道小学校長会第3回理事研修会 働き方改革など4点 大石会長が国の動向説明
(関係団体 2019-09-19付)

道小大石会長あいさつ
大石幸志会長

 【室蘭発】道小学校長会(大石幸志会長)は12日、苫小牧市民会館で第3回理事研修会を開いた。あいさつに立った大石会長は、教育情勢について4点説明。教育のICT化や学校における働き方に関する国の動向を紹介した。大石会長のあいさつ概要はつぎのとおり。

▼全国連合小学校長会の負担金改訂

 全連小の組織および運営に関して、物価変動、金利低下、会員数の減少などによって負担金収入が決算支出を上回る厳しい状況が継続しているため負担金の改訂が必要であることを、47都道府県校長会の集まる小学校長会連絡協議会で会長が明言した。

 負担金の改訂については、金額や時期については常任理事会を中心に検討していくが、道小では、今後の企画研修委員会において、会費を値上げしないための創意工夫をさらに検討する必要がある。

 また、全連小では、運営改善と内部努力ということで、北海道と東京の理事数の削減も視野に入れて検討していく。

▼今後の学校経営とこれからの教育

 文部科学省通知「学校における働き方改革に関する取組の徹底について」には、ICTやOA機器の積極的導入・更新を通じた業務効率化が挙げられている。

 文科省通知「小学校、中学校、高校および特別支援学校等における児童生徒の学習評価および指導要録の改善等について」では、統合型校務支援システムの整備によって文章記述などの記載事項が共通する指導要録といわゆる通知表データの連動を図ることは教師の勤務負担軽減に不可欠であり、設置者等においては統合型校務支援システムの導入を積極的に推進することとあり、通知表から指導要録へのデータの流し込みや、教科担任制を見込んだ成績や所見の連動にとって校務PCが必須であると言える。

 文部科学大臣から中央教育審議会への諮問「新しい時代の初等中等教育の在り方について」では、学校のICT環境は脆弱であり、地域間格差も大きいなど危機的であるという文科省の現状把握とともに、Societhy5・0時代の教育・学校・教師の在り方の項目では、先端技術を活用した地理的制約を超えた多様な他者との協働的な学びとして遠隔教育などにふれている。

 教育再生実行会議「技術の進展に応じた教育の革新、新時代に対応した高校改革について(第11次提言)」の、新たな学びとそれに対応した教材の充実の項目では、小・中・高校の遠隔教育について、スタディ・ログ等を活用した個別最適化された学びの実現について提言されている。

 OECD国際教員指導環境調査(TALIS)2018報告書では、日本の小・中学校教員においては、「デジタル技術の利用によって児童生徒の学習を支援する(コンピュータ、タブレット、電子黒板)」ことについて、高い自己効力感をもつ教員の割合が低いとあり、ICTを活用できる先生が他国に比べて少ないという実態が挙げられている。

 文科省の対策では、ICTを活用した教育の推進として、「研修等の充実」「先端技術の効果的な活用に関する方策の検討・実施」「学校のICT環境整備の加速化に向けた取組」が挙がっている。

 経済財政運営と改革の基本方針2019(骨太の方針2019)の中の、人づくり革命、働き方改革、所得向上策の推進の「初等中等教育改革」の部分では、教育の情報化と遠隔教育の活用が提示されている。特に、遠隔教育は、学校の小規模化の対応として、文科省が重視している。

 学校教育の情報化の推進に関する法律が6月28日に公布、施行された。学校教育情報化推進計画を文部科学大臣ばかりでなく地方公共団体も策定するようにと、努力義務ではあるが決められている。このことは、教育のICT化に向けた環境整備をあと押しするものであり、予算要求のポイントとなると考えるとのことである。

 すべてにSociety5・0にかかわる内容が示されており、観点を定めていくと、今後の方向性がみえてくる。

▼小学校長会連絡協議会の文科省初等中等教育局・合田哲雄財務課長の講演

 勤務時間の上限規定は民間では罰則付きであるが、学校では罰則がないため、若い優秀な人材が入ってこないという危機感を文科省は抱いており、現実として、企業が国立の教育学部の学生を採用していること、就職を控えた学生の保護者が「学校はブラック」なので、県庁や市役所を勧めるという実態があることを述べた。

 働き方改革の手立てとして、スクール・サポート・スタッフが全国的に導入されており、勤務時間の縮減に成果が出ているとのことである。

 小学校高学年の教科担任制のために定数改善に取り組むと同時に、中学校の理科の先生が小学校の算数を教えられないという構造、小学校の総合的な学習に非常に長けた先生が中学校の総合的な学習は指導できない構造である現免許制度を議論していく考えを述べた。

 1年間の変形労働時間制について、早ければ秋の国会に給特法の改正として導入できるように検討しているとのことである。

 続く質疑応答の部分では、スクール・サポート・スタッフに関連した回答の中で、複合機が学校に導入されていないという点について指摘があった。

 企業の時短にとっては、当たり前の複合機を、ぜひ学校でも導入するよう要望してほしいとのことである。

 加配については、チーム・ティーチングとして配置している方法が、教科担任制、あるいは先生方の持ちコマ数を減らすという観点から、必ずしもプラスに働かないということで、今後の加配の方法については、概算要求の過程でも考えていくとのことである。

▼地方公務員のマイナンバーカード一斉取得についての政府方針

 マイナンバーカードが十分に普及していないということで、本年度中の地方公務員の取得を推進していくと閣議決定がなされた。学校先まで職員がきて申請を受け付けるということである。

(関係団体 2019-09-19付)

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