管理職候補を発掘・育成 道高校長協会後期研 宮下会長(関係団体 2020-01-14付)
宮下聡会長
道高校長協会が7日にホテルライフォート札幌で開いた令和元年度後期研究協議会(9日付1面既報)における、宮下聡会長のあいさつ概要はつぎのとおり。
▼高大接続改革
昨年末、大学入学共通テストの目玉であった英語民間試験の活用と記述式問題の出題がいずれも見送られた。地域格差や経済格差、採点の公平性など、様々な懸案事項が解消されず、「自信をもって受験生の皆さんにお薦めできるシステムになっていない」などが見送りの理由とされている。
現在はこの大学入試改革に注目が集まっているが、私たちが忘れてならないことは、この改革は、高校教育、大学教育、そして大学入学者選抜を三位一体で改革する高大接続改革だということである。
教育再生実行会議の第11次提言によると、改革はこれまで以上に高校教育に重点を置いたものになると考えられている。そのような中にあって、大学入学後、そして、その先の時代を生き抜くための資質・能力の基礎を高校でいかに育むのか、学校が長年蓄えた教育財産をいかに新しい時代に合わせてアレンジし、生徒の資質・能力の育成・向上につなげていくのかなど、新学習指導要領が目指す教育を確実に実現し、本道の新たな時代を開く高校教育の創造に努めていくことが大切である。
昨年4月から、令和4年度入学生からの実施に先立ち移行期間がスタートしている。新学習指導要領の前倒しや、教科によっては全部または一部について先取りが可能とされている。学校に委ねられていることに対しては、自校の基本的な方針を立て、計画的に進める必要がある。
また、主体的・対話的で深い学びからの授業改善を図る取組も一層求められる。加えて、学習評価についても検証が必要になる。
各学校においては、方針やスケジュール等を明確にして、円滑な移行に向けた準備をお願いしたい。
▼管理職候補の育成および管理職の資質・能力の向上
管理職候補については、近年、特に教頭昇任候補者の確保が大きな課題となっている。皆さんには、部長や主任の教諭を中心にミドルリーダーの発掘・育成に努めていただいているが、管理職候補の確保は年を追って厳しい状況。
教頭未配置校をつくらないために、管理職の役付再任用や校長の庁内公募を活用するなどして、学校経営の安定化を図るよう、引き続き、道教委関係課等に働きかけていきたい。
中・長期的には、学校と行政が一体となって幅広い視点から現状を詳細に分析し、総合的に効果ある対策を打ち出し、管理職候補を発掘するための体制整備を図っていく必要がある。
各学校においては、教職員の学校経営への参画意識を高めるなど、ミドルリーダーの発掘・育成を計画的・継続的に行っていただくとともに、本協会としては、採用校長や昇任教頭を対象とした事前研修会や各支部・ブロック単位の現職研修を拡充・充実するなど、管理職の資質・能力の一層の向上、管理職間のネットワークの構築を一層進めていくことが必要。
▼服務規律の保持の徹底と不祥事の根絶
信頼される学校づくりに日々取り組んでいる努力を無駄にし、築き上げた信頼を一瞬で失墜させる一部の教職員による不祥事があとを絶たない状況にある。本年度は昨年12月末現在で飲酒運転、わいせつ行為および体罰等で14件の懲戒処分が行われている。
このような事態にかんがみ、協会では会長の緊急メッセージを発出し、職員一人ひとりが全体の奉仕者として公共の利益のために職務を遂行すべき責務を負っていることや、生徒の手本となるべき立場にあることについて、今一度、所属職員に対して強く訴えかけ、これ以上、学校教育に対する信頼を損なうことのないよう、服務規律の保持を徹底し、不祥事の防止に努めるよう校長の皆さんに呼びかけた。
一方、所属長として良好な勤務環境づくりに取り組む立場にある管理職がパワーハラスメントで懲戒処分を受ける事案や、処分に至らないまでもトラブルになるケースが散見される。
「熱心の弊」という言葉がある。人は物事に熱心に取り組んでいるときほど、他人が自分より熱心でないように見え、他人を責めたり、他人に熱心さを強要したりして、不快な思いを抱かせることがあると言われる。熱心さも度を超すと弊害が生じるという戒めである。
私たち校長は日々、多くの人たちとかかわって生活している。そうした中、自分の思いにとらわれ過ぎて、相手のことを誤解したり、相手の思いを受け止められなくなっていないか、客観的に自分をみることが必要である。
今後においては、不祥事の発生状況に応じて、コンプライアンス推進委員会を設置し、防止および根絶に向けた具体的な対策について検討することも必要である。
▼学校における働き方改革の推進
道教委は、学校における働き方改革「北海道アクション・プラン」を昨年7月に一部改定し、国の方針に準じ、時間外勤務の時間を1ヵ月で45時間以内、1年間で360時間以内などと目標を定めた。学校ではこれまで、学校閉庁日の設定、部活動の活動方針の策定と公表、勤務時間終了後の留守番電話対応等の取組が行われてきた。
昨年12月には、道立学校20校で新しい出退勤管理システムが試行され、令和2年度内の全校導入に向けて準備を進めていると聞いている。教職員一人ひとりの勤務時間を目視で管理していたものが、ようやく客観的に把握することが可能になる。
ここからが「北海道アクション・プラン」のスタート。先行実施していた「北海道アクション・プラン」に基づくこれまでの取組によって、改革の目的・目標がどの程度達成されているのか、効果を検証するなどして実効ある運用や新たな課題への対応等について、道教委との協議をさらに重ねていく必要がある。
(関係団体 2020-01-14付)
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