31年度後志管内教育推進の重点 小・中学校長会議で櫻井局長説明 常に改善する課題意識を(道・道教委 2019-04-16付)
櫻井康雄局長
【倶知安発】後志教育局の櫻井康雄局長は11日、後志合同庁舎で開いた31年度管内公立小・中学校長会議で管内教育推進の重点を説明した。「社会で活きる力の育成」「豊かな人間性と健やかな体の育成」「学びを支える家庭・地域との連携・協働」「学びをつなぐ学校づくりの実現」「学びを活かす地域社会の実現」の5点を柱とする重点とそれにかかわって重点的に取り組む事項を提示。櫻井局長は「学校のあるべき姿をとらえ、常に改善しようとする課題意識をもって、リーダーシップを発揮して」と要請した。管内における教育推進の重点はつぎのとおり
【Ⅰ・社会で活きる力の育成】
子どもたちが、未来を拓くために必要な資質・能力を身に付けるためには、グローバル化、科学技術の進展、高度情報化社会など社会の変化に対応する教育を推進することが重要である。
このため、つぎの2点を管内の重点とした。
▼一人一人の資質・能力を伸ばす教育活動の推進
重点1は「一人一人の資質・能力を伸ばす教育活動の推進」。これまでも、各学校において、新学習指導要領の趣旨を踏まえた教育課程の編成・実施に努めていただいているが、新学習指導要領の全面実施に向けて取組の一層の充実を図る必要があることから、社会に開かれた教育課程の実現に向けたカリキュラム・マネジメントの確立および主体的・対話的で深い学びの実現を目指した授業改善を推進するとともに、外国語教育・情報教育の充実を図っていただきたいと考えている。
▼一貫した支援を目指した特別支援教育の充実
重点2は「一貫した支援を目指した特別支援教育の充実」。個別の教育支援計画等の作成と活用について、学校の取組に差がみられることから、各学校において、個別の教育支援計画および個別の指導計画に基づく支援の充実を図っていただきたいと考えている。
教育局としては、重点1にかかわっては、社会に開かれた教育課程の実現に向けたカリキュラム・マネジメントにかかる指導助言や、主体的・対話的で深い学びの実現を目指した授業改善にかかる指導助言など、重点2では、特別支援教育にかかる研修会の開催や保健福祉部局と連携した発達障がい支援成果普及事業の推進および成果の普及などに取り組み、各学校を支援していく。
【Ⅱ・豊かな人間性と健やかな体の育成】
子どもたちの健やかな成長のためには、基本的な倫理観や規範意識を身に付けさせるほか、思いやりの心や美しいものに感動する心など、豊かな心を育むとともに、生涯にわたって健康を保持増進し、豊かなスポーツライフを実現するための体力・運動能力の向上を図るなど、健康教育の充実に取り組むことが重要である。
このため、つぎの3点を重点とした。
▼豊かな心を育成する道徳教育の充実
重点1は「豊かな心を育成する道徳教育の充実」。新学習指導要領の移行期間に当たり、道徳が教科化されたこと、また、子どもが自主的に読書活動に取り組むことができるようにする必要があることから、各学校において、道徳教育や子どもの読書活動の一層の充実を図っていただきたいと考えている。
▼いじめ・不登校等への取組の充実
重点2は「いじめ・不登校等への取組の充実」。いじめの未然防止に向けた子どもが主体的に取り組む活動や組織的・計画的な支援体制の確立に今後も取り組む必要があることから、各学校において、いじめの未然防止・早期発見・早期対応に努めるとともに、不登校児童生徒への支援の充実を図っていただきたいと考えている。
▼健やかな体を育成する体育・健康に関する指導の充実
重点3は「健やかな体を育成する体育・健康に関する指導の充実」。調査結果の分析に基づく体育授業の改善について、学校の取組に差がみられることから、各学校において、全国体力・運動能力、運動習慣等調査を活用した体力向上の取組や、健康教育、安全教育を推進していただきたいと考えている。
教育局としては、重点1にかかわって、道徳教育推進校事業の成果の普及や、読書活動活性化フォーラムの開催、重点2では、いじめ問題等対策連絡協議会の重点に基づく市町村・学校への支援や、中1ギャップ問題未然防止事業の成果の普及、重点3では、新体力テストの全学年での実施や、どさん子元気アップチャレンジへの参加促進などに取り組み、各学校を支援していく。
【Ⅲ・学びを支える家庭・地域との連携・協働】
子どもたちが、様々な人とかかわり、多様な経験を重ね、たくましく成長していくためには、家庭や地域の教育力の向上に向けて、すべての教育の出発点である家庭教育を支援するとともに、学校と地域の連携・協働を推進することが重要である。
このため、つぎの3点を重点とした。
▼家庭の教育力の向上
重点1は「家庭の教育力の向上」。生活リズムチェックシートの活用やPTAなどとの連携による家庭学習の充実に今後も取り組む必要があることから、各学校や市町村教委においては、家庭との連携による望ましい生活習慣・学習習慣の定着に向けた取組を推進していただきたいと考えている。
▼地域の教育力の向上
重点2は「地域の教育力の向上」。コミュニティ・スクールの導入および充実などを図る必要があることから、各学校や市町村教委においては、学校と地域の連携・協働を推進していただきたいと考えている。
▼幼児教育の充実
重点3は「幼児教育の充実」。幼児教育の重要性への認識が高まり、スタートカリキュラムの編成・実施について、一層の取組の充実を図る必要があることから、各学校において、幼児教育と小学校教育の円滑な接続に向けた取組を推進していただきたいと考えている。
教育局としては、重点1にかかわって、家庭教育支援者の養成および研修機会の充実や、家庭教育サポート企業の拡充と連携強化、市町村のPTAと連携した子どもの学力・生活習慣改善研修会の開催など、重点2では、コミュニティ・スクール導入の促進、重点3では、幼児教育を語る会や幼児教育相談員派遣事業を実施し、各学校や各市町村教委を支援していく。
【Ⅳ・学びをつなぐ学校づくりの実現】
学校が保護者や地域住民の期待に応え、子どもたちの力を最大限に伸ばすためには、教員の資質・能力の向上や学校段階間の連携、働き方改革の推進など、学校運営の改善を進めることが重要である。
このため、つぎの2点を重点とした。
▼学校間の連携・接続
重点1は「学校間の連携・接続」。同一中学校区内で教育目標や育成を目指す子ども像などを共有する取組の充実を図る必要があることから、各学校において、地域の実情に応じた学校間の連携の取組を推進していただきたいと考えている。
▼教職員の能力が発揮できる環境づくり
重点2は「教職員の能力が発揮できる環境づくり」。教職員の資質・能力の一層の向上が求められていることから、各学校や市町村教委においては、働き方改革の推進をはじめ、教職員の指導力の向上や服務規律の徹底を確実に行っていただきたいと考えている。
教育局としては、重点1にかかわって、小中一貫教育支援事業の推進および成果の普及、重点2では、管内働き方改革推進会議の開催や、各種研修会における服務規律の徹底や体罰防止にかかる啓発などに取り組み、各学校や各市町村教委を支援していく。
【Ⅴ・学びを活かす地域社会の実現】
潤いのある生活と活力ある地域づくりを推進するためには、生涯学習社会の構築に向けた社会教育の充実に取り組むことや、生涯を通じた芸術文化の活動を推進することが重要である。
このため、つぎの2点を重点とした。
▼学びの環境の整備
重点1は「学びの環境の整備」。地域の実態に即した学習環境づくりや学習成果を活用する生涯学習社会の構築が求められていることから、市町村教委においては、市町村における地域住民の多様な学習活動への支援を推進してもらいたいと考えている。
▼芸術文化活動の促進
重点2は「芸術文化活動の促進」。芸術文化は、人々に潤いのある心豊かな生活をもたらすだけでなく、青少年の豊かな創造性や情操を育む上で重要な役割を果たすことから、市町村教委においては、芸術文化に接する機会の充実や、文化財などの理解を深める機会の充実などに取り組んでいただきたいと考えている。
教育局としては、重点1にかかわって、公民館や図書館、青少年教育施設などの機能充実に向けた指導助言、重点2では、道民カレッジ連携講座の拡充やアートギャラリー北海道の推進に向けた管内美術館との連携強化に取り組み、各市町村教委を支援していく。
地域の活性化や人口減少などの課題に対し、これからの地域の人材育成を担う教育の役割がますます重要となっている。
そのような中で、学校には、保護者や地域から大きな期待が寄せられており、その信頼に応えるため、教職員一人ひとりが倫理観や使命感、専門性を一層高めていく必要がある。
さらには、個々の教員の指導力に委ねることなく、学校組織としての総合力をもって、深く信頼される集団としての学校づくりが求められている。
そのため、学校のあるべき姿をとらえ、常に改善しようとする課題意識をもって、リーダーシップを発揮し、取組を積極的に推進するよう、お願いしたい。
教育局としても、管内教育のさらなる充実に向けて、各種施策を効果的に展開し、市町村教委や学校はもとより、保護者や地域の方々とも認識を共有しながら、重点の確実な推進に努める所存であることから、引き続き、皆さんの理解と変わらぬ協力をお願いする。
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(道・道教委 2019-04-16付)
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