道教委が数学進学指導講座特別企画 仮説の成否 統計学的に 東京学芸大・西村教授招き(道・道教委 2020-01-28付)
シミュレーターソフトを活用して確率について説明
道教委は24日、札幌南高校で道高校「未来を切り拓く資質・能力を育む高校教育推進事業」進学指導講座(数学)特別企画を開いた。東京学芸大学自然科学系数学講座(数学科教育学分野)の西村圭一教授が、新学習指導要領における数学I「仮説検定の考え方」の特別授業を実施。数学的思考を駆使し、グループで仮説の成否を統計学的に考える授業を指導した。
教員の教科指導力の向上、主体的・対話的で深い学びの実現に向け、実践的な研修を行うもの。高校、中等教育学校の教員ら約80人が参加した。
藤村誠高校教育課長のあいさつに続き、文部科学省初等中等教育局の長尾篤志主任視学官が「数学的活動の一層の充実を」と題して講演。新学習指導要領における数学科の目標、数学の見方・考え方について説明し、指導計画や課題設定の工夫を紹介した。
また、各高校において評価規準の作成、毎時間の授業の目標と評価規準の明確化、確認テスト等の改善に取り組むよう期待。数学の授業でICTを活用する際は、身に付けたい資質・能力を明確にする、生徒の疑問や気付きを積極的に生かすようにするなどの留意点を示した。
つぎに、東京学芸大の西村教授が授業者となり、新学習指導要領における数学I「仮説検定の考え方」の特別授業を実施。札幌南高1年生が受講した。
西村教授ははじめに、「“快眠枕”の効果を調査するにはどうすればよいか」と発問。生徒たちがグループで交流した結果から「無作為で抽出する」「期間を決める」など、客観的で正確なデータを取るための条件をピックアップした。
つぎに「30人集めて効果を調べた場合、何人がよく眠ることができれば効果があるといえるか」「30人中20人がよく眠れた場合に“効果がある”といえる理由は何か」と発問し、グループ交流に取り組ませた。
あるグループでは「効果があった」「効果がなかった」の可能性を半々と仮定した上で、反復試行の確立の公式を使い、30人中20人が「効果があった」と回答する確率を算出した。
最後に西村教授は、30人が「よく眠れた」と回答する割合が2の30乗である約10億分の1となることを説明。シミュレーターソフトを使い、様々な統計値を出すことができることを伝え、「乱数を変えることで様々な活用方法がある。授業以外でも活用し、数学的な思考を深めてほしい」と呼びかけた。
(道・道教委 2020-01-28付)
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