いじめ・自殺未然防止への組織的対応 “予防の先”を見据えて 道教育大・平野教授ら講義 道研の初講座(道・道教委 2019-06-26付)
平野教授と受講者らがいじめの対応など意見交流
道立教育研究所は19日から2日間、同所で今日的な課題に対応する生徒指導研修「いじめ・自殺の未然防止に向けた組織的対応の進め方」を開いた。生徒指導の分野に関して、いじめや自殺の課題に特化した研修講座は本年度が初めて。道教育大学の平野直己教授と本田真大准教授らによる講義や演習などを通して、いじめ・自殺の問題についての対応力・実践的指導力の向上を目指した。
生徒指導における喫緊の課題であるいじめ・自殺の未然防止の在り方についての理解を深め、自校の取組や体制の改善・充実を図ることが目的。いじめ・自殺問題は、これまで生徒指導の大きな枠組みの中に組み込んでいたが、本年度新たに焦点を絞って特化。小・中・高校の教諭ら20人が受講した。
坪川泰嗣研究・相談部長があいさつ。いじめと自殺が子どもたちの命にかかわる重大な課題であることを指摘し、研修を通して自校の取組の改善・充実を図ることを期待した。
また、異校種間で積極的に情報交換を図るよう呼びかけ、「校種を越えたネットワークを築くとともに、研修の成果を学校、地域に還元してほしい」と要請した。
つぎに、道教育大札幌校の平野教授が「いじめ問題の対応の在り方について」と題して講義。いじめの定義やとらえ方を確認した上で、事例の提示や演習を交えながら、予防や対応について解説した。
平成25年に施行されたいじめ防止対策推進法によって、いじめの定義が「対象となった児童生徒が心身の苦痛を感じているもの」とされたことに着目。加害側の意図は関係ないこと、被害の程度や回数、当人同士の関係性は問わないことを指摘し、従来よりもいじめのとらえ方が広くなったことを伝えた。
様々ないじめの事例を紹介した上で、予防が行き過ぎてしまうことによって、子ども同士の交流や体験を制限してしまうなどの危険性を強調。「いじめか、いじめでないかを考えることよりも、子どもたちにかかわっていくことや、心配なことがあれば声をかけていく“予防の先”を見据えた対応が大切」と話した。
このあと、平野教授と所員、受講者が円になって意見交流。受講者による各学校の事例をもとに、組織的な対応の仕方などについて意見を交わした。
続いて、いじめの未然防止の在り方や早期対応の在り方について演習。自校の学校いじめ防止基本方針の点検や改善のポイント、いじめの解決に向けた事例研究などについて検討した。
2日目は、道教育大函館校の本田准教授が「自殺予防の在り方について」と題して講義。自殺予防教育について理解を深めるとともに、演習を通して自殺予防教育の実際について考察した。
(道・道教委 2019-06-26付)
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