非常用電源補助の適用を 札私幼・札私幼P連が市に要望
(関係団体 2019-11-29付)

 札幌市私立幼稚園連合会(=札私幼、前田元照会長)と札幌市私立幼稚園PTA連合会(=札私幼P連、佐々木和也会長)は25日、札幌市に令和2年度予算に対する要望書を提出した。札私幼は新たな要望として災害対策にかかる事項を計上。保育施設非常用電源設置補助事業について私立幼稚園も対象することを求めている。札私幼P連は、保護者が安心して子育てのできる社会の実現に向け、幼児教育・保育の質向上のためのさらなる公費助成などを要望した。予算要望の概要はつぎのとおり。

◆札私幼

▼特別支援教育事業

 私立幼稚園特別支援教育事業費補助金は、年々増加し続ける特別な支援を必要とする幼児に対して拡充を図ってきたが、一人ひとりの自立に向けたきめ細やかな適切な支援体制をより充実させるため、一園当たりの基準額の単価を、専門職として相応しい額に増額することを要望する。また、社会福祉法人立の幼保連携型認定こども園の1号認定の子どもも、施設の利用定員にかかわらず対象にすることを併せて要望する。

▼教材教具補助事業

 施設設備の充実や手厚い人員の配置など、以前より経費支出が増大している昨今の私立幼稚園・認定こども園においては、良質な保育環境の整備と維持に公的助成が欠かせない。

 消費税増税で教材教具に関する支出も増えている現状であり、予算総額の維持ないし増額とともに、対象事業や補助単価の見直し、社会福祉法人立の幼保連携型認定こども園も含めるなど対象施設の拡大を図って、より実効性のある事業とすることを要望する。

▼新制度にかかる事項

 新制度に関する事項では、以下の5項目を要望する。

①一時預かり(幼稚園型)を実施している幼稚園および認定こども園の事務負担に対応する就労支援型施設加算の実施において、利用定員に対しての連携施設の受け入れ枠の設定や、開所時間等の要件のハードルを下げ、利用しやすい制度にすること。

②2歳児を定期的に受け入れる一時預かり事業(幼稚園型)の実施に当たっては、開所時間や休園日を国の要綱に準じるなど、実施しやすい条件にすること。また、事業実施に必要な改修支援などを行うこと。

③長時間・通年で一定数以上の子どもを預かっている園に、職員1人の追加配置を可能とする保育体制充実加算を実施すること。

④1号認定こどものアレルギー補助を、自園調理を含む、外部委託・外部搬入、さらに幼稚園型認定こども園、施設型給付の幼稚園も対象とすること。

⑤幼児教育・保育を一体的に提供する札幌市の体制をより充実させるため、認定こども園への移行または創設を希望する法人に対し、施設整備に要する費用を補助する認定こども園整備事業の補助金を、令和2年度以降も継続すること。

▼研修費等助成事業(団体補助)

 連合会では、職員の資質向上のための研修事業と労働環境の充実のため様々な事業を実施しているが、教員免許更新制や学校評価の推進など研究研修事業は拡大の一途をたどっている。

 現在、その様な状況を勘案し本連合会としても厳しい経営環境のもとにおいて、事業見直しを実施し、会費改定も検討中である。

 さらに、子ども・子育て支援新制度によって実施されている研修(保育士関係の研修体制等)の質向上にも影響があり、質の高い幼児教育を担っていくための団体運営が非常に厳しい状況にさらされていることから、団体補助の拡充等について、再度、検討してもらうよう要望する。

▼人材確保事業(幼稚園教諭・保育教諭)

 札幌の私立幼稚園・認定こども園における幼稚園教諭・保育教諭の人材確保は年々厳しさを増している。教育・保育の質を向上させていくためには、優秀な人材を継続的に確保するとともに、定着を促進することが欠かせない。

 札幌市の推し進める幼保連携型認定こども園に移行を検討する場合、また2歳児の受け入れなどを行う場合は、特に保育教諭の増員が大きな課題である。待機児童の解消に大きな役割を果たしている私立幼稚園や認定こども園の人材確保に関しても、保育所と同等の支援を求めるとともに、人材確保に関する新規事業の拡充を要望する。

▽保育人材の確保・定着促進にかかる一時金交付事業

 一時金支給額の増額や対象勤続年数の拡充など、人材確保・促進にとってより実効性のある仕組みにすることを要望する。

▽潜在保育士短時間就労支援補助事業

 朝・夕などに短時間で勤務するパートタイム保育士への配置に要する費用の補助についても、上限額の増額を図るなど利用価値のある事業にすることを望む。

▽保育体制強化事業

 保育にかかる周辺業務を行う保育支援者を配置することによって、保育者の負担は軽減され、保育人材の確保や離職防止につながるだけでなく、保育業務に集中することで保育の質の向上も期待できることから、対象施設を市独自に拡大するなどの対応を求める。

▽本連合会の事業への支援

 連合会主催の就職フェアなど、人材確保事業への更なる支援を要望する。

▽その他

 札幌市が実施する保育園ミーティング等の人材マッチング事業や、中高生の職場体験などは、より人材確保に効果的なものとなるよう予算措置や事業内容を検討することを求める。

▼災害対策にかかる事項

 非常災害時に外部に連絡を行うためおよび保育中の園児の安全確保を図るために、子どもが生活するすべての施設において電力の確保は必要な備えである。令和元年度の新規事業である保育施設非常用電源設置補助事業については、認可保育所、認定こども園のみならず、私立幼稚園も対象にすることを要望する。

◆札私幼P連

▼幼児教育・保育の質向上のためのさらなる公費助成

 幼児教育・保育の無償化が実現し、保護者負担は軽減されたが、幼児教育・保育の質向上のためには、さらなる公費助成が欠かせない。単なる待機児童対策にとどまらず、札幌の子どもの育ちに焦点を当てた私立幼稚園・認定こども園への補助制度の拡大を望む。

▼PTA団体助成金

 当該助成金は多様化するPTA活動の事業費の根幹をなす貴重な財源である。ここ数年、子育て支援と同様に親育ち支援が求められ、保護者が親として育つための各種研修会の企画運営などPTA活動が担うべき役割は極めて大きくなってきている。

 また、家庭の子育て力や地域の教育力の低下が懸念される中、親と親を結びつけ、親と園を結びつけるPTAの存在意義も、今まで以上に増している。

 この現状を認識いただき、PTA活動の円滑な運営のため、団体助成金の増額を要望する。

(関係団体 2019-11-29付)

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