やりがい・満足ある学校に 文教施策懇談会で道小の大石会長(関係団体 2019-08-19付)
大石幸志会長
8日に道庁別館で開催された道小学校長会(大石幸志会長)、道中学校長会(新沼潔会長)、道公立学校教頭会(安田仁昭会長)と道教委による令和元年度文教施策懇談会における道小・大石会長のあいさつ概要はつぎのとおり。
本道教育の質の向上を目指す上において、新学習指導要領の趣旨を生かした授業の実現が重要である。子どもたちは、今後、Society5・0という予測不可能な未来社会を生き抜いていかならない。
そのため、各学校では、未来を自ら切り拓く資質・能力の育成を目指し、児童生徒の意欲を喚起する日々の授業に努めている。しかし、学校現場では、日常の授業準備や子どもと向き合う時間の確保、さらには急増する若手教員の育成や英語・道徳・プログラミング教育をはじめとする研修時間の確保が十分ではない。
また、学校が抱える問題は、複雑化・困難化しており、いじめ・不登校、貧困・児童虐待、部活動にかかわる負担、特別な支援を要する児童生徒への対応、保護者へのきめ細かな対応など、様々な課題が山積している。
このような課題の解決に向け、教員個々の指導力や専門性を高めるための研修を充実させることはもちろん、本来、教員が担うべき業務に専念できる環境整備が不可欠である。
こうしたことを踏まえ、全国連合小学校長会は7月8日、文部科学省や財務省、総務省に「小学校教育の充実に関する文教施策並びに予算についての要望書」を提出している。この中で最大のポイントは、授業準備や子どもと向き合う時間を確保するための、教員の定数改善や人的措置、諸条件の整備である。
しかし、ここ数年、教員不足のため、教員の未配置校の問題が生じており、各校に深刻な影響が出ている。本年度、北海道においては的確な教員採用者数等の施策によって、年度当初の教員の未配置校が小学校長会の調査で前年度に比べ半数以下になっている。しかし、欠員が1人生じるだけでも学校全体でその分の業務を負うこととなり、1人当たりの労働の密度が上がり、時間外勤務が増え、児童生徒のケアが不十分になってしまう可能性が大きくなる。
また、現時点では、どの地区においても、産休・育休・病休等の年度途中の人材確保に苦慮している状況である。今後も、安定した教育活動を推進するために、潜在教師の取り込みや退職教員の活用などあらゆる方法で、教員の未配置への対応を強くお願いしたい。
さらに、教員不足にかかわって大きな課題になっているのは、教員採用試験の倍率低下や採用辞退者の増加などによって、優秀な教員の人材確保ができるかということである。
現在、日本では、どの職種でも人材不足が起こっている。小・中・高合わせて約100万人の教師を確保するというのは大変な上、長時間勤務が多い教員の実態を改善しなければ優秀な人材は確保できない状況である。そのためには、働き方改革を推進し、教職員にとってやりがいのある、そして、満足のある学校に改善することが重要。
その点で、道教委には、北海道アクション・プランや部活動の方針の作成、遠隔研修や遠隔教育の推進、中堅教諭等資質向上研修と免許更新講習の弾力的運用等、働き方改革を主導していることに感謝申し上げる。
しかし、学校現場では、新学習指導要領に対応した教材やICT環境などに自治体間格差が生じている。
例えば、実物投影機や大型テレビなどを導入する際も、自治体によっては、校長会が働きかけてもなかなか理解していただけなかったという話を聞いている。統合型校務支援システムは、年間120時間の負担軽減になるとの北海道の事例から、文科省は提示している。校務支援システムにおいても、自治体間格差が同様にある。
このような状況が続くと、教員の授業準備時間を短くし、児童生徒の学力差にもつながってくるのではないかと懸念する。
教育改革の波が押し寄せているこの機会に、私たちは、チーム北海道として、北海道教育の一層の充実に向け、山積する諸課題に正対して立ち向かっていく所存である。
(関係団体 2019-08-19付)
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