31年度檜山管内教育推進の重点 支え合い未来拓く人育成 公立校長合同会議で相内局長説明(道・道教委 2019-04-17付)
相内修司局長
【函館発】檜山教育局は11日、檜山合同庁舎で31年度管内公立学校長合同会議を開いた。相内修司局長が管内教育推進計画を説明。30・31年度のテーマ「檜山のよさを生かし、共に支えあいながら、未来を拓く人を育む」のもと、「檜山の未来を拓く自立した人づくり」「檜山の未来を築く活力ある地域づくり」の2つの柱を設定。「確かな学力・豊かな心・健やかな体の育成」「いじめ・不登校への対応」「活力ある地域づくりの推進」の3つの重点に沿った取組を求めた。相内局長は「創意に満ちた学校経営を行っていただきたい」と期待を寄せた。管内教育推進の重点はつぎのとおり。
◆はじめに
前年度、皆さんには、4月に示した30年度檜山管内教育推進の重点を理解いただき、学校経営の改善・充実はもとより、管内の教育の振興・発展に寄与していただいたことに、感謝している。
また、各町および各学校におけるこれまでの教育実践の積み重ねの成果として、前年度、当管内から、小学校教員2人と特別支援学校教員1人が文部科学大臣優秀教職員表彰を受賞するなど、檜山の教育の質の高さが全国的にも評価されたことは、大変誇らしいことであるとともに、管内の学校や教職員にとって、大きな自信につながったものと確信している。
檜山教育局では、前年度、道総合教育大綱、道教育推進計画、道教育行政執行方針に基づき、30・31年度の2ヵ年で取り組む檜山管内教育推進計画を策定し、計画の推進に向けた檜山管内教育推進の重点を示した。
本年度は知事選挙のため、例年2月に示す道教育行政執行方針が6月に公表予定であることなどから、31年度の重点については、前年度の重点を部分的に修正したものを示す。
30・31年度の方針で示す柱1「檜山の未来を拓く自立した人づくり」における「社会を生き抜く実践的な力の育成」「豊かな心と健やかな体の育成」「家庭や地域から信頼される学校づくりの推進」の3つの基本目標と、柱2「檜山の未来を築く活力ある地域づくり」における「学校・家庭・地域の連携・協働の推進」「学びを活かす地域づくりの推進」の2つの基本目標の実現に向け、31年度檜山管内教育推進の重点として、前年度と同様、3つの重点を定めた。
◆管内教育の重点
▼重点1「確かな学力・豊かな心・健やかな体の育成」
重点の1つ目は、「確かな学力・豊かな心・健やかな体の育成」とし、目標を「管内すべての学校において学力・体力の全国平均以上を目指す」としている。
学校の取組についての修正点。
確かな学力の育成については、前年度「幼稚園、認定こども園、保育所と小学校が連携したスタートカリキュラムの作成の推進」としていたものを、「幼児教育施設および小中高における学校間連携の強化」と変更した。
このことは、昨年11月に、道と道教委が、幼稚園、保育所、認定こども園といった幼児教育施設をはじめ、家庭や地域における幼児教育の充実に向けた方向性を示す道幼児教育振興基本方針を策定したことや、現在、移行期間中である新学習指導要領において、学校間の連携および接続を強調していることを踏まえた。
健やかな体の育成において、前年度は、1校1実践としていたところを、どさん子元気アップチャレンジと修正し、道教委の取組との関連を深めていく。
望ましい生活習慣の概念に「食育」を含むことを明示するとともに、「充実」から「強化」に変更し、一層の推進を図ることとした。
各学校においては、確かな学力の育成にかかわって、学習指導要領の移行期間であることを踏まえ、主体的・対話的で深い学びの実現に向け、カリキュラム・マネジメントの充実を図るとともに、一層の授業改善の推進に力を入れていただきたい。
また、本年度から中学校の全国学力・学習状況調査において、外国語が導入されるなど、グローバル社会を生き抜くために必要な外国語を使ったコミュニケーション能力の育成が一層求められていることから、小学校では英語deトライ、中学校ではEnglishトライアルや千歳科学技術大学のe―ラーニングの活用、また、高校では道グローバル人材育成キャンプへの生徒の参加の促進などを進めていただきたい。
さらに、児童生徒に必要な資質・能力をバランスよく育むため、学校段階間の円滑な接続や児童生徒の発達の段階にふさわしいキャリア教育を推進していただきたい。
豊かな心の育成では、特に義務校において、道徳科における指導方法などの工夫改善として、児童生徒の道徳性を養う「考え、議論する道徳」の実現に向け、基本的な指導過程を踏まえた授業づくりを進めるとともに、問題解決的な学習や道徳的行為に関する体験的な活動等を適切に取り入れるなど、指導方法の工夫改善を図る校内研修の実施を進めていただきたい。
健やかな体の育成にかかわっては、全国体力・運動能力、運動習慣等調査の児童生徒質問紙調査において、「体育・保健体育の授業以外における1週間の総運動時間が60分未満」と回答した管内の小学生は男子が5・9%、女子が8%と全国より少ないものの、中学生では男子が6・8%、女子が20・2%と全国より多い状況であることから、すべての児童生徒が授業以外で1週間の総運動時間を1時間以上とするよう、どさん子元気アップチャレンジなどを活用した取組の推進をお願いしたい。
特別支援教育の充実にかかわっては、切れ目のない一貫した指導や支援の充実に向けて、特別な教育的支援を必要とするすべての児童生徒に対して個別の教育
支援計画を作成し、家庭や地域、関係機関と連携しながら本計画を活用することを通して、長期的な視点で教育的支援を行う取組を推進することや、すべての教員等が特別支援教育に関する指導や支援についての知識や技能を身に付けることができるよう、校内研修プログラムや実践事例集などを活用した校内研修を進めていただきたい。
教育局としても、各学校の取組の充実に向け、教職員の研修機会の提供や各種事業の推進にかかる助言などの支援に努めていく。
▼重点2「いじめ・不登校への対応」
重点の2つ目は、「いじめ・不登校への対応」とし、目標を「管内すべての学校においていじめ・不登校の解消を目指す」としている。
30・31年度の方針の基本目標3の④にある「学校安全教育の充実」を踏まえ、生活安全・交通安全・災害安全の学校安全3領域に関する内容を適切に位置付けた危機管理マニュアルを児童生徒や地域等の実態を踏まえ不断に見直すことなどが必要であることから、新たに設定した。
各学校においては、特に道いじめ防止基本方針を踏まえ、児童生徒理解・教育支援シートや子ども理解支援ツール「ほっと」等を活用するなどして、いじめ・不登校の早期発見・早期対応に向けた関係機関との連携による支援体制の一層の確立をお願いしたい。
また、危機管理マニュアルの不断の見直しとともに、事件・事故・災害を想定した避難訓練等を年間複数回実施することや通学路の安全確保に関する推進体制の確立もお願いしたい。
教育局としても、各学校の取組の充実に向け、関係機関等との連携強化や各取組にかかる助言や先進事例の提供などの支援に努めていく。
▼重点3「活力ある地域づくりの推進」
重点の3つ目は、「活力ある地域づくりの推進」とし、目標を「管内における学校・家庭・地域が一体となった人づくりを目指す」としている。
前年度は「関係機関と連携した学習サポートの活用」としていたが、各学校の教育活動の質を向上するためには、教育課程を介して学校と地域がつながることによって、地域でどのような子どもを育てるのかといった目標を共有し、地域とともにある学校づくりが効果的に進められていくことが大切であることから、学習サポートに限定することなく、地域の教育資源や学習環境を有効に活用する必要性を踏まえ、本年度は「関係機関等と連携した外部人材の活用」と修正した。
各学校においては、地域の教育資源や学習環境などについて具体的に把握して、積極的に教育課程の編成に生かすとともに、幅広い地域住民等が学校運営に参画し、学校と地域が力を合わせて児童生徒の成長を支えるコミュニティ・スクールの導入を進めていただきたい。
教育局としても、家庭教育支援者の養成や学校と地域との連携・協働体制の確立に向けた助言、歴史上また芸術上、非常に価値ある有形・無形の文化財に恵まれている檜山の魅力を生かした取組の推進などに努めていく。
皆さんには、「チーム学校」をけん引するトップとしてのリーダーシップを発揮して、包括的な学校改善を推進し、創意に満ちた学校経営を行っていただきたい。
皆さんにおかれては、これらのことを理解いただき、管内の特色を生かしつつ、各学校や地域の実態を踏まえた、より細やかで実効性のある施策の展開を進めていただくようお願いする。
教育局としても、各学校の個々の課題の解決に向け、全力で支援していきたい。
元号も変わり、人工知能の飛躍的な発達による社会構造の変化など、子どもたちが生きる未来には、新しい挑戦が待ち受けている。そうした時代の変化の中にあっても、子どもたちがしっかりと自立し、優しい心をもって互いに支え合い、たくましく生きていく力を培うことができるよう、家庭・地域・行政との緊密な連携のもと、管内教育の推進に取り組んでいきたいと考えているので、本年度もよろしくお願いする。
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(道・道教委 2019-04-17付)
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