連帯目指す職場活動を 道教組の当面闘争方針(関係団体 2019-09-13付)
道教組の第32回中央委員会(12日付4面既報)では、第1号議案「当面闘争の推進」を原案どおり決定した。本年度後半期の運動として「すべての教職員との対話と共同を基本に、教職員の連帯を目指す職場活動を進める」ことなどを掲げた。当面闘争方針の概要はつぎのとおり。
【2019年度後半期の運動の重点課題】
▼「教え子を再び戦場に送らない」の決意のもと、憲法改悪を許さず、憲法を守り、学校、教育、社会に生かす道教組運動を推進する。憲法・子どもの権利条約に立脚し、それが息づく学校・職場を目指すとともに、学校・職場づくりを核とした道教組運動の役割についての学習・討議を進める
▼すべての教職員との対話と共同を視野に、切実な要求の実現と教職員の連帯を目指す職場活動を進める。『道教組・組合づくりリーフレットWITH YOU』をもとに、すべての組合員とともに組合づくり、職場づくりについての議論と具体化を進める
▼改悪教育基本法の具体化である「教育再生」「改訂学習指導要領」の問題点を明らかにし、ゆきとどいた教育を保障するための条件整備を求める。また、子どもたちの全面発達の中に豊かな学びと真の生きる力を育てる教育課程づくりに取り組む
▼いじめ・自殺・不登校・児童虐待など、子どもと教育の危機を打開し、子どもたちが安心して学べる学校と社会を目指す
▼上からの教育改革に負けない学校づくりを軸とした教育運動を、保護者や子どもにかかわる諸団体、個人に広げる。北海道の教育に責任をもつ教職員組合をつくるため、組織維持・強化・拡大に取り組む
▼学校づくりを破壊する学校職員人事評価制度のねらいを許さず、子どもが主人公で協力・協働(共同)の学校づくりを前進させる
▼以上の課題解決・要求実現のため、道退教・道高教組と連帯し、取組を強化する
【運動の具体的進め方】
▼憲法に立脚し、民主教育を父母・保護者、国民とともに前進させる課題
▽憲法改悪と一体の安倍「教育再生」を許さず、子どもの成長・発達を保障する民主的教育を進める
①安倍「教育再生」が憲法改悪攻撃と一体化したものであり、「戦争する国」「世界で一番企業が活躍しやすい国」を支える人材育成を許さず、教育本来の目的は「人格の完成」にあるということを、国民的理解になるよう取り組む
②改訂学習指導要領のもつ矛盾について、批判検討と実践的取組を進める。この問題について、職場・地域でも大いに学習を広げ、子どもの実態を生かした教育課程づくり、豊かな学びと基礎学力を保障するための授業づくりを追究する
③英語教育の強化・早期化について、財界の人材育成のねらい、子どもと学校、教職員にもたらす負担や影響を明らかにし、見直しを求め世論を広げる。当面、英語専科教員の早期全校配置を求める
④小・中学校の「道徳の教科化」の見直しを求める。教科書使用の強制や授業方法・研修の押し付けに反対し、憲法・子どもの権利条約に基づく実践を大事にする
⑤ゼロトレランスやスタンダードなど管理と統制の教育ではなく、子どもの命、人権を何よりも大切にする学校を目指す
⑥文部科学省が行う全国学力・学習状況調査が子どもと教育に与える深刻な影響を明らかにし、見直し・中止を求める。教師と子どもたちを学力競争から守るたたかいを進める
⑦部活動については、国の部活動ガイドラインや北海道の部活動指針を踏まえ、子どもの成長・発達を保障する観点から、合意づくりを広げる
▽へき地の教師・子どもたちの教育条件を守る立場から、今後も教職員の要求を大切に取りまとめ、道教委や各局との交渉を大切にする
▽学校職員人事評価制度については、非教育的な差別賃金の意図を職場に入れさせないためにも、協力・協働(共同)の民主的な学校づくりを進める
▽11月9・10日開催(札幌)の2019合同教育研究全道集会成功を目指し、各地での教研活動を進める。1学期から2学期にかけて取り組んだ教研活動の成果を11月の合同教研にもち寄る。道教組として、今、困難を抱えながらも日々の教育実践に立ち向かっている職場の教職員と共に激励し合いながら豊かな学びを追究していくこと。特に、若い教職員は、授業で悩みながら苦労している。各地の若手教職員を激励し、若手の実践をアドバイスして秋の合同教研へレポートにまとめる作業を応援する。また、将来のレポーターを生み出すために、一般参加者の組織化も追求する
▽行政研修の押し付けに反対し、教育研究の自由を守る取組を進める
①教育委員会が研修を実施するに当たっては、「教員の自主性尊重」「学問の自由、思想・信条の自由」を原則とすること。教職員の長時間過密労働解消のためにも、初任段階教員研修、中堅教諭等資質向上研修など、様々な教員研修の負担軽減を求める
②教員免許更新制については、教員に受講料の負担、地方からの交通費、宿泊費など過大な負担を強いる世界にまれな制度であり、廃止を求める
▽子ども・保護者・地域の願いに応える教育課程、学校づくりを進める
▽特別支援教育の充実については、どの子にもゆきとどいた教育を進めるという視点からとらえる
①教職員定数増を求める運動を進める
②すべての障がい児への豊かな教育を進めるため、特別支援教育支援員の増員と有効的な活用を含めた制度面の充実に向け、道・市町村教委に要求する
③特別支援学校の過密・過大問題を解消するため、設置基準策定を求める請願署名に取り組み、要請を行う
④特別支援学校の増設に当たっては、単なる通級保障ではなく、教育保障の観点での寄宿舎の設置・増設を求める
▽教育予算をOECD諸国並みに増やし、教育条件整備を進めること、国による小・中学校、高校の35人以下学級の早期実現などの国民的要求実現のため、教育全国署名運動の取組を進める。そして、教育条件整備を求め、道・市町村教委に対する要請を行う
▽小学校小規模校における定数改善、養護教諭・事務職員の全校配置・複数配置などに向け、道教委に『定員・教育予算要求書』を提出する
▽子どもの減少を理由にした機械的な学校統廃合計画に反対し、保護者や地域・住民の声を受け止めながら検討することを求める
▼生活と権利を守るたたかい
▽道財政不足を理由とした賃金削減を許さず、道民本位の道財政の再建、道民生活を守る課題と一体的に賃金改善を求める
①道人事委員会勧告に向け、道・道教委に要求書を提出し、職場・地域からの要求署名運動を基礎に、職場からの交渉要員も募りながら、その強化を図る
②生活実態に見合った寒冷地手当の増額を求める要求運動の強化を図る
③給与に差をつける成果主義賃金に反対し、全教職員の処遇改善を求める
▽公務員賃金削減に反対し、公務・公共サービスの充実、労働基本権の回復を目指す運動を強める
▽長時間過密労働を是正し教職員の健康を守るとともに、子どもたちにゆきとどいた教育を保障する条件整備の運動を進める
①教職員の労働条件と子どもたちの教育条件を統一してとらえ、時間外勤務や多忙化解消の方策について、道教委の方針や取組を補強する。道立学校総括安全衛生委員会へ組合要求を反映させるよう積極的に参加し、実効あるものにする
②すべての職場で、長時間過密労働解消のために、管理職も含めた教職員の合意づくり、「不要な仕事は減らし、休みを確保する」取組を進める
③長時間過密労働の大きな要因の一つである部活動問題について、教職員の生活と健康を守る立場を堅持して取り組む
④他県の先進的取組に学びながら、勤務の割り振り変更、労働環境の改善に努める
⑤道教組作成の『教職員の権利一覧』などを使い、職場での権利学習を進める
▽定年引き上げ、雇用と年金の確実な接続を求める取組を進める
①「雇用と年金の確実な接続」は国の責任であり、定年延長と年金支給年齢の確実な接続を求めていく。年金支給開始年齢の引き上げには反対する
②再任用教職員の実態を把握するとともに、再任用教職員を定数外とし、新規採用への影響を及ぼさないよう求める。60歳を超え無年金になる再任用教職員の低い賃金の改善を求める
▽消費税増税反対、最低賃金の引き上げなどの要求実現を目指し、職場・地域からの共同の取組を進める
▼憲法を生かし、平和と民主主義、命と暮らしを守る国民共同の課題
▽あらゆる改憲策動を許さず、憲法を守り、暮らしや教育に生かす取組を進める
▽北海道胆振東部地震などからの復旧・復興に際し、被災地の子どもたちや学校の現状を把握し、必要な施策と支援を求める対道教委要求の取組を進める。各学校の耐震化、地域の防災計画の見直し、必要に応じた避難訓練の見直しなどを進める
▼人事要求実現、民主的人事行政確立の課題
▽管内教育を向上させ、教職員の異動要求に添った人事要求の実現を目指し、道教組各構成組織での取組を進める
▽道教委、教育局への人事要求では、「民主・公平・公開」の原則に立った人事行政の確立を求める
▽事務職員の格付基準の見直しによる機械的人事が行われないようにするとともに、本人の希望と納得に基づく人事の実現を目指す
▽再任用については、ほかの公務員と比べ採用率が低く、看過できない状況がある。年金と接続しない状況があるからこそ、希望者全員の任用に向け、定年延長など新たな制度設計を求めるとともに、各管内の実態を把握し、要求実現に向けて取り組む
▽定数内臨時教職員の解消を図るよう要求する。年度内に期限付教職員の欠員が多く、欠員のまま放置することは許されない。正規採用を増やし、年度始めから多くの欠員を起こさないよう、道教委に強く改善を求める
▽教職経験の考慮、地域枠採用の問題点など、教員選考制度の改善を求める
▼組織維持・強化・拡大の問題
▽『道教組・組合づくりリーフレットWITH YOU』を活用し、すべての組織・専門部で集団的な議論を通じて、組合に結集する意味、道教組運動の魅力を確かめ合うとともに、道教組を太くたくましくしていくための計画を策定し、取組を進める。また、単組代表者会議や定期大会で、道教組の組織と運動の展望について、継続的に討議を深める
▽「つながりづくりのための4000円」「集い合い促進費」、そして、共済会の「学習運動支援費の5000円」などを活用し、気軽に声をかけ、魅力ある組合、共済会を伝える取組を各地で進める
▽青年層とつながり、話を聞き、共にほっとできる時間をつくり出す。青年層の組合加入を積極的に呼びかけ、青年層の願いや声を生かして、組合活動を活性化させる
▽道教組NEWS、ホームページ、Twitterなど、様々なつながりをつくり出すための情宣活動の充実を目指し取り組む
▽組織拡大と道教組共済・『クレスコ』拡大を統一的に進める
▽要求の多数派を目指し、参加と共同の学校づくりに取り組む。「教職員組合の役割は、教職員の権利を守り働きやすい職場をつくること、子どもたちの教育条件をよりよくしていくこと」との立場で、語り合い、学び合える職場づくりを進める
▽2020年の道教組結成30周年を、これまでの道教組運動の歴史や意義を学び、今後の新たな道教組運動への展望を確かめ合う節目となるよう、記念行事に向けた準備を進める
(関係団体 2019-09-13付)
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