千歳市学力向上検討委員会が報告書　習熟度別少人数指導一定の成果　学校・家庭・市教委に１１項目提言

（市町村 2019-01-17付）

吉田委員長（右）が宮崎教育長に報告書を手渡した

　千歳市学力向上検討委員会（吉田篤弘委員長）は三十年十二月中旬、千歳市教委で宮崎肇教育長に報告書を提出した。報告書は、三十年度全国学力・学習状況調査結果の分析のほか、学校・家庭・教委に対する提言などをまとめたもの。吉田委員長は「整備された教育環境を積極的に活用・分析し、確実に成果を上げられるよう努力したい」と話した。

　学力向上検討委員会は、児童生徒の学力向上を目指す全市的な取組を促進することを目的として、全国学力・学習状況調査結果を踏まえた学校・家庭・教委への提言を提示。また、提言をもとに、モデル校五校の学校改善や授業改善などの取組を進めている。

　この日、吉田委員長らが市教委を訪れ、宮崎教育長に報告書を手渡した。吉田委員長は報告書提出の時期について、「これまで二月下旬から三月の提出だったが、各学校の新年度の計画に生かしてもらおうという趣旨から十二月に提出した」と説明。学力についての基本的な考え方の変更点や、学校・家庭・教委への提言を示した。提言は昨年度に引き続き、学校に向けて五点、家庭に向けて二点、教委に向けて四点の計十一点。提言の妥当性については今後、学力・学習調査や各校への取組のアンケートをもとに検証していく。

　三十年度全国学力・学習調査の結果分析については、「小学校の算数Ｂなど活用力に問題があるものの、算数Ａでは全国平均との差を縮めている」こと、「中学校においては理科が全国平均をやや上回り、すべての教科で全国との差を縮めている」ことを報告。「習熟度別少人数指導に一定の成果がみられている」と分析した。

　また、児童生徒質問紙の調査結果では、特に中学生の家庭学習の時間が全国平均を大きく下回っていることを指摘。「引き続き家庭と連携して家庭学習を推進していきたい」と述べた。

　学校質問紙の調査結果で小・中学校ともに少人数指導の実施が全国平均を大きく上回っていることについて、「市が独自に行っている、学習支援員の各校への配置の成果」と強調した。

　一方で、「良いところを認めてくれているか」を問う項目では、子どもと学校の評価に隔たりがあることを提示。「この隔たりをなくすことによって、さらに自尊感情、学習意欲が向上すると考えられる。早く改善できるよう、各校に周知したい」と早急に改善策を示すことを明らかにした。

　宮崎教育長は、質問紙調査回答における学校と子どもの評価のかい離について、「意識の差を縮めなければならない」と指摘。「何が足りないのかを考えながら、粘り強く取組を進めてほしい」と要請した。

(市町村 2019-01-17付)