31年度空知管内教育推進の重点 「協働・共育・共生」で質向上 管内公立学校長等会議 竹林局長が説明
(道・道教委 2019-04-17付)

管内教育推進の重点(竹林局長)
竹林亨局長

 【岩見沢発】空知教育局の竹林亨局長は12日、空知合同庁舎で開催された管内公立学校長等会議において31年度管内教育推進の重点を説明した。キーワード「協働・共育・共生による学びの質の向上」のもと、「知・徳・体」の育成や「学びを支える・つなぐ・活かす」取組の充実を図るなど、学校・家庭・地域総がかりで子どもを育てていく方針を表明。「子どもたちが将来に向かって夢や希望を描き、生まれ育ったふるさと空知に愛着と誇りをもつための取組に一層の尽力を」と呼びかけた。管内における教育推進の重点はつぎのとおり。

◆はじめに

 道教委では、30年3月に10年間を見通した北海道教育推進計画が策定され、31年度は計画2年目となる。

 また、小学校では新学習指導要領全面実施の前の年であり、各学校においてもその取組が加速する時期となる。さらに、中学校において、道教委は高校入試の改革として、新学習指導要領の趣旨を踏まえ、すべての生徒に知識・技能を活用する力に関する出題を本年度入学する新1年生から充実させることを検討すると示している。

 そして、31年度は、平成の時代から新しい時代への幕開けとなる年度に当たる。管内教育推進の重点については、新学習指導要領に示される方向性と道教育推進計画を踏まえるとともに、内容項目については、地域の支援を受け、管内のすべての学校が教育活動を通して推進するものに精選し、示している。

◆重点の構成

 21年度から掲げてきた「ふるさと空知を愛する人を」育成することを管内教育のスローガンとして位置付けている。

 「ふるさと空知を愛する人を」の実現にかかわっては、30年後の2045年に空知管内の人口が2015年時から半減し、21の市町において高齢者人口が半数になると予測されているなど、地域社会の維持が切実な課題となっている。そのような地域社会において、平成の30年の間に学校統合が進み、学校数が約半数になり、管内14の市町が小学校1校、中学校1校という状況。そのほかの市町でも、少なくない地域で学校が統合となっている。

 しかし、どんな状況でも子どもたちは地域の宝。空知の子どもたちが生まれ育ったふるさと空知に愛着と誇りをもち、将来に向かって夢や希望を描くことができるよう「学校、家庭、地域が総がかりで育てる」取組、「ふるさと空知を愛する人を」育成することを掲げている。

◆管内教育推進の重点

 具体的な取組内容について。

▼教育効果を高めるカリキュラム・マネジメントに基づく「協働」

▼指導方法・体制の改善・充実に基づく「共育」

▼学校間や学校と地域間の連携に基づく「共生」

 ―については、これまでと同様の視点だが、キーワードとして掲げた「学びの質の向上」をこれまで以上に意識して取組を見直していく必要がある。

 校長の皆さんには、学校経営、教育活動を推進するための視点として重視されていたことと思うが、学校経営の視点であるとともに、「検証の視点」として、しっかりと受けとめていかなければ、改善し、充実する学びの質の向上にはならないため、強く申し上げる。

 北海道教育推進計画の目標は、

①社会で活きる力の育成

②豊かな人間性と健やかな体の育成

 ―を「知・徳・体の育成」としてまとめ、主に学校における協働と共育の機能を高め、質の向上を目指す。

③学びを支える家庭・地域との連携・協働

④学びをつなぐ学校づくりの実現

⑤学びを活かす地域社会の実現

 を「学びを支える・つなぐ・活かす」としてまとめ、学校間や地域との連携に基づく共生の機能を発揮し、学びの質の向上に向け、管内で重点的に取り組む内容として示している。

 具体的な項目について。

▼社会で活きる力の育成

 確かな学力の育成として、

▽学校全体での授業改善の取組

▽全国学力・学習状況調査やCRT・NRT検査等の結果を活用した取組

▽保護者や校種間と連携した家庭学習習慣を定着させる取組

 ―について示している。

 これからの時代に求められる資質・能力の育成として、

▽社会との連携・協働による教育課程の実現

▽「主体的・対話的で深い学び」を実現する授業改善の推進

▽望ましい勤労観や職業観を育むキャリア教育の充実

 特別支援教育の充実として、

▽個別の教育支援計画等を活用した切れ目のない一貫した指導や支援

 ―について示している。

▼豊かな人間性と健やかな体の育成

 道徳教育の充実として、

▽道徳教育の充実に向けた教員研修の推進

 いじめの防止や不登校児童生徒への支援の取組の充実として、

▽いじめ問題の取組

▽ネットトラブル根絶に向けた取組

▽不登校への取組

 体力・運動能力の向上として、

▽学校における体力向上の取組

▽学校、家庭、地域が一体となった児童生徒の運動機会の充実

 ―について示している。

③学びを支える家庭・地域との連携・協働

 家庭教育支援の充実として、

▽家庭教育に関する学習機会の充実

 幼児教育の充実として、

▽幼児期の終わりまでに育成したい視点の理解の促進

▽幼児教育施設と小学校との接続の推進

 学校と地域の連携・協働の推進として、

▽地域の教育力やコミュニティ・スクールを活かした学校づくり

 ―について示している。

▼学びをつなぐ学校づくりの実現

 学校段階間の連携・接続の推進として、

▽幼・保・小・中・高の連携・接続

 信頼される学校の確立として、

▽教職員の服務規律の遵守

▽学校における危機管理の徹底

▽キャリアステージに応じた資質能力の向上

 学校運営の改善として、

▽持続可能な学校運営体制の整備

▽学校における働き方改革の促進

 ―について示している。

▼学びを活かす地域社会の実現

 生涯学習の振興として、

▽地域住民の知識、経験を活かした地域学校協働活動の推進

 ―について示している。

 平成の時代から、新しい時代の幕開けとなる。これからの子どもたちが生活する社会は、高齢人口の増加と労働人口が減少する社会。地域社会がどのように変容するか、地域の産業を維持するためにどのような制度設計が進められるのか、労働人口が減少する中でどのような生産技術が開発されるか。この課題解決のプロセス自体が「変化の激しい社会」であり、「予測できない未来への対応」でもある。

 子どもたちが社会の変化に対応するためには、主体的に向き合って、自らの可能性を最大限に発揮し、よりよい社会と幸福な人生を自ら創り出していく努力が必要となる。

 空知教育局としては、学校教育が子どもたちの成長という縦軸と、子どもたちが生活する家庭と地域、様々な人々との結び付きという横軸の中で、身近な地域を含めた社会とのつながりを深め、自らの人生や社会をより良く変えていくことができるという実感を得ることが大切と考えている。

 そのためにも、各学校がチームとなって教育活動を推進することはもとより、学校・家庭・地域・行政の一層の連携・協働によって、地域の未来を担う子どもたちは地域全体で守り育てていくという教育環境の充実を図るという思いを込め、本年度の管内教育推進の重点を策定した。

 校長の皆さんには、強力なリーダーシップのもと、社会に開かれた教育課程の実現に向け、教育効果を高めるカリキュラム・マネジメントを実践するとともに、学校の大きな応援団となる地域の力を束ね、子どもたちが将来に向かって夢や希望を描き、生まれ育ったふるさと空知に愛着と誇りをもつための取組に、一層の尽力をお願い申し上げる。

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管内教育推進の重点(表)
31年度空知管内教育推進の重点(クリックすると拡大表示されます)

(道・道教委 2019-04-17付)

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