「高校生学びの基礎診断」に対し 生徒などに多くの負担 道教委へ要求書提出―道高教組と道教組(関係団体 2018-12-21付)
道高教組(尾張聡中央執行委員長)と道教組(川村安浩執行委員長)は十一日、道教委に対して「高校生のための学びの基礎診断」にかかる要求書を提出した。民間業者の測定ツールが導入されることによって、「学校の教育活動全体を民間業者に依存することにもなりかねない」などと危惧するとともに、「今後、英語の民間テストが新共通テストに活用されるなど生徒・保護者の経済的な負担が大きくなることが予想される上に“基礎診断”によってより多くの負担を強いることは許されない」などと批判。その上で「“基礎診断”を導入するべきではない」と訴えた。
要望書の概要はつぎのとおり。
◇ ◇ ◇
次年度から実施される「高校生のための学びの基礎診断」は、文部科学省が七月十三日に公表した「基礎診断(実施方針)」において、その目的を「“義務教育段階の学習内容を含めた高校生に求められる基礎学力の確実な習得”と“それによる学習意欲の喚起”を図るため」としている。
しかしながら、「“基礎診断”の認定基準・手続等について(原案)」は、その目的から逸脱した内容を含んでいる。
例えば、全道統一の測定ツールを使うことも可能であり、すでにその弊害が指摘されている「全国一斉学力テスト」と同様に、過度な競争主義に生徒を追い込み、学校の序列化に一層拍車がかかることが予想される。
また、「全国学テ」ですら、その結果を児童生徒の成績評価には反映させていないが、「基礎診断」は「学校における成績評価の材料の一つなどに活用されることを基本とする」など、生徒の成績評価に使うことを容認している。
教育課程の編成・実施の主体は学校にあり、評価も各学校で判断されるべきである。
しかしながら、民間業者が策定する「測定ツール」が評価の基準となり、さらに「測定ツール」の数値を根拠に教育課程の「改善」が図られることになれば、学校の教育活動全体を民間業者に依存することにもなりかねない。
しかも「基礎診断」の費用は全額生徒・保護者の負担となる。
二〇一七年に公表された「道子どもの生活実態調査」によれば、道内では六人に一人の子どもが貧困状態である。
今後、英語の民間テストが新共通テストに活用されるなど生徒・保護者の経済的な負担が大きくなることが予想される上に、「基礎診断」によって、より多くの負担を強いることは許されない。
以上の点を踏まえ、私たちは「基礎診断」を導入するべきではないと考える。「基礎診断」はあくまでも参加希望型である。従って、導入に際しては学校や生徒自身が主体的に判断するべきであり、道教委が押し付けるものであってはならない。
以上の点を踏まえ、以下のとおり要求する。
(1)道教委は「基礎診断」を拙速に導入しないこと
(2)「基礎診断」の導入は、各学校や生徒個人の主体的判断を尊重し、道教委が押し付けることのないようにすること
(3)道教委が一つもしくは複数の測定ツールを特定し、全道全校一斉に同一実施日で行うことのないようにすること
(4)「基礎診断」を教職員定数の配分、予算措置等に連動させないこと
(5)「基礎診断」の進学・就職等への副次的な利用をしないよう、関係各所に働きかけること
(6)現在行われている「道高校学力向上実践事業」を中止すること
(7)教員の研修等に民間業者を講師にするなど、公教育の民間業者への過度な依存を行わないこと
(8)学校として実施する場合は以下の点に留意すること
①受検料が受検者負担であることをかんがみ、すべての生徒に受検を強制することのないようにすること
②生徒・保護者の経済的な負担軽減する具体的な対策を取ること
③「基礎診断」に伴う結果報告や事務処理など、教職員に新たな負担を生じさせないこと
④高校のランク付けやツール(試験)対策に重きを置いて指導を引き起こす恐れのある結果の公表は行わないこと
(関係団体 2018-12-21付)
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