文科省 英検3級以上相当の中3生 道36・5%、札幌市41・9% 大幅増 英検IBA等が成果
(国 2020-07-17付)

令和元年度英語教育実施状況調査
令和元年度英語教育実施状況調査(クリックすると拡大表示されます)

 文部科学省は令和元年度英語教育実施状況調査結果をまとめた。CEFR・A1レベル(英検3級)以上を取得、または相当の英語力を有する中学3年生は、道が前年度比6・5ポイント増の36・5%、札幌市は8・0ポイント増の41・9%といずれも増加。道教委、札幌市教委の担当者は、道内すべての中学校における英検IBAの実施や英語力向上に向けた各種取組を通して教員の指導力が向上し、授業改善が進んだ結果と分析する。

 各都道府県・市区町村教委、すべての公立小・中学校、義務教育学校、高校、中等教育学校を対象に調査。令和元年12月1日を調査実施基準日とした。

▼生徒の英語力

 中学3年生のうち、CEFR A1レベル相当以上を取得、または相当の英語力を有する生徒は合計で道が6・5ポイント増の36・5%。札幌市は8・0ポイント増の41・9%で、全国平均の44・0%に近づいた。

 札幌市を含む道内で、CEFR A2レベル(英検準2級)相当以上の英語力を取得または同等の英語力を有すると思われる高校3年生の割合は、1・8ポイント増の41・2%となった。

 英検など外部試験の受検経験者数は、中学校は道で3・3ポイント増の29・3%、札幌市が7・9ポイント増の34・1%といずれも上昇している。

 道教委の担当者は、前年度は道内すべての中学校で英検IBAを実施したこと、各管内の推進校で授業公開などを行う「ほっかいどう学力向上推進事業(英語力の向上支援)」などによって「全国学力・学習状況調査の英語調査結果と併せ、客観的な現状の把握とともに、授業改善の成果が現れたのでは」と分析する。

 札幌市教委は、英検IBAの実施に加えて平成27年度から4年間取り組んだ英語指導力向上研修、30年度から小・中学校間での交流を開始した市教育研究推進事業、ALT(外国語指導助手)の増員などの取組を踏まえ「教員の意欲や経験値が高まり、成果として現れたのだと思う」と話す。

▼英語担当教員の英語力

 中学校でCEFR B2レベル(英検準1級)相当以上の英語資格を取得している割合は、道で0・1ポイント減の36・1%、札幌市は0・3ポイント減の40・5%。札幌市は全国平均の38・1%を上回った。札幌市を含む道内の高校は2・0ポイント増の54・0%。

▼英語を用いた言語活動の割合

 授業中、「概ね言語活動を行っている」「半分以上の時間、言語活動を行っている」と回答した中学校英語担当教員は、道で85・1%、札幌市で58・0%。道は全国平均の79・0%を上回った。

▼パフォーマンステストの実施状況

 「話す」「書く」ことに関する外国語表現の能力を評価するスピーキングテスト、ライティングテストの実施状況を調査。中学校の全学年で両テストを実施したのは、道が94・2%、札幌市は74・1%で、道は全国平均の86・1%を上回った。

 高校(全学科・全学年合計)では、道が55・3%、札幌市が48・5%で、いずれも全国平均の36・4%を上回った。

▼英語担当教員の英語使用状況

 中学校で発話の半分以上を英語で行っている教員は、道で79・8%、札幌市で51・4%で、道は全国平均の76・9%を上回った。高校では、道が83・1%、札幌市は79・9%となり、いずれも全国平均の52・4%を上回った。

▼英語授業におけるICT機器の活用状況

 ICT機器を活用した(する)と回答した道内の学校は、中学校が道79・8%、札幌市51・4%。高校が96・7%。デジタル教材の活用、パソコンでの発表などが多く挙がった。

▼小中連携の状況

 英語教育に関して小学校との連携に取り組んでいる中学校は、道内で99・8%となり、全国の82・0%を大きく上回った。

※CEFR(セファール)

 外国語の学習、教授、評価のためのヨーロッパ共通参照枠。英検、TOEIC、TOEFLなど各資格・検定試験の等級に応じて「A1」「A2」「B1」「B2」「C1」「C2」の6段階に区分される。

(国 2020-07-17付)

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