【リポート】オホーツク管内働き方改革の取組 連絡掲示板などで効率化 校務支援システム活用広がる
(道・道教委 2019-03-29付)

リポート・C4th通信
東小で発行している『C4th通信』(クリックすると拡大表示されます)

 【網走発】教職員の業務の効率化を図り、働き方改革や子どもと向き合う時間の確保などにつながることが期待されている校務支援システム。オホーツク管内では、公立学校校務支援システム導入・活用推進事業の指定を受けている網走市立東小学校(小野祥秀校長)と北見市立温根湯小学校(橋本正之校長)を中心に、効果的な活用に向けた動きが広がりをみせている。東小は、「連絡掲示板」機能の活用などを通して業務の効率化を進めている。

道教委は、校務の情報化推進のため、二十四年度から共同利用型統合型校務支援システムの導入を開始。二十七年度には石狩管内の四市村二十八校を対象としたモデル実践事業を行った。一年間の実践の結果、学級担任一人当たり平均百十六・九時間の校務軽減効果が報告されている。

 オホーツク管内では、三十年度現在、九市町七十七校で導入済み。三十一年度導入予定の紋別市を含め、学校数当たり六七・二%、教職員数当たり七六・〇%と、全道でも比較的高い導入率を誇る。

 オホーツク教育局は「すでに導入されていたシステムの更新時期に合わせ、市町村教委に呼びかけてきたことが功を奏したのでは」と分析しており、引き続き導入を推進していく考えだ。

 中でも、網走市立東小と北見市立温根湯小は道教委が進める公立学校校務支援システム導入・活用推進事業の本務校として校務支援システムの効果的な活用を進めている。

 網走市では、三十年度から市内すべての小・中学校に株エデュコムが運営するシステム「C4th」を導入。事業の本務校となった東小には加配教員が一人配置されたほか、他校より一ヵ月早い六月からの導入となった。

 校務支援システム推進を担当することとなった教務主任の山下好剛教諭は、導入に当たって、すでに導入している地域の担当教員数人に心がけるべきことなどを相談し、現場の声の把握に努めた。

 共通していたのは「毎日C4thを開く習慣を付ける」こと。

 そこで取り組んだのが、朝の打ち合わせでの「連絡掲示板」機能の活用。これまで口頭で伝えていた連絡事項を連絡掲示板に入力し、各自が確認することで打ち合わせの時間を短縮した。

 活用に当たっては、「読めば伝わることは入力しよう」「読んでも伝わらないことは入力しない」とのルールを設定。文章だけでは伝わりにくい補足的な情報などは口頭で伝えるよう呼びかけている。

 その結果、朝の打ち合わせの時間が二~三分程度となり、「授業準備などに余裕ができるようになった」と山下教諭は話す。教員へのアンケートでも「口頭では聞き漏らしてしまうことがあるので、確認できる点が良い」「自分のタイミングで確認できる」などの声が挙がっている。

 また、児童の日常所見を記入する「いいとこみつけ」機能についても、校内全体で情報共有。「図工室に水がこぼれていたのを発見して、自分からぞうきんを持って進んで拭いていた」など、児童一人ひとりの良さをみつけたときに、担任以外でも自由に書き込むことができる。

 クラブ活動や委員会活動など、担任が把握できない部分での情報をカバーできるほか、教員全体で子どもたちをみる意識の醸成にもつながっている。山下教諭は「通知表や指導要録にも活用することができるのでは」と話している。

 山下教諭は、これらの取組をまとめた『C4th通信』を定期的に作成。校内だけではなく市内のほかの小・中学校にも配布し、市内全体に取組の成果を波及させている。それを受けて、他校の担当教員も独自に通信を作成して校内に周知するなど、校務支援システムの効果的な活用に向けた動きが広がりつつある。

 また、温根湯小でも市内の学校に向けて通信を作成するなどの取組を進めており、オホーツク教育局は「引き続き管内全体の取組となるよう支援していきたい」としている。

 活用の推進に向けて、山下教諭は「“今までどおりでいい”という人に対して、どうメリットを伝えていくかが重要になってくる」と課題を示す。先進地・石狩管内を視察するなど、現在も効果的な活用方法を模索している。

(道・道教委 2019-03-29付)

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