覚障害研究会(=北聴研)が主催。主管校は高等聾学校。

 大会主題は「言語活動の充実と学力の育成を目指して~聴覚障がい教育の専門性の継続発展と多様化への対応」。全国から教育関係者約四百人が参加した。

 初日は、札幌聾学校と高等聾で公開授業・指定授業、授業研究分科会を行ったあと、会場を札幌市内のアスティ45ビルのACUに移し、開会式を行った。

 冒頭、全日聾研の鄭会長があいさつ。「現在はインクルーシブ教育に向けた動きがさらに加速する大きな社会的変革期にある」と指摘。「子どもや保護者、社会のニーズが変化し、聴覚障がい教育の専門性や聾学校の役割も変化している。この変化に対応すべく、その立ちどころを模索している状況にある」と強調した。

 また「このような状況だからこそ、子どもの成長への多様な見方、教師の指導力の向上、エビデンスに基づいた実践的学びは、これまで以上に重要な意味をもつ。その実践の場である聾学校には専門性の維持や指導力の向上がさらに求められている」と述べた。

 最後に「それぞれの教育実践を互いに結び合い、互いに研鑚を深め、高めていく大会となることを願う」と締めくくった。

 続いて、大会実行委員長を務める北聴研の佐藤靖典会長(高等聾学校長)があいさつ。道内では学校の小規模化、学校数の減少と教員数も減っている一方、教育的ニーズは多様化していることから、「言語能力と学力の関係を重視した、より良い指導法を模索してきた」と道内の取組を説明した。

 また「本大会を契機に聴覚障がい教育の専門性の継続的発展と多様化への対応が一層進むことを期待する」と意気込みを語った。

 このあと、文部科学省初等中等教育局特別支援教育課の庄司美千代特別支援教育調査官、道教委の上林宏文教育指導監が祝辞。庄司調査官は「本大会のテーマは、新しい学習指導要領の目指す理念の実現に大きく寄与するもの。率直に議論しあうことが専門性の継承・共有につながる」、上林教育指導監は「最新の知見や各地の先進的な実践など、本大会の成果が、今後の聴覚障がい教育の充実・発展に寄与するものと期待している」と、それぞれ述べた。

 開会式のあと、筑波大学附属学校教育局の松本末男特命教授が「聴覚障害児教育に今願うこと」と題して記念講演を行った。

 松本特命教授は「子どもたちの思いを受け止めているか」と参加者に投げかけた。その上で「子どもたちが伝えていることをしっかり受け止めているか。そこから指導が始まる。何度でも言う」と訴えた。

 また「子どもたちが問いかけたくなる文化を私たちはもっているか。子どもたちがわくわくすることを用意しているか。先生方も教養を高め、それを子どもたちに還元していく」ことの必要性を説いた。

 二日目は、十三の研究協議分科会を実施。テーマに沿った協議を深め、専門性の向上に努めた。

 閉会式では大会の成果を振り返るとともに、次期富山県高岡大会に向けて成果の継承を確認し合った。

(関係団体 2018-10-10付)

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