31年度上川管内教育推進の重点 高・特校長会議で河野局長説明 高大接続改革の方向性見据え(道・道教委 2019-04-26付)
【旭川発】上川教育局は16日、管内高校・特別支援学校長会議を開いた。河野秀平局長が31年度管内教育推進の重点について説明し、道教育推進計画に基づいた6つの目標を提示。高大接続改革等の方向性を見据えた学習・指導方法の充実や学習評価の改善の取組を推進するほか、地域特性等を踏まえ、環境や人材などの教育資源を活用した特色ある教育課程の編成・実施を促進することなどを重点施策として示した。管内における教育推進の重点はつぎのとおり。
【目標1】社会で活きる力の育成
技術革新やグローバル化など、急激に変化する社会を生き抜くためには、新しい社会や経済に対応する力の育成だけではなく、変化の背景や本質を見抜き、主体的に社会に参画していく力を育成していくことが求められる。
目標1については、7つある施策項目の中から3つの重点を示す。
▼重点1 これからの時代に求められる資質・能力の育成
特にお願いしたいことは、「教科等横断的な視点からの教育課程の編成・実施や、主体的・対話的で深い学びの実現に向けた取組の推進」と「高大接続改革等の方向性を見据えた学習・指導方法の充実や学習評価の改善に向けた取組の推進」である。
管内においては、道高校学習状況等調査や学力テストの結果の分析によって生徒の学力・学習状況を把握し、教育課程の見直しを図る検証改善サイクルの確立によって、子どもたちの学力の向上に向けた取組が着実に進められている。
今後、各学校においては、つぎの3点に取り組んでいただきたい。
▽道高校学習状況等調査や学力テストの結果を分析し、分析結果を踏まえた教材開発や指導方法の改善
▽国において進められている高大接続改革等の方向性を見据えた学習・指導方法の充実や学習評価の改善
▽教科等を超えて授業改善の視点を共有し、習得・活用・探究という学習過程の中でICTの効果的な活用
道教委としては、教育指導監、教育局主幹による学校経営訪問において、組織的な教育活動の検証と改善について指導助言するとともに、指導主事の学校運営指導等において、生徒に資質・能力を育む主体的・対話的で深い学びの実現に向けた授業改善について指導助言する。
▼重点2 特別支援教育の充実
特にお願いしたいことは、「個別の教育支援計画および個別の指導計画の活用による関係機関と連携した切れ目のない一貫した支援の充実」である。
今後、各学校においては、つぎの4点に取り組んでいただきたい。
▽家庭や地域、医療、福祉、保健、労働等の関係機関との連携のもと、個別の教育支援計画の作成・活用を通じた長期的な視点で教育的支援を行う取組の推進
▽特別支援教育センターの巡回教育相談や、特別支援学校の教員派遣等を活用した特別支援教育の充実に向けた取組の推進
▽障がいによる学習上または生活上の困難を主体的に改善・克服する自立活動の指導の充実
▽すべての教員等が特別支援教育に関する指導や支援についての知識や技能を身に付けることができる校内研修の充実
教育局としては、特別支援教育スーパーバイザーによる学校運営指導において、個別の指導計画、上川版個別の支援計画「すくらむ」等の作成・活用への指導助言を行うとともに、学習指導要領の実施に向けた特別支援教育にかかる研修の充実に努める。
▼重点3 国際理解教育・キャリア教育の充実
特にお願いしたいことは、「高校卒業段階において英語で少なくとも日常的なコミュニケーションができる力を育成する取組の推進」と「望ましい職業観・勤労観を育成するためのキャリアガイダンスの充実や、インターンシップ等の体験的な学習活動の充実」である。
管内においては、各種指定事業や体験的活動を通して、英語に親しむ機会を設けるなど、教員の指導力の向上や生徒の英語力の向上、英語によるコミュニケーション能力の育成に向けた取組や、子どもが活動を記録し蓄積する教材、いわゆるキャリアノートを活用した実践の推進が図られている。
今後、各学校においては、つぎの5点に取り組んでいただきたい。
▽異なる文化や外国人とのふれ合いを深める体験交流の機会の拡充およびコミュニケーション能力を育成する機会の充実
▽研究指定校の成果を活用した英語の指導方法等の工夫改善
▽主体的に地域を支える人材の育成や、早期離職者の減少に向けた取組の推進
▽望ましい職業観・勤労観を育成するためのキャリアガイダンスの充実
▽インターンシップ等の体験的な学習活動の充実
教育局としては、指導主事の学校運営指導における国際理解教育の充実に向けた指導助言のほか、教員の英語指導力向上を目指し、スーパーグローバルハイスクールをはじめとする各研究指定事業の研究成果の提供や、インターンシップ等の体験的な学習活動を要としたキャリア教育の充実に向けた指導助言に努める。
【目標2】豊かな人間性の育成
これからの時代においては、一人ひとりが感性を豊かにして、人生や社会の在り方を創造的に考えることができるよう、豊かな心や人間性を育んでいくことが求められる。
目標2については、5つある施策項目の中から2つの重点を示す。
▼重点1 道徳教育・ふるさと教育の充実
特にお願いしたいことは、「特別活動および公民科を中核とした学校全体で行う人間としての在り方生き方に関する教育の充実」と「地域の施設や人材など、身近な教育資源を積極的に活用した学習」の充実である。
管内においては、校長の方針のもと、道徳教育の全体計画に基づき、学校全体で人間としての在り方生き方に関する指導が各学校において推進されている。
今後、各学校においては、つぎの4点について取り組んでいただきたい。
▽特別活動および公民科を中核とした学校全体で行う人間としての在り方・生き方に関する教育の充実を図る校内研修の推進
▽誰に対しても分け隔てをせず、公正、公平な態度で接し、自他を尊重する態度を育成する学校の教育活動全体を通じた人権教育の充実
▽ふるさとに興味・関心をもち、地域社会の一員としてまちづくりにかかわる人材の育成
▽アイヌの人たちの歴史や文化等に関する指導や北方領土に関する指導の充実
教育局としては、指導主事の学校運営指導において、生徒がよりよく生きるための道徳性を養う取組に向けた指導助言に努めるほか、地域の歴史や文化等を学ぶ取組など、ふるさと教育が積極的に展開されるよう引き続き支援に努める。
▼重点2 いじめの防止や不登校生徒への支援の取組の充実
特にお願いしたいことは、「学校いじめ防止基本方針に基づいた組織的な取組の推進」「生徒がいじめの問題を自分のこととして捉え、考え、議論する主体的な活動の推進」と「いじめや不登校の未然防止、早期発見・早期対応に向け、“児童生徒理解・教育支援シート”や“ほっと”を活用し、学校内外の機関と連携を図る取組の推進」である。
管内においては、いじめの未然防止、早期発見に向け、学校いじめ防止基本方針に基づいた組織的な取組を推進するとともに、生徒会が中心となり、生徒自らがいじめについて考える、いじめ防止等に向けた取組の充実が図られている。
今後、各学校においては、つぎの5点に取り組んでいただきたい。
▽国の法令や指針、北海道いじめ防止等に関する条例等など、教職員および保護者・地域住民に対する法の趣旨の理解の促進
▽子ども会議など、生徒がいじめ問題を自分のこととしてとらえ、考え、議論する主体的な活動の推進
▽「ほっと」を活用した教職員相互が積極的に生徒の情報の集約と共有化を図る学校体制の充実
▽児童生徒理解・教育支援シートを活用した不登校等の未然防止、早期発見・早期対応に向けた取組の充実
▽ネット上のいじめなど、インターネット上のトラブルから生徒を守るための家庭等と連携を図った取組の推進
教育局としては、管内地域いじめ問題等対策連絡協議会の協議内容を踏まえ管内の各学校にいじめや不登校などの問題の解決に向けた取組を周知するとともに、いじめや不登校が起きた際には、いじめ問題等外部専門家チームをはじめ、関係する専門機関と連携を図りながら支援する。
【目標3】健やかな体の育成
東京オリンピック・パラリンピックの開催を次年度に控え、各学校においては、子どもたちがスポーツへのかかわり方や楽しみ方を自ら考え、運動することの価値や外国の文化・伝統等を学ぶ、オリンピック・パラリンピック教育の充実が図られてきている。
目標3については、3つある施策項目の中から1つの重点を示す。
▼重点 体力・運動能力の向上
特にお願いしたいことは、「豊かなスポーツライフを実現できる資質・能力を身に付ける授業改善」と「学校・家庭・地域・行政が一体となった子どもたちの運動の機会の充実」である。
管内においては、すべての学校が新体力テストを全学年で全種目実施し、把握した体力の状況をもとに教育課程の改善等に取り組むなど、すべての子どもに健やかな体が育成されるよう努める。
今後、各学校においては、つぎの4点に取り組んでいただきたい。
▽子どもたちが運動や健康に関する課題を発見し、自ら考え工夫しながら、仲間とともに解決してつぎの学びにつなげるなど、主体的・対話的で深い学びの実現に向けた授業改善の推進
▽保健体育の授業における指導力の向上を図る実践的な校内研修の実施
▽家庭や地域と連携を図った体力向上の取組の実施
▽保護者等を対象とした体力向上に関する学習の機会や情報提供の充実
教育局としては、各学校の授業改善に向けて、研究指定事業等の成果の一層の普及に取り組むとともに、子どもたちが体育・保健体育の授業以外にも運動することの重要性を理解するよう取組を進める。
【目標4】学びを支える家庭・地域との連携・協働の推進
子どもたちが豊かな心と健やかな体を育み、確かな学力を身に付いていくためには、学校・家庭・地域・行政が連携した望ましい生活習慣の確立に向けた取組を一層充実させる必要がある。
目標4については4つある施策項目の中から1つの重点を示す。
▼重点 学校と地域の連携・協働の推進
特にお願いしたいことは、「地域の教育力を活かした学校づくりの推進」と「地域の特色を活かした子どもの活動拠点づくりの推進」である。
管内においては、地域の声を生かしながら、幅広い地域住民の参画を得て、学校と地域が一体となって特色ある学校づくりを進めるコミュニティ・スクールの導入が進められている。
今後、学校・家庭・地域・行政が連携・協働し、つぎの4点に取り組んでいただきたい。
▽教職員や地域住民等へのコミュニティ・スクールの制度内容や成果等への理解を深める機会の充実
▽地域人材を活用した魅力ある教育活動や子どもたちの補充的な学習サポートの機会の充実
▽学校と地域が連携・協働して、地域全体で未来を担う子どもたちの成長を支え、地域を創生する地域学校協働活動の充実
▽学校と地域をつなぐ社会教育主事有資格教員や地域人材の育成・活用
教育局としては、コミュニティ・スクールにかかわる研修会の支援、地域学校協働活動の充実などに努める。
【目標5】学びをつなぐ学校づくりの実現
社会、経済の変化に伴い、学校を取り巻く課題が複雑化・多様化しており、学校だけでは十分に解決できないことから、教職員間、学校段階間、学校と社会との間の相互連携など、教育の質の向上に向けた連携・協働を進め、社会に開かれた教育課程を実現することを通して、これからの時代に求められる教育を推進していくことが重要である。
目標5については、6つある施策項目の中から2つの重点を示す。
▼重点1 本道の地域特性等を踏まえた特色ある高校づくり
特にお願いしたいことは、「地域の実情、生徒の実態を踏まえ、地域の自然環境や人材などの教育資源を活用した特色ある教育課程の編成・実施を促進」である。
管内においても、生徒の興味・関心、進路希望等の多様化に対応するため、総合学科などの多様なタイプの高校を設置するとともに、各学校が、地域の実情に応じた教育活動を推進している。
今後、各学校においては、つぎの3点に取り組んでいただきたい。
▽総合的な学習の時間および総合的な探究に時間における地域の教材や学習環境を活用した取組の充実
▽地域がもつ教育資源を活用しながら、「地域の人材は地域で育てる」との視点を地域の産業界等と共有した学習活動の実施
▽総合学科などの多様なタイプの高校については、それぞれの特色を生かしながら、その機能を一層発揮できる教育活動の充実
教育局としては、指導主事の学校運営指導において、すべての生徒が自立して社会で生きるとともに、個人として豊かな人生を送ることができるよう、地域の自然環境や人材などの教育資源を活用した地域とつながる高校づくりの推進に向けて支援する。
▼重点2 学校運営の改善
特にお願いしたいことは、「校長のリーダーシップのもと、全校が一つのチームとなった包括的な学校改善」と「学校における働き方改革“北海道アクション・プラン”に基づく、子どもたちと向き合う時間の確保に向けた業務改善」「教職員の不祥事防止に向けた服務規律、法令遵守の徹底」である。
管内においては、コンプライアンス確立月間における教職員の不祥事防止に向けた集中的な取組やメンター研修の実施などによる人材育成の取組を積極的に行うなど、教職員に対する信頼性の向上に向けた取組が推進されている。
今後、各学校においては、つぎの3点に取り組んでいただきたい。
▽子どもと向き合う時間の確保に向けた学校運営体制の整備や意識改革
▽コンプライアンス確立月間など、不祥事の防止に向けた集中的な取組や年間を通じた反復継続的な取組の実施
▽北海道教員育成指標に基づく、将来のスクールリーダーの継続的な育成
教育局としては、学校における働き方改革「北海道アクション・プラン」に基づき、教員が業務の質を高め、日々の生活や教職員人生を豊かにすることで、自らの専門性や人間性を高め、子どもたちに対して効果的な教育活動を行い教育の質を高めるという働き方改革の理念を共有しながら取組を進めるとともに、教員の資質・能力の向上を図るため教員育成指標に基づく教員研修の充実等に努める。
【目標6】学びを活かす地域社会の実現
道民の潤いのある生活と活力ある地域づくりを推進するためには、道民が生涯を通じて積極的に学び、その成果を生かせる環境を整備することが重要である。
目標6については、4つある施策項目の中から2つの重点を示す。
▼重点1 生涯学習の振興
特にお願いしたいことは、「地域づくりにつながる学習機会の充実」と「地域の実態に即した学習環境づくり」である。
管内においては、住民のニーズを踏まえて、多様な学習の機会の充実に向けた取組を進めていただいている。
今後、関係機関と連携し、つぎの3点に取り組んでいただきたい。
▽道民カレッジを核とした多様な学習機会の充実
▽住民の学習活動や学んだ成果を生かした社会参画を促進する研修の機会の充実
▽地域づくりにつながる生涯学習を推進する人材の育成
教育局としては、生涯学習を推進する人材の育成に向けた、研修の充実に努める。
▼重点2 社会教育の振興
特にお願いしたいことは、「地域における組織的な教育活動を促進するための人材の育成」と「地域課題の解決に向けた活動に多くの住民が参画できる環境の醸成」である。
管内においては、地域の実情に応じた社会教育計画が策定されている。
今後、各学校においては、つぎの3点に取り組んでいただきたい。
▽地域が抱える課題やニーズに対応した研修の機会の充実
▽地域課題の把握や解決に至るプロセスについて学ぶことのできる機会の確保・充実
▽地域課題の解決に向けた活動への住民の参加と協働の促進
教育局としては、社会教育主事の専門性の向上、学校と施設間相互の連携を促進するための支援などに努める。
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河野局長が6つの目標を示し、重点施策を説明した
(道・道教委 2019-04-26付)
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