【PICK UP2018】オホーツク管内 勤務時間に対し意識高まる スクール・サポート・スタッフ導入効果(関係団体 2018-12-20付)
教員の長時間勤務が問題となり、「学校における働き方改革」の重要性が叫ばれて久しい。文部科学省が二十八年度に実施した教員勤務実態調査によると、一日当たりの学内勤務時間の平均は、小学校で十一時間十五分、中学校で十一時間三十二分というのが実態だ。
◆管内5小・中にスタッフを配置
オホーツク管内でも、様々な課題を抱えている。十二月一日現在、小・中学校で教員の欠員が四人発生。臨時教員の確保が難しく、うち、二人については現在も解消の見込みはない。また、市町村費で配置されていた学校事務補が予算や学級減の影響を受け廃止された学校もあるなど、限られた人材の中で業務をこなしており、教員一人ひとりにかかる負担は大きく、長時間勤務にもつながっている。
そのような中、文科省は本年度予算で、学習プリント等の印刷業務、授業準備の補助などを担当するスクール・サポート・スタッフの配置に十二億円を計上し、全国の小・中学校に三千人配置した。専門性の少ない事務作業をスタッフに依頼することによって、教員の負担軽減を図ることなどが期待されている。
道内の配置校三十六校のうち、管内では北見市立端野小学校(諏江信夫校長)、紋別市立潮見小学校(大友信也校長)、紋別市立紋別中学校(可児幹博校長)、大空町立女満別小学校(関谷正樹校長)、斜里町立斜里中学校(伊藤勝校長)の五校が取組を進めている。
端野小に配置されているスタッフは教員免許所有者で、実際に学校現場で勤務していた経験もある。「教員の業務内容を熟知しているので、先生方の意図をくみ取ったり、より良い方法を提案したりしてくれる」と諏江校長は評価する。業務の依頼書などは使用せず、口頭やメモで依頼しているが、「特に支障はない」としている。
また、潮見小には、市給食センターの配膳員として学校に頻繁に出入りしていた人が配置されている。大友校長は「気心が知れているので、コミュニケーションが取りやすく、スムーズに業務が進められる」と話す。
◆教員の負担軽減し、計画的な業務実現
道教委が実施したスタッフに関するアンケートによると、週当たり「三十分以上の勤務時間縮減効果がある」と回答した学校は五八・二%、教諭は五四・五%。各学校でも「教員の負担軽減につながっている」「非常に助かる」などの声が上がっている。
ただ、スタッフの配置による教員の負担軽減が勤務時間縮減に直結しているわけではなさそうだ。アンケートでは「ほかの業務にかける時間が増えた」と回答する割合が学校、教諭ともに九〇%を超えているほか、「子どもと向き合える時間が増えている」(教育関係者)との意見もある。
一定の成果を上げている学校では、その要因として「スタッフに業務を依頼しなければならないため、計画的に業務を進めるようになった」ことなどを挙げている。
ある学校では、昨年度から独自に勤怠管理を行っていることから、教員の勤務時間に対する意識が高まってきており、「それとスタッフ配置による負担軽減がプラスされて、勤務時間縮減につながっている」と話している。効果を十分に発揮させるためには、教員の意識向上も重要なカギとなる。
◆次年度は配置拡充人材の確保が課題
スタッフの配置に当たっては、人材確保も課題となる。道教委の実施要項では、スタッフ配置の要件として「任用する地域の人材の確保が見込まれる」ことが求められており、各学校などで人材を確保する必要がある。潮見小のように学校関係者が引き受けた例や、市町村からの紹介で確保した例がある一方、「年度途中からの雇用となるため、なかなか手を挙げてくれる人がいなかった」などの理由から人材が確保できず、九月からの配置となった学校もある。
取組が始まって半年ほどが経過し、成果と課題が明らかになってきたが、いずれの学校も共通しているのは、「良い取組」「継続してほしい」という思い。道教委は「スクール・サポート・スタッフの導入効果や国の動向を踏まえ、教員の長時間勤務の解消に向け、一層働き方改革を進めていく」との見通しを示している。
文科省では来年度、配置人数を三千六百人に拡充するほか、新たに副校長・教頭の業務をサポートするスタッフを配置する予定。今後の取組の充実に期待がかかる。
(関係団体 2018-12-20付)
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