国研指定・枝幸高が研究協議会　論理的思考の育成へ　文科省・大滝視学官招き研鑚

（学校 2018-11-15付）

　【稚内発】枝幸高校（吉田勝文校長）は十月下旬、同校で国立教育政策研究所の教育課程研究指定校事業にかかる研究協議会を開いた。約四十人が参加。文部科学省初等中等教育局の大滝一登視学官を助言者に迎え、「論理的思考」育成に向けた取組について、これまでの成果を検証し、さらなる改善に向けて考えを深めた。

　同校では二十九年度から、「社会で生きるために必要な論理的思考力の育成を図るための指導と評価に関する研究」を研究主題に実践研究を推進。

　二年目に当たる本年度は、昨年度受けた助言を生かしながら、各教科や学校活動などのあらゆる場面で生徒に論理的思考を意識させる機会を設定し、研究を進めている。

　開会式のあと、研究授業を実施。一年生の数学Ａでは基礎・標準・応用の三クラスに分け、習熟度別に「場合の数と確率」の授業を展開。余事象を用いる理由を論理的に説明できるかなどを試した。

　また、二年生の現代文Ｂおよび古典Ａの研究授業も行った。現代文Ｂでは評論の読み取りを土台に自分なりの根拠を示しながら意見を述べる学習や、話し合いの中で自己の根拠の適切さなどを確かめて思考を深める授業を展開した。

　午後からは研究協議を行ったほか、教務部長の水野泰希教諭が実践発表。論理的思考力を測る汎用的な評価基準（ルーブリック）を作成し、生徒の変容を目に見える形で評価する取組や、朝読書の時間を活用して新聞記事の読み取りと意見の記述をする「朝新聞」などを紹介した。

　成果として、論理的記述力のルーブリック評価において全体の六二・八％の生徒が昨年度より力が向上したことを発表した。

　大滝視学官は「生徒が前向きな姿勢で先生との信頼関係を構築しており、昨年度みたときよりも授業に安定感を感じた」と評価するとともに「生徒に対する先生のアプローチで学校はどんどん変わる。研究指定事業は残り半年だが、取組をさらにブラッシュアップして、授業の改善を通じて学校力の向上を図ってほしい」と期待した。

(学校 2018-11-15付)